創世記6、7章に基づく‥‥


ノアの時代、
地は、アダムの罪とカインの殺人の結果
2重ののろいを受けていた。

しかし、これは、
自然の表面に大きな変化を与えなかった。

衰退の兆候は明らかに認められはしたが、
地は、なお
神の摂理 の賜物に恵まれて、
豊かで美しかった。

山々にはりっぱな樹木が繁茂し、
枝もたわわなぶどうのつるをからませていた。

広々とした庭園のような平原は、
一面の緑で、数多くの草花が
甘くにおっていた。

地のくだものの種類は
無類といっていいほど多かった。

樹木は、その大きさ、美しさ、
完全に整っている点などで、
今日のどれよりもはるかにまさっていた。

木目は、細かく、石のように堅く、
石同様の永続性をもっていた。

金、銀、宝石なども豊富にあった。 

人類は、まだ
初期の活力を多く保っていた。

アダムが、
生命を長らえさせる木に
近づくことができたときから
わずか数代しか経ていなかったので、

人間の一生はなお、
世紀を単位として数えられていた。

非凡の能力をもって計画し、
実行することができた
長命のこうした人々が、

もし、神の奉仕のために
自分を捧げていたならば、
彼らは地上で創造主の ”み名“ に誉れを帰し、
彼らに生命をお与えになった
神の目的にそい得たことであろう。

しかし、彼らは、そうしなかった。

偉大な体格と体力を持ち、
その知恵深いことで有名な
巨人がたくさんいた。

彼らは、実に巧妙に
驚くべきものを作り出すことにたけていた。

しかし、彼らは、
その技量と能力に応じて、
ほしいままに悪を行う罪も大きかった。

神は、
これらの洪水前の人々に、
多くの豊かな賜物をお与えになった。

ところが彼らは、
自分自身をあがめるためにそれを用い、
それをお与えになった方よりも、

賜物そのものに愛着を持って、
それらをのろいに変えた。

彼らは、
金、銀、宝石、最上の木材などを用いて
自分たちの家を建築し、
技術の限りを尽くして住居を飾りたて、
互いにしのぎを削った。

彼らは、自分たちの高慢な
心の欲望を満たすことだけを求め、
快楽と罪悪に夢中になっていた。

彼らは、神のことを
考えようともしなかったので、
いつのまにか神の存在を
否定するようになった。

彼らは、
自然の神のかわりに、自然を拝んだ。

彼らは、
人間の才能をたたえ、
自分自身の手のわざを拝み、
子供たちに刻んだ像を拝むことを教えた。 

彼らは、
緑の野や形のよい樹木の陰に
自分たちの偶像の祭壇を築いた。

広大なときわ木の林は、
偽りの神を礼拝するために捧げられた。

これらの林には、
美しい園が続いていて、
その長くくねった小道には
あらゆる種類の木が枝もたわわに
果実を実らせていた。

また、そこには、
人々の感覚をたのしませ、
肉欲をほしいままにさせるものが
すべて備わっていて、
彼らを偶像礼拝に誘っていた‥‥

つづく‥‥

【引用文献】
人類のあけぼの
第8章 ノアの洪水

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