ACT6 始まり
(目覚めよ、レア・フィシリア! 我等が待ち望んだ愛の女神よ。)
「ハッ……。」
誰かが耳元で囁いたような気がして、舞は飛び起きていた。
(夢……。)
そこが見慣れた自分の部屋であることにホッと息をついて、舞は額の汗を拭った。
時計を見ると真夜中である。真っ暗な部屋に鮮やかに浮かび上がる蛍光色のデジタル表示を確かめて、舞は二度三度頭を振った。熱がある時のような重苦しさがあり、全身に汗をかいて不快だった。
勤務時間まではかなり間があったが、舞は、ごそごそと起き出すとシャワーを浴び、制服に着替えて部屋を出た。情報ルームに行って、やりかけの仕事を片付けてしまおう。寝不足で能率が悪いのはわかっているが、もう今夜は眠れまい……。
人気のない通路は静まり返っている。
窓からふと外を覗くと、雲一つない晴れ渡った空に、ルーナンシアの二つの月がこうこうと照り輝いているのが見えた。満月を過ぎてやや欠けているとは言え、息苦しいほどのその輝きは見る者を圧倒する。
(レア・フィシリア!)
その月光の中からさえ呼ぶ声が聞こえたような気がして、舞は足早に窓から離れた。
ルーナンシアでの一週間が過ぎ、ルーナンシアの人々の協力で、物資の補給とエンジンの補修は順調に進んでいた。乗組員たちも、徐々に疲労から回復して鋭気を取り戻しつつある。
人は、大地を長く離れて健全でいることはできないものなのだろうか?
そう思わせるほどに、この星の青い空と海、そして緑の大地が、旅に疲れた地球人たちの心身を優しく包み込み、特に、張り詰め通しだった皆の心に、まるで波が寄せるようにゆとりが戻っていた。
だが、ここに一人――。
舞だけが、無性に苛立つ気持ちを扱い兼ねる日々を送っていた。
この星に着いた時から感じている、何かがしきりに心に触れて行く、語り掛けて来る、その感覚が、日に日に強くなっていたからである。それはここ数日で一層明瞭になり、遂に、ある明確な言葉として、舞に捉えられるようになっていた。
レア・フィシリア。
何かが、誰かが、そう舞を呼ぶ。朝も昼も、眠っている時さえも――。
『レア・フィシリア』とは何なのだろうか?
ルーナンシア人にそれとなく尋ねてみたところ、レア・フィシリアとは、ルーナンシアに古くから語り継がれている愛と平和を象徴する存在を意味する名で、ある時は人であり、ある時は抽象的な概念であったりするが、宇宙に戦乱が続く時、必ず出現して愛と平和をもたらすと言う。
だが、舞がなぜその伝説の名で呼ばれるのだろう?
(冗談じゃないわ!)
舞は、人一倍自我の強い人間である。いつだったか、猛がふと、プラネタリウムで初めて出会った時、舞がテティスに似ているので驚いた、と洩らした時も、密かに憤慨したものだ。
私は私よ、他の誰でもないわ、と――。
テティスに似ていたからどうだと言うのだ。似ていなかったら、何とも思わなかったとでも言うのだろうか? もし、未だに猛が自分にテティスの面影を重ねているとしたら、絶対に許せない。そんな嫉妬じみた怒りが湧いた。
大体、目の前の女性に向かって、他の女性を引き合いにして、君は彼女に似ている、なんて、失礼もいいところではないか。似ているとしたら、テティスの方が自分に似ているのだろう。
「でも、テティスっていうお姫様は、本当に絶世の美女だったらしいわよ。猛くんて、女の子慣れしてないところがあるから、きっと印象が強烈だったのね。いいじゃない、私なんて、逆立ちしても似てるなんて言ってもらえないんだから。」
わざと問題の焦点をはぐらかして、美央がそうなだめてくれたのだが、舞はその後も結構長いこと根に持っていた。この件に関しては、後で飛翔と剛也が相当あれこれ言ったらしいのだが、猛はピンと来ない様子で、それがまた癪の種だったものである。
そんな舞だから、自分が自分以外の名で呼ばれることは、非常に不快だった。特に、それが救世主じみた存在であることが、舞には気に入らない。
古来から、我こそは救世主であると名乗った者は数多いが、この「救世主」という存在ほど胡散臭いものはない、と舞は思っている。自分をそんな大それた者だと思い込めるということ自体、とても信じられないのだが、そうした者の多くは、結局のところ、自分を救世主に擬すことによって、人々を支配したかっただけなのだ。
(宇宙に戦乱が続く時、必ず出現して愛と平和をもたらす、ですって?)
