名将の見解は――。ラグビーW杯フランス大会1次リーグD組第3戦(28日=日本時間29日、フランス・トゥールーズ)、世界ランキング13位の日本は同12位のサモアに28―22で勝利。8強入りに王手をかけた。この試合で話題となったのが、W杯では今大会で初めて導入された「バンカーシステム」だ。

 少なくともイエローカード相当のファウルをした選手に対して、レフェリーがレッドカードを出すか迷った際に該当選手を10分間退場させ、その間に審判団がビデオ判定を行う。この試合では、後半6分、サモア代表のWTBベン・ラムのタックルが一度はイエローカードと判定されたものの、バンカーシステムによってレッドカードに変わり退場となった。その後に2つのトライを決められ追い上げられた日本にとっては、アドバンテージになった。

 判定の一貫性を巡り賛否が分かれる新ルール。監督として大東文化大を3度ラグビー日本一に導き、現在は同大学の特別顧問を務める鏡保幸氏(73)は「選手の技術向上や、安全面の確保ができる」とメリット面を強調し、賛成の姿勢を見せた。

 近年に導入された野球やサッカーのビデオ判定では、試合が一度ストップするのに対し、ラグビーの場合はそのまま続行する。これについても「ラグビーは〝動〟のスポーツ。試合を止めると、リズムが狂ってしまうこともある。精神面や健康面でも、今のルールが妥当なのではないか」と見解を示した。  

 運命のアルゼンチン戦を迎える日本。新ルールについてもさらに注目を集めそうだ。