北海道網走市役所で、新型コロナウイルスのワクチン接種券とともに市民に送る交通費助成券を盗んだとして、北海道警網走署は30日、アルバイト従業員、斉藤暢雄容疑者(61)を窃盗の疑いで逮捕した。容疑を認めているという。

 署によると、斉藤容疑者は夜間警備員をしていた5月25日ごろから7月13日ごろにかけ、役所内に保管されていたワクチン接種時の高齢者向けの交通費助成券約50シート(約10万円相当)を盗んだ疑いがある。

 助成券は接種会場と自宅を往復する際のバスやタクシー代などに使える。1シートが500円券4枚つづりで、接種券とセットで、市内の65歳以上の在宅高齢者5446人に1シートずつ発送された。6千シートがつくられ、発送されなかった券は予備として保管された。

 ところが、7月19日に市民から「市役所の夜間警備員が複数の知人に助成券を配っている」との情報が市に寄せられ、市が委託先の警備会社に確認したところ、斉藤容疑者が助成券を盗み、一部を知人に渡していたことを認めたという。

 助成券は当時、市役所3階のワクチン接種推進室に段ボール箱に入れて保管。職員が退庁時に部屋は施錠していたが、夜間警備員はマスターキーを使って鍵を開けて見回っていた。

 31日に記者会見した網走市の後藤利博副市長は「委託先の警備員が起こした窃盗事件とはいえ、市庁舎の管理上あってはならないことであり、心よりおわびする」と謝罪。「今後、このような事例が生じないよう、金券などを取り扱う場合は、点検項目を明確化し、再発防止に努める」と話した。