そんなことがあるのなら、これほど楽なことはない。ハヤトもこんな苦労をせずに済むというものだ。もし、本当にそれが可能だとしても、それは、一人の人間にとって、とてつもない苦しみであろう。世を救うなどということは、とても人一人に成せることではない。
現実主義者を自認する舞は、そうした人間離れした存在には、少なからず反発を感じている。例えば、この星の人々の持つ超能力に対しても、それは同じだった。
何となく気持ちが触れ合う、通じ合う、というのは、舞にもわかる。特に銀河系を出てからは、他には頼るものもない乗組員たちの連帯感が、前にも増して強固になったのを、舞は感じていた。そうした感覚までをも否定する気はない。人と人の間には、絆というものが存在し得る。だが、それはあくまでも「感じ」であって、ルーナンシアの人々の間に存在する、明瞭な「テレパシー」というものではないのだ。
乗組員の中には、彼らの持つ能力に憧れる者も多かった。舞も、星と人とが一体となった在り方は素晴らしい思う。しかし、テレパシーはともかくとして、念動力や透視力、未来予知に果ては瞬間移動となると、あまりにも人から遠いように思われるのだ。
人は人らしくあればよい。そのできる範囲で力を振り絞り、道を切り開いてゆけば、それでよいのではないか? ハヤトの旅はまさしくそういう旅なのだ。だから、舞はその中に身を置いている。
レア・フィシリアという存在が実在し得るとしたら、それはもう人を遙かに越えた、神とも呼ぶべき存在であろう。そうした存在は、いつでも片桐舞という等身大の人間でありたいと願う舞からは、最も遠いものだった。そうした救世主のような存在ではありたくもないし、あろうはずもない。そんな名前で呼ばれるのは、迷惑なのだ。
だが、これは、猛がテティスに似ていると言った時のように、単純に憤慨し、やがて忘れて済ませられる話ではないようだった。
数日前、やはり何かが意識に触れて行った時、舞は、初めて『レア・フィシリア』という言葉を聞いた。無論、それは耳で聞いたのではないし、また、ルーナンシア人のテレパシーほどに明確なものではなかった。もし、その言葉を予め誰かに聞かされて知っていたら、それ故の気のせい、として片付けることもできたかもしれない。
しかし、それは断じて気のせいなどではなかった。その何ものかは、確かに舞を呼んだのである。
レア・フィシリア、と。
聞いたこともなかったその名を、明確に捉えることができるようになったのは、呼ぶ側が変化したからではない。舞のある部分が徐々に変化して、最初はただ触れて行くとしか感じることのできなかった感覚を、本来の意味で感じ取ることができるようになったからなのだ。
この星に着いた直後から感じているように、変化は舞の側に起こった。自分の意志とは全く無関係に。そして、今もそれは続いている。それはまるで、自分の中に自分でないものが存在しているような、奇妙な感覚であった。
自分の中の自分でないものの存在。
それが、日に日に大きくなって、自分が自分でなくなって行く――。
自我が崩壊してゆくようなその感覚は、舞にとって、拷問に近い苦しみであった。
なぜ、レアの花の色が変わるのか?
誰が、何のために自分をレア・フィシリアの名で呼ぶのか?
この星で何が起こるのか?
自分に何をさせようとしているのか……?
そんな疑問が次々に膨れ上がり、ようやくまどろんでは呼ぶ声に眠りを覚まされ、ここ二、三日はろくに休んでもいなかった。何しろ、文句を言おうにも、問い質すにも、相手が誰だか何だかさえ、わからないのである。
どうせ数日のうちにハヤトは飛び立ち、この星とは何の関わりもなくなるのだから、気にする必要はない。そう自分に言い聞かせてみても、もやもやした胸の内が晴れることはなかった。この豊かなルーナンシアに在って、これほどの強い苛立ちと不安を感じているのは、舞だけだったろう。
「舞!」
ハッと顔を上げると、目の前に猛が立っていた。夜間の艦内パトロール当番らしい。
「どうしたんだ、こんな時間に。まだ勤務時間じゃないだろう?」
最近はいつも、夢の中でさえ誰かに呼ばれているので、呼ばれるとギクリとする。が、その名が今は「舞」だったので、舞はホッとした。そう呼ばれることで、自分を確認できるような気がする。
「ちょっとね、やりかけの仕事が気になるものだから……。」
そう言って舞は笑った。笑ったつもりだったのだが、上手く笑えなかったらしい。
「こんな時間にか?」
そう問い返す猛の声には、嘘を許さない響きがあった。
「皆が心配してたぞ。このところ、毎晩のように舞が深夜にうろうろしてるって。何かあったのか?」
昨日、一昨日と深夜の艦内パトロール当番だった者が、心配して猛にそう教えてくれたのだ。
「……眠れないの。」
誤魔化し切れないことを悟って、舞はそう言った。
「眠れない? どうして?」
常夜灯の薄暗い明かりを弾いて、猛の瞳が舞を見下ろした。
(こんなに背が高かっただろうか?)
