<パリ五輪予選/男子W杯バレー:日本3−2フィンランド>◇プールB◇30日◇東京・代々木第1体育館

世界ランキング5位の日本が、同28位フィンランドに3−2で下した。8カ国総当たりの9日間7戦の短期決戦で、上位2カ国に与えられる来夏のパリ五輪出場権獲得へ、スタートを切った。

第1セット(S)は絶対的エース石川祐希(27=ミラノ)のスパイクで幕を開けた。3−3から時速117キロの強烈なサービスエースも決めた。その後は相手マークにスパイクを封じられたが、中盤の2連続を含む3本のサービスエースをマーク。順当に25−17で先取した。

今季は銅メダルを獲得したネーションズリーグ(VNL)で得点王、優勝したアジア選手権ではMVPを獲得。8月のアジア選手権以降は腰痛の影響で練習強度を落としていたが、W杯開幕にきっちりと合わせてきた。「五輪切符を取ってもっといい色のメダルを」。72年ミュンヘン大会以来の五輪金メダルへの強い思いも秘めていた。

第2Sの主役はアウトサイドヒッター高橋藍(22=モンツァ)だった。2−2から後ろ向きでフェイトを決めると、188センチの身長から3メートル27センチの高ジャンプで強烈なスパイク。さらに自ら拾って自ら得点を決めるなど、圧倒的な存在感を見せて、開幕戦の緊張感も吹き飛ばして、25−15で連取した。

第3Sは競り合い。日本が14−16のビハインドの場面ではコート上につるされたカメラのワイヤが切れるハプニングで試合が約14分間中断。その間もリラックスした表情を見せながら体を動かして再開を待った。再開後はフィンランドが粘り強さをみせ、このセットを25−27で落とした。

第4セットも落としたが、粘る相手を最終第5セット何とか振り切った。

9月中旬までの沖縄合宿では個々の能力向上に着手。18日からの東京合宿ではプールCのカナダ(同13位)と合同練習も実施して、海外勢の高さとパワーも体感した。初戦当日の午前練習ではサーブレシーブに時間をかけ、最大の強みのディフェンスを入念に再確認。万全の準備で大会を迎えた。

五輪は12年ロンドン、16年リオデジャネイロと2大会続けて出場を逃したが、21年東京五輪は29年ぶりにベスト8進出を果たした。そして今季のVNLでは46年ぶりに主要国際大会でメダルを獲得。今大会での五輪切符獲得は、日本が新たな時代に突入したことの証しでもある。

VNLで2年連続準優勝の米国(世界ランキング2位)、22年世界選手権4位のスロベニア(同8位)、18年の同選手権4位のセルビア(同9位)との対戦を控える後半の正念場へ向けて、ロケットスタートで勢いをつけた。

◆パリ五輪への道 パリ五輪出場枠は開催国フランスを含む12。五輪予選のW杯バレーは、世界ランキング上位24カ国が8カ国ずつ3組に分かれ、総当たりで対戦。ブラジル(プールA)、日本(同B)、中国(同C)で開催され、各組上位2カ国の計6カ国が出場権を得る。残る5枠は、来年のネーションズリーグ(VNL)予選ラウンド終了時(6月)の世界ランキングで決定。日本がW杯バレーで出場権を逃した場合はVNLに出場し、ポイントを重ねてランキングをより上位に上げることが必要。W杯バレーでの大陸別の切符獲得状況も、重要な要素となる。