2万2千人以上が犠牲となった戦後最大の自然災害、東日本大震災の発生から11日で13年となった。インフラ整備などの復興は進んだが、東京電力福島第1原発事故などの影響で今も約2万9千人が避難を余儀なくされている。被災者らは亡き人に向かって手を合わせ、教訓の継承を誓った。1月の能登半島地震に自らの経験を重ね、思いを寄せる姿もあった。

 保存か解体かで揺れ今月、震災遺構として恒久保存方針が決まった宮城県南三陸町の防災対策庁舎には、早朝から住民らが訪れた。同県利府町の中学教諭多田真一さん(54)は「13年で町は涙が出るほど大きく変わった。震災の記憶がない子どもたちにも、庁舎があれば当時のことを伝えていける」と話した。

 11日も福島第1原発処理水の海洋放出が続く中、福島県いわき市の沼ノ内漁港では漁が続けられた。漁師大平高洋さん(50)は「処理水を流そうが、何かの拍子で風評被害がまた起きようが、粛々と魚を取り続ける」と静かに語った。