舞は何の脈絡もなくそう思い、その瞳を見返した。
地球を発つ頃は、まだまだ子供っぽいところのあった少年たちも、皆このところめっきり逞しさを増し、却ってこちらがドキッとさせられるほどだった。今、舞の前に立つ猛も例外ではない。わずかの間にすっかり大人びて、舞を見つめる心配と優しさのこもった瞳に、遠い海のような深さがあった。
「猛さん……。」
何もかもを受け入れてくれそうなその瞳の深さに、舞はふと、この人になら全て打ち明けてもいいのかもしれない、と感じた。この星へ来てから自分の身に起こりつつあることを、舞は誰にも話していない。話したところで、理解してもらえるとは到底思えなかったからだ。
だが、猛にはわかるかもしれない。
調査飛行で共通の不思議な体験をした、猛になら……。
「猛さん、私……。」
舞の身と心が微かに揺らめいた。が、その瞬間、舞の脳裏を鋭く横切ったものがある。それは、フェアウェル・パーティの夜、展望室で一人トランペットを吹いていた猛の姿であった。
舞は、口を噤んで目を伏せた。
あの夜、見る者の心まで痛くなるほどの孤独を、猛は一人で静かに乗り越えようとしていた。その強さをどれほど誇りに思ったことだろう。猛が高みにいるのなら、高みを目指すなら、自分もそうしたかった。誰かに頼ることはしたくない。
「……大丈夫よ、心配掛けてごめんなさい。」
生来の勝気が呼び覚まされ、舞は、倒れかかった自分の心を危うく立て直した。
調査飛行で生じた猛との絆を、舞は大切に思っている。しかし、猛は、常に高みを目指して進んで行く人間である。追う努力を怠れば、いつか遠く歩み遅れ、その絆も切れてしまうだろう。ここで倒れてしまったら、猛が遠くなる。
「……無理するなよ。」
舞の揺れる心を知ってか知らずか、猛は、舞を真っ直ぐ見つめてそう言った。
舞はカッと顔を赤らめた。
見透かされている!
「おやすみ!」
振り切るように一言言って、舞は、その場を駆け出していた。
「舞!」
猛は成す術もなく、その後ろ姿を見送った。
確かに、舞は、何かを一人で抱えて苦しんでいる。猛はそう直感し、強引にでも話を聞くべきだったのではないだろうか、と悔いた。
舞は、何か話そうとして、途中でそれをやめてしまった。なぜなのだろう? 何かまた余計なことでも言ってしまったのだろうか?
こういう場合、男相手なら幾らでもやりようはあったが、女性が相手となると、どうにも勝手がよくわからない猛であった。
「あのな、猛。女の心の動きは男とは違うぞ。ま、幾ら研究してみても、最終的にはよくわからんものだがな。違うということくらいは知っておけよ。」
以前、飛翔はそう言って笑っていたが、その時、もっと詳しく話を聞いておくべきだったのか。
「舞……。」
もう一度そう呟いてみると、ツンと胸が痛かった。いかに猛が鈍くても、その痛みが単なる仲間に向けられたものでないことはわかる。
猛は、やり切れない思いで深く息を吐き出した。自分と舞の距離が、今さらのように思われる。パーティの夜は腕の中にいた舞が、今日は遠い。
一体、ダンスというものは、いつ、どこの誰が考え出したものなのだろう? 踊るという口実があれば、触れることも、腕に抱くこともできるのに……。
先刻、舞は、確かに自分に向けて一歩踏み出しかけた。だが、舞は止まり、猛もそれを引き寄せることはできなかった。結局のところ、二人はまだそれだけの仲でしかない。それが猛には悔しかった。
通路を走りながら、舞は涙をこぼした。
悔しい。しっかり見破られている。
今も、大満月の夜も、猛は真っ直ぐに舞を見つめていた。あの時はそれが嬉しかった。楽しかった。だが、今は苦しい。
人を包み込むような深い瞳。その瞳で、何もかもを見透かされそうな気がする。
(どうしたのだろう……。)
舞は波立つ自分の心を持て余した。気が立っている。なぜ、こんなに心が揺れるのだろう。こんな自分ではなかったはずだったのに……。
そうした自分とは対照的に、猛は真っ直ぐに立っている。己の弱さを克服し、立つべき足場を粘り強く築いて、堂々と自分自身の力で立っている。自分もそうだったはずなのだ。なのに、なぜこうも揺れるのか?
(レア・フィシリア!)
