スピードスケートの名門として知られる日本電産サンキョーは1日、スケート部を廃部することを発表した。

 1957年に創設された同部は五輪スピードスケートで5人のメダリストを輩出。金3個、銀2個、銅3個の実績があり、北京五輪では高木菜那(29)が女子団体追い抜き(パシュート)で銀メダルを獲得していた。今月31日をもって長い歴史に幕を閉じる。

 同社は廃部理由について「近年強いリーダーの不足に加えて、ここ数年スケート選手を目指す若者も減り、そのレベルも落ちてきたことから、企業がスピードスケート競技の発展に貢献するという当初の目的についての展望が持てないと判断した」とコメント。さらに本紙の取材に対し「北海道や長野などスケートインフラが整っている地域でもスケート人口が減っている現実がありますので」と付け加えた。

 高木菜といえば、北京五輪女子パシュートで金メダル目前の状況で転倒し、号泣したシーンは日本中に衝撃を与えた。同社は廃部決定の時期について「以前より検討の課題に挙がっていましたが、決定したのは2月下旬ごろです」と説明。北京五輪の結果を踏まえた上で正式な判断を下したというが「(廃部と)北京五輪の結果は直結しているわけではないです。高木選手が金メダルを取っていたとしてもスケート人口が減っている事実は何ひとつ変わらないので」と否定した。