オイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ(BC)の前川哲投手(27)が順調なキャンプを送っている。最速156キロを誇る右腕は、昨季途中に社会人の日本製鉄広畑から3季ぶりに新潟に復帰。昨季の最速は140キロ台にとどまったが、イースタン・リーグに参戦する今季はキャンプ中に150キロ台に戻し、3月16日の開幕から先発ローテーションの柱になることを目指している。

「最高の日々を送っています」。前川の充実ぶりは投球に表れる。1日のキャンプインから疲労感が残る日を除き、ほぼ連日プルペン入りし、30〜40球を投げ込む。「今の時点で150キロ近いと思う」。右横手から繰り出す直球には十分な手応えがある。

刺激を受ける投手に囲まれていることも大きい。新潟3季目の元オリックス吉田一将(34)に、NPB経験者3投手が加わった。元巨人三上朋也(34)、元阪神小林慶祐(31)、元広島薮田和樹(31)。「皆さん、まだ仕上がっていないみたいだけど、僕から見たら十分早い」。今年28歳になる年齢を踏まえ、「(NPB入りは)簡単ではない。ただ、2軍戦で活躍すれば可能性はある。まず先発ローテ入りする」と気を引き締める。

球速には「こだわる。それがあっての僕」と言い切る。15年から20年まで在籍した新潟では20年に156キロをマークした。21年から社会人、日本製鉄広畑に在籍し昨季の最速は147キロだった。当時の体重は80キロほどで球威も不足していた。今は95キロと自己最速を出した時期に戻った。オフに食事管理、トレーニング、規則正しい生活を徹底して筋肉を短期間で増やした。

今のテーマは「キャンプ中から常時150キロ台を出す」こと。一方、三上のアドバイスを忘れない。「球速コンテストではない。自分をコントロールできるように」。速さを求めながら「状態によって8、9割の力でも抑えられるように」と肝に銘じる。

背番号は昨季の49から45に変わった。尊敬する野間口貴彦投手コーチ(40)が巨人時代につけていた番号だ。自身の誕生日、1996年5月15日の7つの数字足すと45。さらに「9(4+5)が僕のラッキーナンバー」と笑う。NPB入りの道を開くためにも剛球を磨く。

◆前川哲(まえかわ・さとし)1996年(平8)5月15日生まれ、新潟・柏崎市出身。大洲小2年で野球を始める。柏崎二中では当時、直江津中の元DeNA飯塚悟史と投げ合う。新潟産大付高では3年の春季県大会ベスト4。15年にBCリーグ新潟入団。21年に日本製鉄広畑に移籍し、23年7月に新潟復帰。180センチ、95キロ。右投げ右打ち。

○…オイシックスの選手が10日、能登半島地震災害義援金の募金活動を新潟市で行った。参加したのは高山俊外野手(30)、田中俊太内野手(30)、永沢蓮士内野手(26)、小西慶治内野手(25)、園部佳太内野手(24)、藤原大智内野手(24)。新潟市中央区の万代シテイで新潟市の少年軟式野球チーム、真砂マリンストロングのメンバーとともに募金を呼びかけた。阪神・淡路大震災が発生した1月17日に毎年、黙とうをささげる前阪神の高山は「早く生活が良くなって球場に来てもらえるようにと思って募金活動をした」と話した。集まった義援金は日本赤十字社新潟県支部を通じて被災地に贈られる。