また誰かが呼んだ。
「やめて!」
舞は叫び、拳で乱暴に涙を払った。
自分を支えている基盤がどんどん崩れて行って、止められない。それが、舞には怖かった。
途切れることなく涙が頬を濡らすのを感じながら、舞は動揺し、動揺する自分に、さらに動揺していた。
翌日、ハヤトの左舷格納庫で、猛、剛也、飛翔、独の四名は、資材の積み込みとその点検作業をしていた。
「ああ、猛。今そこに荷が来るから、ちょっとどいてろ。気をつけろよ。」
飛翔が声を掛けると、ほどなく資材がふわふわと宙を移動して来て、区画にきっちりと収まった。言うまでもなく、ルーナンシア人の念動力の成せる技である。
「慣れたとは言え、何度見ても凄いよなぁ。」
ふわふわと言っても、一つ百五十キロはあるコンテナなのである。猛が半ば呆れつつ、感心したように言った。
「全くだ。こんな力を持っているのがルーナンシア人で良かったよ。悪用されたらたまったものじゃない。」
チェックリストを参照しながら、飛翔も頷いた。だが、己の欲望を達成するがために力を欲するような者には、この力は得られまい、とも思う。
「もし、俺たち地球人が、このルーナンシアの人たちと同じように、地球に心から溶け込んで暮らして来たなら、地球もルーナンシアのようにデイモスを撃退できたのかもしれないな……。」
猛は噛み締めるように呟いた。
沖田と共に初めてレムリアに会った時にレムリアの言った「機械文明を滅ぼすものは機械文明そのもの」という言葉が、ほろ苦く、しかし、鮮やかに思い出される。
「これからすればいい。きっとできるさ。」
その呟きを聞きつけて、独が言った。
「そうですね。そうだといいんですが。」
猛が頷くと、独はもう一度、
「必ずできる。」
と、思いがけないほどの強い口調で繰り返し、
「現に、お前たちは、もうその道を歩き始めてるじゃないか。」
と笑った。
「へぇ、俺たちが、ですか?」
剛也も、仕事の手を休めて、興味深げに問い返した。
「じゃ、いつかは俺たちも、テレパシーとか、この念動力とか、そういう力を使えるようになるんですか?」
「いや、さすがにいきなりそこまでは無理だろう。」
勢い込んで尋ねる剛也に、苦笑を返しながら、独は首を振ったが、
「だが、可能性がないとは言えんぞ。」
と、改めて三人の顔をしげしげと見回した。
「お前たち、冥王星で戦った時の主砲の命中率を知っているか?」
「はあ? 主砲の命中率ですか?」
話がいきなりルーナンシアからハヤトの主砲に飛んだので、三人は、顔を見合わせた。
「確か……、八十五パーセント?」
さすがに戦闘隊長らしく猛がそう答えると、独は、
「その通り! 二十発撃って、たったの三発しか外していない。で、お前たちは、この数字をどう見る?」
と、若いリーダーたちを試すかのように、なおも意地悪く問い返した。
「八十五パーセントか。」
「そう悪い数字じゃないな。」
「新米宇宙戦士にしちゃあ、上出来と言っていいんじゃないか?」
そう三人が言い交わすのを、独は、
「違うな。」
とあっさり否定した。
「旧地球防衛軍での経験のないお前たちにはピンと来ないだろうが、この八十五パーセントという数字は、悪い数字じゃないとか、上出来とかいうレベルのものじゃない。これは驚異的な数字だ。異常なほどに良い数字だと言ってもいい。」
三人は、意外そうに顔を見合わせた。
経験がない割には良くやっている、そんな漠然とした実感はあっても、それが驚異的と言えるほどのものだとは、思ってもいなかったからである。
「命中時の撃沈率に至っては、百パーセント、これは倍以上だ。確かに、威力という意味ではハヤトの主砲は従来に数倍する物になっているから、この数字で差が付くのは当然だ。だが、命中率はそうじゃない。主砲には、命中率が飛躍的に上がるような改造は、特に成されていないんだ。旧地球防衛軍のベテランたちでさえ、良くて七十パーセント、平均で六十パーセントそこそこの数字しか残せなかったのに、新米のお前たちがどうしてこれほどの成果を上げられるのか? 不思議じゃないか?」
「なるほど。」
三人は頷いた。具体的な数字を上げての説明だけに、説得力がある。
「考えたこともなかったな。今まで必死にやって来ただけで……。」
猛が言うと、
「バカを言うな。お前の兄貴たちが必死じゃなかったとでも思うか? 必死という意味では、お前たち以上だったかもしれんぞ。」
と、独は首を振った。
