大相撲の東幕下5枚目・木竜皇(立浪)が11日夜、心肺停止状態になった87歳の男性を救助するお手柄があった。場所は、都内の銭湯。湯船でおぼれている男性を引き揚げると、胸骨圧迫による心肺蘇生法などで救命処置し、蘇生。男性は一命を取り留め、救急隊に引き渡された。

 11日の夜に木竜皇は、弟弟子の序二段・煌貴龍と銭湯に訪れた。湯船に入ると、近くには口まで湯につかる87歳の男性を発見。不審に思って、注視していると突然に沈み出したという。「めちゃめちゃ焦りました。『やばいな、助けないといけない』と思った。けど、焦らずに周りと協力して、とにかく冷静になろうと思いました」。近くにいた男性と協力し、湯船から引き揚げた。

 意識確認のために呼びかけても反応がなく、「白目を向いて真っ青だった」。すぐに弟弟子に店員への報告と救急車の要請を指示。自身は心肺停止状態の男性の顎を上げて気道を確保し、心臓マッサージと人工呼吸を実施した。4セットほど繰り返すと、息を吹き返したといい、「おじいさんが息を吹き返し、『わかる?』と聞いたらうなずいた。生き返ったときは、湯船のみんなが『うぉーー』って盛り上がりました。めちゃくちゃうれしかったですね」と、救出劇を振り返った。

 一連の冷静な対応の裏には、所属する立浪部屋が地域の住民と参加する防災訓練の経験があったといい、「ちょうど1年ぐらい前にもやった。うろ覚えでしたが、できてよかったです」と話した。

 木竜皇は先代・時津風親方の元幕内・時津海の長男で、若手有望株の21歳。初場所(14日初日、東京両国国技館)は東幕下5枚目で、十両昇進切符を狙う。

 ◇木竜皇 博一(きりゅうこう・ひろかず)東幕下5枚目。本名・坂本博一。2002年10月31日、千葉・柏市出身、21歳。初土俵は21年夏。23年夏には幕下V。立浪部屋。176センチ、126・8キロ。得意は左四つ、押し、寄り。