皇室に献上するとして、「宮内庁関係者」を自称する男が福島市内の農家から桃をだまし取ろうとしたとされる事件で、福島市の木幡浩市長は3日の定例会見で「男に会ったことがある」と明かし、「見破ることができず、農家の助けになれかったことに忸怩(じくじ)たる思いがある」と話した。

 木幡市長によると、昨年2月ごろ、桃農家の集まりで男に会い、公式の献上ではなく、日々の食事のための調達の一環と説明された。県を通じた公式の献上とは別のルートがあるのかと思ったという。

 市は、すでに桃を贈っていた農家が男から受け取った「皇室献上桃生産地」という木札の写真を、7月中旬まで市内の道の駅で紹介していた。木幡市長は「皇室の商業利用は控えるべきだが、男は『他にも例がある』と言い、ネットでも確認できた。一般的にあることだと思った」と説明。その上で「福島の桃のおいしさや価値は偽物ではない。これからも素晴らしさを訴えてゆく」と強調し、「我々の誇りがもてあそばれ、怒りを覚える」と述べた。

 男は、今年5月に桃をだまし取ろうと農家に「献上」を依頼して断られたとして、7月28日に詐欺未遂の疑いで福島県警に逮捕されている。