「確かに、火事場の馬鹿力的な特殊さはあるのかもしれんが、俺はそれだけだとは思わん。まぐれと言うには続き過ぎるしな。それに、これは砲撃に限ったことじゃない。例えばアストロ・レオだ。アストロ・レオは、確かにそれまでの物よりは性能が飛躍的に向上している。だが、敵機に比して格段に上かというと、それほどではない。無論、最初のうちは、相手もこっちを見くびっていたということもあるだろう。だが、それにしても、戦力が格段に上の相手に対して勝ち過ぎている。火星で全員無傷で帰って来た時は、正直言って唖然としたよ。」
「うーん、言われてみるとそうかもしれないな。見てると、やたらに攻撃のタイミングが良かったり、かわし方が上手かったりする。時々、こいつら後ろに目が付いてるんじゃないかって思うからな。あれは、一種神業的なものがあるよ。」
飛翔が頷いた。戦闘時にいつも感じていたことである。
「剛也もだ。冥王星で、ミサイルを目視で避けただろう。」
「へ?」
それまで他人事のように聞いていた剛也は、いきなり矛先が自分に向いたので、慌ただしく目を瞬いた。
「でも、あれは進入角度を変えるのが精一杯で、結局、避け切れませんでしたよ。」
「何言ってるんだ。ミサイルがどれほどのスピードで飛んで来るものか、お前も知らんわけじゃあるまい。あれは普通、目で見てどうこうできるものじゃないよ。」
独が言い、猛も、
「そうだな。考えてみれば、こんな図体のでかいハヤトで、よくミサイルなんか避けるよな。飛翔も、欲しいと思う情報を、実にタイミング良くくれるし……。」
と頷き、今度は飛翔へ視線を向けた。
「そう言えば、何か聞こうと思った瞬間、飛翔がもうそれを言ってるってことがよくあるからな。まるでテレパシーが通じてるみたいに……。」
そう言いかけて、剛也はハッとした。
テレパシーは、ルーナンシア人の持つ特徴的な能力の一つである。独の言おうとしていることは、こういうことなのだろうか?
独は、我が意を得たと言いたげに、ニヤリと笑って、なおも先を続けた。
「まだあるぞ。デネブで勝てたのは、舞が、艦長ですら気付かなかったエネルギー波の行方を突き止めて、敵の攻撃パターンを見破ったからだ。戦闘中、誰が外れたエネルギー波の行方に注意を払う? 普通は、向かって来るものを監視するので精一杯だろう。このカンの良さ……。実際、カンがいいという曖昧な言い方をするしかないんだが、しかし、その表れ方は明らかだ。しかも、ある特定の者だけがそうだというのではなくて、全員がこうしたある種のカンの良さを身に付けている。お前たちは違うんだ。旧地球防衛軍の者たちとは、明らかにどこか違う。だからこそ、ハヤトも何とかここまでやって来られたんだ。これは、ハヤト本体の力よりも、乗組員の力の方が大きい。では、なぜ、お前たちにそんな変化が起こったのか?」
三人は、独の顔を見上げて、引き込まれるように聞いている。
「俺は、この星へ来てみて、何となくわかったような気がしたよ。地球を一歩も出ずに暮らしていた頃に、地球の大きさを想像できたか? 一光年という距離がどのくらいのものだか、理解できたか? それがどうだ。今、お前たちは、正確に地球の大きさを知っているし、一光年どころか、何万光年という距離を飛んで、それを実感して来ている。かつて誰も経験したことのない巨大な時空間を体感していることが違いの根本にある、と俺は思う。」
独は、やや遠い目をして息をついた。
「宇宙で生きて行くためには、地球で生きていた頃と、同じ広さで物を考えていてはダメなんだ。この過酷な環境で生き抜くためには、より広い時空間を認識して、より早く対応することが要求されるし、人は、より深い繋がりを持つことによって、お互いの弱点をカバーしようとする。それが今のお前たちの状態なんだ。あるいは、放射能で頭を押さえ込まれて死へ追いやられる、という危機感が、さらにその適応に拍車をかけているのかもしれない。どっちにしろ、かつてないほどの規模で、急激に、お前たちの認識域が拡大し、その結果、事象を認識する力が発達しているのは確かだと思う。」
「『認識域の拡大』と『認識力の発達』ですか。難しいな。」
「つまり、認識できる範囲が拡がるということは、自分の行動を決める元になる要素が増えるということで、その元になる要素が多ければ多いほど、より良く正確な判断を下して、素早い行動を取ることができる……、ということですか?」
独がこんな夢物語のようなことを言い出すのを珍しく思いながら、猛と飛翔は顔を見合わせた。
「その通り。さすがだな。」
独は、その早く正確な理解に、内心舌を巻く思いだった。
こんな抽象的な概念が、何の齟齬もなく正しく伝わるというのは、一体どういうことであろうか?
