今日から5月ですね。

 早いなー。


 新しい生活を始めた方々も、そろそろ慣れつつ、しんどさが溜まる時期です。


 皆さん、いかがお過ごしですか?



 さて。

 先日、義父母宅に出向いた時の事です。


 久々に義姉を含む現役親族とゆっくりと話ができました。


 話題は、義父母会衆にいる、とある長老一家の話になり。



 その長老家には年頃の女の子がいまして。

 彼女、最近不登校になって高校を辞めてしまったそうで。

 そして、この春から別の高校の通信制に改めて入学したそうです。


 彼女が学校を辞めた理由ってのが、悲しいJWあるあるでね。


 なんでも彼女は、親に内緒で部活に入り。

 しかも軽音とダンス部の掛け持ち。


 義姉が言うには、彼女は「霊的活動を理由に部活を時々休む」事もあって部活メンバーとトラブルになり、そしてイジメに遭い、挙句耐えられなくなって。

 おまけに長老である父親には、部活の掛け持ちについて許可を得ていなかった事もあり。

 父親が子どもに寄り添う前に「嘘をついていた」と責める日々。


 まだ幼い彼女の心は、キャパオーバーしたのでしょう。

 鬱診断され、処方された薬を飲むと朝起きられなくなり。どん底を見たようです。


 やっと回復傾向になったので通信制に入学したわけです。

 

 義親族達の見解は、そもそも軽音やダンス部という、いかにも「世的」な部活動を選択する彼女の霊性も問題だし、親とその事をしっかり話し合っていないから、こーゆー問題が起きる、と。

 なぜに親子でしっかり話し合わないのか、理解できない、と。

 おまけに彼女はとっても可愛らしい見た目をしており、それをしっかり意識して、周りから「可愛い」と言われる、告白されると、自慢するタイプの子だったから、もともと危険だったのよ、とか。

 挙句に、通信制での登校日を楽しみにできるようにまで回復した現在の彼女を評して、喜ぶのでは無く、「世との交友が楽しいなんてやっぱりあの娘は危ない」との、追い討ち批判付き。


 もう、現役が繰り広げる、このありがちな展開、皆さんも容易に目に浮かぶでしょう?


 義親族の話題は、ここで、自分たち親族の成功体験に移っていきます。


 それは、この親族で唯一の現役3世(うちの子は離脱してますから)甥っ子君の話です。

 彼は、中学時代、サッカー部だったのですが。

 運動部という危険笑な道をあえて選ぶのにあたって、甥っ子君は父親(ワシの義兄ね)に許可を得るべくしっかりと話し合いを行い。

 彼の父親は、「霊的活動を最優先にする」こと、「休日は集会や奉仕なので試合には出られない」ことを、先生に証言する、という条件付きで、入部を許可しました。


 偉いのは甥っ子で。

 彼はしっかりと先生に証言して父親の条件をクリアしたうえ、部活を謳歌しながらも「霊的活動」も実に真面目にこなしました。


 今や彼は、二十歳そこそこで援助奉仕者であり、同年代では組織のキャリアアップの最先端を行く形で、現在某地区に派遣されています。


 それを義親族みんなして、賞賛し。

 なぜに件の彼女とその父親は、このように出来ないのか、というネガティブな方向に話をまとめるのです。



 ワシは、溜め息が出ました。


 ワシは何も、義親族の前で今更、ステレオタイプにJW批判をするつもりはないし、この彼女の事も殆ど知らない。

 でも、この現役のパターン思考が多くの子供達を苦しめる、という典型的な事例を目の前に出されたため、もう、ウンザリしたのです。



 因みに、甥っ子と彼の父親の関係は、JWである事を除外しても、いい関係、距離感だと思います。


 JWルールの善し悪しは置いておいても、親に嘘をついてまで部活をしたく無い、しっかり親を説得したい、という甥っ子の誠実さは、清々しいし。

 また父親の方も、子どもの想いと信仰とのバランスを見極めて条件を出し、双方に配慮する差配は、どんな親でも参考になるだろう、とも思うし。


 この親子を個人的によく知っているワシとしては、実に彼ららしい、ストーリーだな、と感じるわけです。


 だから、彼らを非難するつもりはなくて。

 再々ここでも書いているが、とても良い青年に育った甥っ子君が、その人生をカルトに捧げつつあるのを見るのは辛いが。彼の人生である。

 もう、彼も大人だしね。


 言い方は悪いが、自己責任なんだから、好きに生きてくれ、って事である。



 ただ。

 未成熟の心に、消えない傷をつけ続ける、件の彼女は、素直に可哀想に思って。



 でも、皆さんも分かるでしょう?

 ここで、ワシが急進的に義親族の価値観を罵っても、攻撃しても、彼女が救われるわけでは無いし、ワシと義親族との緊張が増すだけで、何の意味もないのです。

 ワシにサタンが宿った、というおバカな結論を分かりやすく与えたことになるだけ。


 でもね。

 じゃあ黙って聞いておこう、ともならないのが、ワシなのよね。


 そもそも、ワシはそんなに人間はできていないし、黙って聞いていると、ワシもその場の浅はかな結論に同調していたと思われるのも、大いに癪だったわけです。


 だから。

 とにかく、心を落ち着かせて、いくつかの問題提起をしてみることにしました。



 どーしようかな、と思ったワシは。



 高校生くらいの女の子が、可愛いと言われたい、って思う事って、ダメな事なんかな?

 と。

 努めて平静に呟いてみました。


 みんなが黙っているので。



 親子の話し合いが必要だ、って言うけど。

 そのオヤジさんである長老は、娘が「軽音とダンス部に入りたい」と相談しても、そもそも受け入れないんじゃないの?それを彼女は分かってるんでしょ?


