森保ジャパンが〝恐怖のアウェー戦〟を強いられることが決まった。アジアサッカー連盟(AFC)が、3月26日に予定される日本代表の2026年北中米W杯アジア2次予選の北朝鮮戦を、平壌の金日成競技場で開催すると発表した。相手の大観衆やラフプレーなど過酷な戦いが予想されるが、ピッチ外でも厳しい環境を強いられることになりそうだ。

 北朝鮮は新型コロナ禍以降、基本的に海外からの入国を認めず自国で国際試合を行っていなかったが、年明けから方針を転換。外国人の入国を段階的に緩和しており、2月24日には女子サッカーのパリ五輪アジア最終予選第1戦でなでしこジャパンと平壌で対戦することがすでに決まっていた。

 日本代表が平壌で試合を行うのは、2011年11月のブラジルW杯アジア3次予選で0―1と敗れて以来となる。ただ、昨年10月には中国・杭州アジア大会の準々決勝でU―22日本代表が対戦したことが記憶に新しい。日本は2―1と勝利したが、危険なプレーに何度もさらされ、飲水タイムには北朝鮮選手が日本のスタッフからボトルを奪った上で拳を振り上げる威嚇行為まで飛び出し、大騒動に発展。その際には大岩剛監督が「本当に選手が大ケガなく終えられたのが一番」と語っていた。

 また、19年10月に平壌で試合をした韓国代表FW孫興民(ソン・フンミン=トットナム)は「北朝鮮の選手たちはラフプレーや暴言も多かった。ケガなく無事に帰国できただけでも快挙だ」と吐露。こうした北朝鮮の〝お家芸〟とも言える危険行為には警戒が必要だ。

 さらに、ピッチ外でも森保ジャパンは神経をすり減らすことになる。北朝鮮に渡航経験のある関係者は「どこにいても盗聴されているのが当たり前。ホテルの部屋で北朝鮮に関する話をしたところ、注意のようなものを受けた。相手が誰であろうとそういう対応みたいなので、日本代表でも全て聞かれていると思ったほうがいい」と警鐘を鳴らす。日本代表は11年に遠征した際には現地の最高級ホテルが用意されたが、そうした宿舎でのなにげない会話はもちろん、ミーティングなども筒抜けになることが予想される。

 盗聴によって戦術がバレるだけならば、まだマシだ。「北朝鮮にとって少しでもマイナスになるようなことを口にすれば、連行されるケースもあると聞いたことがある。そこは外国人だろうと容赦しないようだ」と指摘。ちょっとした軽口でも北朝鮮側が〝危険な発言〟と判断すれば、代表選手だろうが当局に拘束される可能性も決して否定できないのだ。

 前回、平壌で試合をした代表選手たちは揃って「あれ以上のアウェーはない」と口にしている。MF三笘薫(ブライトン)やMF久保建英(レアル・ソシエダード)ら森保ジャパンのメンバーは、無事に〝最恐アウェー〟を乗り越えることができるのか。