先刻、剛也が、期せずして「テレパシー」という言葉を使ったが、そこに言葉が必要であるとは言え、思惟が正しく伝わるという意味では、このカンの良さは、ルーナンシア人のテレパシー能力にも匹敵する。猛ら、若い乗組員たちが共通に持つ、この明確な特徴こそ、独の言う「認識力」の表れであろう。
「それで? それと、俺たちがルーナンシア人のようになれるかもしれないっていうことが、どう繋がるんですか?」
剛也だけが、好奇心を抑え切れない様子で、せっかちに独に先を促した。
「このルーナンシアの人たちの『力』な。あれも、同じように『認識力』の表れだと考えることができる。仮に、視覚が存在しなくて、触覚だけが自分以外のものを認識する唯一の方法である世界を考えると、その世界の住人には、目で見る、ということは理解できないし、触ることができないものは認識できない。それと同じように、この星の人々は、我々には到底認識できない巨大な時空間を、次元さえも越えて、自在に認識することができるんじゃないだろうか?」
「すると、この星の人たちには、時空間や次元が『見える』んですね。それで、時が見える者には予知が、次元の道が見える者には瞬間移動ができる……。」
言いながら、剛也は古い歌の一節を思い出していた。
『見えない法則を人は神秘と呼び、操れる者を怪しむ……。』
考えてみれば、昔の人々は、地球が丸いことや動いていることを知らず、日食や月食を恐れ、不思議がった。だが、今やそれらは何の不思議もない当たり前のことである。全ての不思議の裏には、宇宙から見れば厳とした法則があるのかもしれない。ただ、今の自分たちがそれを知らないだけなのだ。
「そう。しかし、無論、その『見る』ということは、目で見るということとは違う。我々には、そうしたものを認識することができないから、全てが奇跡的な超能力に思えるんだが、認識力を正しく高めて、彼らと同じレベルにすることができれば、いつか、地球人もルーナンシア人のようになれるんじゃないだろうか? お前たちを見ていると、あながち夢とばかりは言えないような気がするよ。ワープだって、意味は違うが、瞬間移動みたいなものだしな。ま、希望的観測だがね。」
独は、しみじみ言って微笑した。
「なるほどねぇ。」
夢のようなその話は、しかし、若い三人の心を打った。
人の認識の範囲が宇宙的な大きさで拡がり、そして、一人一人が、自分が地球の一部分であることを正しく認識した時、星と人とが溶け合い、人々は皆理解し合う、そのルーナンシア星の夢が、地球でも実現するかもしれない。
独の説は、その可能性を示唆しているのだ。
実際、その考えは、ルーナンシア星に生きる人々の、全てではないにしろ、本質を語っていた。彼らは、まさしく、その認識領域を、人としての究極へまで拡げ得た人々なのである。
しかし、独自身は、本気でそう信じているわけではなかった。むしろ、科学者たる自分が、いつしかこんな夢のような考えに取り憑かれてしまったのが、不思議に思える。
(これじゃあ、SFと言ってもスペースファンタジーだよな。)
彼の中でもう一人の自分が自虐的にそう言いさえする。科学者というものは、希望的観測で物を言ったりはしないのだ。
だが、もし独の考えが正しければ、きっとハヤトは生き延び、コスモクリーナーを手に入れて、地球を救うことができるだろう。そして、この先どんな困難に出会っても、それを乗り越えて行くに違いない。ルーナンシアがデイモスを撃退したように……。
(そうあって欲しいものだ!)
その一瞬、彼らはほとばしるようにそう思い、その思いを共有した。
「でもミスター。さっきから聞いていると、お前たち、お前たちって、他人事みたいに言ってますけど、こんなことを考えつくこと自体、『認識域の拡大』の結果の『認識力』と言えるんじゃないですか?」
剛也が悪戯らしくニヤリと笑った。
「おおっ! 一本!」
「剛也がミスターから一本取るなんて、これぞ『認識力』の表れだよな。」
すかさず残りの二人が混ぜ返し、格納庫に明るい笑い声が広がった。
「こいつは参ったなぁ。」
独も目を細めて微苦笑したが、ちょうどその時、格納庫の扉が開いて、しばらく途切れていた荷物の列が入って来たので、四人は話をやめた。
「おい、そう言えば舞はまだなのか? 早いとこリストを持って来てもらわんことには、この先仕事にならんぞ。」
そう言って、独は辺りを見回したが、どこにも舞の姿は見当たらない。
舞には、資材の確認用のリストを出力して持って来るように依頼してあったのだが、舞は、作業開始時刻に姿を見せなかった。舞が遅刻するのは非常に珍しい。すぐに来るだろうということで、取り敢えず作業を開始したのだが、その舞が未だにやって来ないのだ。時計を見ると、既に定刻から十五分が経過している。
「また舞か。ここへ来て以来、どうも不調なんだよな。」
独の後ろで、飛翔がやれやれという顔をした。
「また……って、どういうことだ?」
こうしたミスにさらに「また」が付くというのは、およそ舞には不似合いである。猛が気にして尋ねると、飛翔は、
「いや、ここのところ時々とんでもないミスをやらかしたりするんで、皆、驚いているんだ。あの舞が、だよ。あんまり続くんで、変だな、とは思っていたんだが……。」
と首を傾げた。
「そうなのか?」
猛は、愕然とした思いでそれを聞いた。解析システムとレーダーを扱わせたら右に出る者はない、と言われるほどの舞だった。いつも快活で、闊達で、鮮やかに輝いていた舞が、それほどに揺れているとは……?