 ワシの問いに無言の義親族たち。



 だから、彼女は黙ってやるしかなかったんだよね。それを責めるのは、彼女を追い込むだけよ。

 それに、通信制に通うことを楽しむ彼女に、「世との交友の側面から見て危険だ」って事だけど。

 鬱だった彼女に笑顔が戻った事は、単純に喜ばしい事じゃ無いの?


 彼女は、普通の女の子なんだよ、きっと。


 親や周りが、自分の思う通りに生きてくれない事に、駄々を捏ねてるだけにしか、聞こえないわ。



 ここでやっと義姉が、甥っ子の例を出して、反論?をしてくる。

 見解や価値観の相違があったとしても、親子で意思疎通をするのは重要だ、甥っ子の例がそれを示している、と。

 彼女もそうすべきだった、と。


 ワシは。

 甥っ子は良い子だ、と認めた上で。

 誰でも甥っ子と同じように出来るという前提が、そもそもおかしいんじゃないのか?


 身体と同じように心だって成長の差がある。

 彼女はまだそこまで強く無いのかもしれないし、彼女は甥っ子ほど割り切った信仰を持っていないのかもしれないよ、と、返した。


 そして。

 周りを見てごらんよ。

 JWとして育てられても、甥っ子みたいに「模範的」に育っている子がどれだけいるの?


 (丁度この話題の前に、近隣の会衆の女の子が15歳で妊娠した、との話題があったので)

 早すぎる妊娠や、自暴自棄になって借金を抱える子や、自殺した子。一体、何人見てきたのよ?

 義姉と親しいO家にしてもU家にしても、徹底的なJW教育を施してきたのに、今はどう?

 離れてるばかりか、親子断絶してたり、病んだりしてるよね?



 もう、この辺りで、義親族メンバーは、お通夜状態笑


 でもドSのワシは、続けます。

 

 みんな、子どもを、どうしたいわけ?

 分かりやすく組織が示したライフプランに、無理やり合わせようとして、自己満足したいだけじゃ無いの?

 子供の人生、って言う視点で物事を解釈してやる事が、あまりに欠けてるよ。


 JWである事が正義だとしても。

 みんながみんな、高校生くらいで「模範的」だとも限らないだろうに。


 ワシはね。

 今聞いた、彼女の話の感想は、「普通の女の子だな」としか思わないわ。


 やりたい部活があって、でもそれを反対する親がいて。

 なんとかやり過ごすために、つかなくていい嘘をついて、でも結局露見して、傷付いて。

 可哀想だよ、ホントに。

 普通の高校生活を送らせてあげてよ。


 親が浅はかな自己の価値観と、組織内の評判ばかり気にして、子どもの人生を犠牲にしてるだけやん。

 

 すると、義姉の方から、「だから今、マスコミに批判的に報道されてるって事かな?」と問いかけてきて。


 ワシは驚きましたが。


 努めて平静を保ちつつ。


 それもあると思う、と。


 こども家庭庁の発信を全て鵜呑みにする必要は無いとしても。

 JWの生き方を、親が正しいと思うのは勝手だけど、その信仰とやらを、自分の望むタイミングで、望む形で、望んだ通りに子どもがトレースする事だけに狂った結果、子供が犠牲になった、というケースも少なからずあると思うし、実際我々も離散家族をたくさん知ってるじゃないの?


 それを、今の兄弟姉妹は反省すべきだし。

 組織もそれを反省すべきだよ。



 義親族は黙って聞いていましたが、ワシは、ここまで言い切れたことに、ホッとしたし、満足しましたね。


 そしてここで、ヨメが、ナイスアシストをします笑


 私も漫画を捨てられるとか、よく分からんルールを押し付けられたので、めっちゃ悔しかったけど、今はそんなルールないやん!

 恨みに思う人がいても、しゃーないわ!


 まあ、このエピソードは義親族なら分かる、ヨメのお笑いエピなので、場はうまく笑いで纏まりましたね。



 今回は、いろんな条件が整って、義親族がワシの話を割と素直に聞いてくれたのですが。

 まあ、どこまで響いているかは分からんし。

 いや、おそらく「霊性の低い人の意見」程度に思われているでしょうが。


 それはそれで、いいのよ。

 もう、期待はしてないし。



 ただ。

 可哀想なのは、件の彼女。


 義父母会衆のT長老の長女ちゃん。

 気付いてくれたらええなあ。


 君は、悪く無いよ。

 普通の事を普通に欲しているだけ。

 今しかない青春を、君は楽しむべきだし、そうして欲しい。

 その上で、君がどんな生き方をするか選んだらいい。


 親の言いなりや、教団の言いなりになって生きても、君は君じゃ無くなるだけだよ。


 そりゃね。

 親と上手くいく方がいいし、組織とも穏便に付き合えるなら、それもよし。


 でもね、それが叶わない状況なら、まずは自分の心を大切にしなよ。

 オジサンは心配だよ、ホンマに。



 この話題の最後に、ワシは。


 彼女の父親は長老クビだな、と。

 外聞を娘の気持ちより優先してる時点で、人としてアウトだよ、と。


 この発言は、大いにウケました笑

 まあ、これも、誰かを非難する類のゴシップが喜ばれるこの組織の恥部なんですが。

 敢えてそれを分かってて、毒を吐くワシの性格の悪さも露呈しましたな。



 という事で。

 がんばれ、T家の彼女👊


 実はね。

 昔、信仰という名で虚栄心の塊だったワシにとっては、父親であるT長老にも相当理解ある考え方を持っているのだけど。


 それは、また気が向けば書くとして。



 今回は。

 宗教2世、3世の人生が壊れていく音が聞こえてくる気がしたので。

 そのメカニズムを解きつつ。


 マイコン現役に少しだけの冷水をかけたつもり、という、お話でした。