◇19日 競泳 パリ五輪代表選考会第3日(東京アクアティクスセンター)

 入江陵介(イトマン東進)が男子100メートル背泳ぎ決勝に登場し、2位も54秒10で派遣標準記録(53秒21)を突破せず、日本競泳界初となる5大会連続五輪出場は持ち越しとなった。

 2008年北京五輪からスタートした五輪出場の記録は東京大会で「4」となった。「何回でも五輪は出たい」。15年以上、日本の競泳界をけん引してきた34歳は、決勝に向け素直な気持ちを明かした。

 苦しみ、もがいた。昨夏に肩を痛め、筋力が落ちた。一時は2キロも減少。「しばらく精神的にきつかった。どれだけ食べても太れなかった」。地道な筋力トレーニングも重ね、戦う肉体に仕上げた。準決勝では残り25メートルを流して53秒台を記録。東京五輪後に一度も切っていなかった派遣標準記録(53秒21)突破に照準を定めた。

 自身も招致活動に関わった東京五輪での引退も考えたが「心の中に足りないものがあった」。現役続行を選択、パリへの道は「現実的に厳しい」という覚悟を持った挑戦だった。

 入江には年齢を重ねても変わらぬ思いがある。「負けたくないそこのプライドだけは持ちたい」。まだ若手に席は譲らない―。残る男子200メートル背泳ぎ(21日)にすべてを懸ける。

 ▼入江陵介(いりえ りょうすけ) 1990年1月24日生まれ、大阪府出身の34歳。身長1メートル78センチ、体重68キロ。0歳から水泳を始め、100m背泳ぎ、200m背泳ぎの日本記録保持者。2008年北京五輪で初出場、12年ロンドン五輪では計3個(銀2銅1)のメダルを獲得した。

 ▼パリ五輪への道 個人種目は、決勝で日本水連が決めた派遣標準記録を突破した上位2人が五輪の出場権を得る。