「実は昨夜、艦内パトロール中に舞に会ったんだ。夜中だというのに起き出して、仕事だと言っていた。何でも、近頃よく眠れないらしいんだが……。」
猛が昨夜の経緯を説明すると、
「眠れないって? この星でか?」
と、剛也が不思議そうに返した。
それはそうだろう。剛也だけでなく、乗組員の誰もが、久し振りに身の危険から解放されて、深い眠りを満喫しているのである。不安も恐怖も、苦しみの何もかもを癒すようなこの星の空気に包まれていて不眠症になるとは、考えられないことだった。
「何かあったんだろうか? どうも様子がおかしかったし……、気になるな。」
昨夜の舞の今にも泣き出しそうな表情が、猛の記憶を横切って行く。暗い顔だった。パーティで二人で踊った時の健康的な明るさは微塵もなく、不安の影が色濃く染み付いていた。妙に自信なげに俯くその横顔に、今にも崩れて行きそうな脆さを感じて、猛は狼狽したものである。
とにかく、これは普通ではない。そう心配して、猛が腕を組むと、隣で剛也が、
「そりゃそうだろう。パーティの夜は、二人で派手に踊ってくれたじゃないか。あれはちょっと見事だったからな。語り草だよ。」
と冷やかした。
「バカ! そういう意味じゃないよ。」
猛は、ムキになって抗議しようとしたが、その時、何かが自分をかすめて行ったような気がして、出入口に視線を向けた。
「舞……。」
猛が呟き、残りの三人が訝しげに顔を見合わせた瞬間、自動ドアが開いて、舞が息を弾ませて入って来た。
(ほう?!)
猛は、舞の訪れを事前に察知したらしい。さすがだな、とさらに冷やかそうとして、剛也はギョッとした。
舞の細い全身から、オーロラの光にも似た陽炎のような輝きが、ゆらゆらと立ち昇っている。それが手に取るように見えるのだ。いや、見えるのではない。なぜなら、それは、目に見えるべきものではないからである。にも関わらず、その尋常でない揺らめきが、剛也の意識に明瞭に映るのはなぜだろうか?
(これなのか?! 今、ミスターの言ってた認識力って……。)
見えないはずのものが見える。その矛盾した感覚に、剛也は動揺した。
(ああ、これは?!)
(時が……、動くのか?!)
独と飛翔は、舞の背後に続く目映い光の流れを見て、これも動揺していた。それは、ハヤトを旅立たせ、この豊かなるルーナンシアに導いた、大いなる時の奔流である。
――そして、猛だけが舞を見ていた。
「すみません、遅れました。」
嵐の前の静けさにも似た不気味な静寂が、格納庫に降りて来た。だが、そんな微妙な空気に気付く余裕は舞にはない。
(まただ。なぜこうも不安定なのか。)
青白い顔と、不安定に揺れる瞳。まるで全身が宙に浮いて彷徨っているかのようなその頼りなさが、猛の不安を増幅した。無論、初めからそのつもりだったが、今日は何が何でも話を聞かなければならない。猛が改めてそう思った時、舞は、何か小さく叫んで、手にしたリストを床に取り落とした。
「舞!」
そのあまりにも舞らしくない言動が、猛を苛立たせた。
「一体、どうしたんだ!」
もう黙っていられないというように、猛が一歩踏み出した時――。
全てのものが動いた。
時が訪れたのである。レムリアが、ルーナンシアが、長く待ち続けていた時が……。
「危ない!」
舞の悲鳴が空を裂いて翔んだ。
その時、きっちりと積み上げられ、固定されていたはずの荷の一部が、突然猛の上に崩れ掛かったのである。荷重は百キロ以上。それが四メートル以上の高さから落ちるのだから、下敷きになった者は無事では済むまい。そうわかっていながら、しかし、誰もが凍り付いたように動けなかった。
「猛さん!」
舞が蒼白な顔で叫んだ瞬間、一筋の光がきらめき、同時に、猛の頭上五十センチほどのところで、落下中の荷がピタリと止まった。
「?!」
猛が咄嗟に身をかわすと、その目の前を、荷はスローモーションのようにゆっくりと下降し、音も立てずに床に静止した。
その向こうに、舞が目を見開いて立っている。
剛也は、その体から爆発的な輝きが放射されたのを見、独と飛翔は、膨れ上がった七色の輝きがその体を遂に飲み込んだのを見て、茫然と舞を見返した。
一体、何が起こったのだろう?
