巨人の桜井俊貴スカウト(30)が現役復帰し、社会人の強豪・ミキハウスに入社することが19日、分かった。近日中にも発表される。スポーツ報知の取材に対し「スカウトとして野球に接していくうちに『まだ投げられる、また投げたい』という気持ちが湧き、もう一度選手として挑戦することを決めました」と明かした。

 22年限りで現役引退した桜井氏は今年、関西地区担当スカウトとしてドラ4・泉口の獲得に尽力した。その中で視察を重ねていた夏頃に、選手としての思いが再燃し、家族もその気持ちを後押ししてくれた。

 すでに“極秘練習”もスタート。スカウト業が忙しいため、帰宅後に近くの川まで往復1時間走り込み、川に石を投げ込むなど地道な練習を続けた。本格的な練習は11月中旬から。自分で練習できる場所を探し、投球練習を再開し、変化球も問題なし。かねて相談していた立命大のOB会長で同社の前身「ミキハウスREDS」でも監督を務めた藤岡重樹氏との縁でミキハウスへの入団が決まった。

 選手として7年、スカウト1年の計8年間過ごした巨人には感謝の気持ちでいっぱいだという。現役復帰をすると申し出た時も野球人としての挑戦を快く受け入れてくれた。「原前監督をはじめ、偉大な選手、スタッフの方々との出会いがあり、人間として成長させていただきました」と胸の内の熱い思いを明かした。

 12月いっぱいは巨人で働き、年明けから始動する。次の目標は都市対抗、社会人日本選手権での頂点。「とてもワクワクしている。新人なので、ガムシャラに頑張りたい。チームのためにプレーしたいし、都市対抗に出場して、もう一度東京Dのマウンドに立ちたいです」。30歳での大きな決断。“オールド・ルーキー”として、新たなスタートを切る。

 ◆巨人関連の近年の主な現役復帰

 ▽土井健大(14年) 巨人のブルペン捕手から「ミキハウスREDS」(現ミキハウス野球部)で3年ぶりに現役復帰。

 ▽タフィ・ローズ(15年) 09年限りで現役引退後、野球から離れていたが、BCリーグ・富山で46歳で現役復帰。

 ▽長谷川潤(19年) 巨人の打撃投手から、BCリーグ・石川で2年ぶりに現役復帰。

 ▽星孝典(19年) 西武の2軍育成コーチを務めていたが、ファームで捕手が不足したため、5月に育成選手として2年半ぶりに現役復帰。出場1試合で、10月に退団。

 ◆桜井 俊貴(さくらい・としき)1993年10月21日、神戸市生まれ。30歳。多聞東小4年で野球を始め、多聞東中まで軟式。北須磨では甲子園出場なし。立命大から2015年ドラフト1位で巨人入団。22年限りで現役を引退し、今年からスカウトに転身。通算110登板で13勝12敗、防御率5・18。右投右打。