舞は、ただ猛の無事を祈った。それ以外に何ができただろう。だが、その切ないほどの祈りに応えて、ルーナンシアは荷を落とすのをやめたのである。
その祈りに、自然が力を貸す――。
それこそが、レア・フィシリアの名で呼ばれる者の持つ力なのであった。
(こういうことだったの……。)
舞は、これまで識域下深く眠っていた部分が、現実に覚醒したことを知り、同時に、これまで己の身に起こった不思議な出来事は、この瞬間へ舞を導くためのものだったことを悟った。バイオレット・シリウスを駆け抜けて行った光も、色を変えるレアの花も、遠い呼び声も、全ては、この時が来ることを舞に知らせていたのである。
それらがうねるように舞の体の中で吹き上げて、レア・フィシリアたる者の運命を告げた時、舞は絶望した。
舞にとって、それは、自分が自分でなくなることであったからである。
「イヤッ!」
自分を見つめる驚愕の視線を避けるように、舞は悲しげに首を振ると、格納庫から駆け出して行った。
「舞!」
我に返って、猛が後を追った。
猛にも、他の三人にも、この時舞の自我がグラリと崩れ、音を立てて瓦解して行くのが、はっきりと見えた。しかし、咄嗟に反応できたのは猛だけだった。猛だけが、真っ直ぐに舞を見つめていたからである。
他の三人は、まず己の見たものに圧倒され、己がそれを見ることのできる力を持っていることに動揺していた。その動揺の渦中で、駆け出して行く二人の姿をただ見送ることしかできなかった彼らは、一度は舞を飲み込んだ時の流れが、二人の後を追って、再び緩やかに流れてゆくのを見ていた。
その行き着く先はどこなのだろうか……。
格納庫を飛び出した舞は、夢中で通路を駆け抜け、タラップを降り、レアの花の群をかき分けて走っていた。あんな恐ろしいことが起こった場所からは、一刻も早く、少しでも遠くに、逃れたかった。
(どうしてなの?!)
自分の周囲で、レアの花の空色がやはり紫に変わることが、舞を一層悲しませた。その紫色は、舞がレア・フィシリアであることの証明なのである。
(空色の方が好きなのに。)
なぜ、自分なのだろう? なぜ、自分でなければならないのか。
なぜ、私にこんなことをさせるの?!
舞は泣きながら走る。
(レア・フィシリア!)
その時、舞の行く手でルーナンシアの大地が呼び、舞はギクリとして立ち止まった。
(レア・フィシリア!)
その声から逃れようと、踵を返すと、今度は海が呼んだ。反射的に空を見上げると、
(レア・フィシリア!)
とルーナンシアの空が呼び、その空を通して宇宙が呼んだ。
「やめて!」
舞は、頭を抱えてしゃがみ込んだ。
もう逃げられない。どこにも逃げる場所はない。
(レア・フィシリア! 宇宙を救うべき運命の子よ。)
もう一度、大地と海と空が呼んだ。
「呼ばないで!」
舞は叫んだ。
「違うわ! 私は……。」
レア・フィシリアなんかじゃない!
しかし、その舞の抵抗は声にならなかった。呼ぶ声に応えて、意識の表層に浮上しつつあった舞の中のレア・フィシリアが、それをさせなかったからである。
「ああ……。」
舞は、怯えた瞳で辺りを見回した。
今や、地も海も空も、レア・フィシリアを呼ぶ声で満たされている。そして、そこから放たれたおびただしい光が、四方から舞に向かって飛び込もうとしていた。
「イヤ……。」
自分を目掛けて翔んで来る無数の光を、涙に濡れた瞳に映して、舞は力なく呟いた。
その輝きは、以前のように通り過ぎては行かず、一つの光が飛び込むたびに、一つずつの真実を舞に告げた。
宇宙と人の未来、そして、レア・フィシリアたる者の成すべきこと――。
舞の意識は急速に開かれ、そこへ幾つもの光が次々に飛び込んで行った。しかし、それらを受け入れる準備が、舞にはない。その量と重さに耐え切れず、舞の自我は悲痛な叫び声を上げた。
「舞!」
その時、馴染んだ声が舞の耳を打った。馴染んだ声と、馴染んだ名前。振り向いた舞の瞳に、紫の花の道をたどって、ようやく追い着いた猛の姿が映った。この時猛が後ろを振り返れば、その紫が端から赤く変わって行くのがわかっただろう。
(猛さん!)
虚ろに見開かれた舞の瞳は、もうほとんど何も映しはしない。だが、手を延べ、舞の名を呼びながら走って来る猛の姿を、舞は見た。そして、自分だけを案じ、自分だけを見つめる猛の瞳の奥に、密やかに、しかし確かに、愛が存在するのを見た時、舞は最後の力で思念を放った。
(助けて……!)
だが、それが限界だった。あまりに多くのものが舞に飛び込み過ぎた。完全に許容量を越えている。舞は意識を閉ざす。それは自衛のための眠りである。
全ての光が失われ、自分が深い深い場所へ降りて行くのを、舞は感じていた。
©️松任谷由美 「78」