『落下の王国』 試写会鑑賞 | 映画な日々。読書な日々。

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落下の王国

1915年のアメリカ、オレンジの木から落ちて怪我をし、入院中の5歳の少女、アレクサンドリア。人懐こい少女は、あどけない笑顔で病院中の人々に可愛がられていた。ある日、足の怪我でベッドから起きられない青年と知り合う。病室に入ってきた利発そうな少女に、青年は自分が作った物語を聞かせる。たちまち夢中になって、続きを聞かせてとせがむ少女。しかし、それは少女に自殺するための薬を盗み出させるための作戦だった…。[上映時間:118分]


シネトレ公認ブロガー枠で行ってきました。


家業のオレンジの収穫を手伝っている途中、木から落ちて腕を骨折してしまったアレクサンドリアは、病院内を元気に走り回る。


一方、スタントマンのロイは落馬事故で足に大怪我を負ってしまい、さらに恋人をスター俳優に取られて自暴自棄になっていた。


そんな二人が病院内で出会う。


”落ちた”ことで出会った二人。

落ちても前向きさが変わらないアレクサンドリアと、どん底に落ちていったロイ。


アレクサンドリアの書いた手紙を拾ったロイはアレクサンドリアに話しかけ、そして足が動けない自分に変わって自殺するための薬を盗ませようと、彼が作り上げた冒険物語を聞かせる。


それは愛するもの、誇りを失った5人の勇者が力を合わせて悪・総督オウディアスに立ち向かう愛と復讐の叙事詩だった。


物語はロイが話す物語はロイの全くの作り話なのですが、現実世界の人たちがその冒険物語に登場し、物語と先日の世界を繋げています。


ロイは黒山賊として、看護婦エヴリンはエヴリン姫として、ロイの恋人を奪ったスター俳優はオウディアスとして、そして病院で働く人たちやアレクサンドリアのオレンジ農園で働く人たちなども物語に登場します。


そのロイが聞かせる冒険物語の映像美がすばらしかったです。13の世界遺産を含む24ヶ国以上の美しいロケーション。ともかく壮大でまるで自分も世界旅行をしているような気分に浸れます。


ただ物語の方は微妙。というか設定がちっちゃいんですよ。だって自殺するための薬を純粋な5歳の子を騙して取りに行かせる為に作り上げた物語なんです。


「作り話が色彩を帯びて輝き始めるとき、嘘は真実になり、絶望は希望に変わる」


とチラシにあったのですが、、、嘘は真実になってなーい。


そもそもスタントマンのロイが自殺したいほど自暴自棄になってしまうという背景があまりちゃんと描かれていなかったんですよね。そりゃあスタントマンにしたら足は商売道具だったかもしれませんが、それで自殺というのは安易すぎないか?それとも失恋の痛手の方が大きかったのか?


そして時々ロイがアレクサンドリアに大声あげたりするのがどうも気に入りませんでした。5歳の子に当たるなよ!って思っちゃって。それでもアレクサンドリアに話を聞かせるうちにロイの気持ちが前向きに変わっていくものだと思って観ていたのに全然そんなことはなく・・・。


ロイが聞かせるお話の映像は、5歳の少女アレクサンドリアの想像というかイメージなので、色彩溢れたなんとも不思議な世界。その映像がなかなか壮大で見ごたえあります。


ただ途中からその物語にアレクサンドリアも登場してくるのですが、アレクサンドリアが登場してからは冒険と復讐の物語の様子からはちょっと一変してしまい、ちょっと物語がチープになってしまった感じがしたのが残念でした。まただんだんロイの絶望が反映されていってしまったのか、どんどん暗い話になっていってしまいます。お願いだからそんな話聞かせないでよ、というぐらい残酷な話に変わっていってしまい、ロイの身勝手さになんだか腹が立ってしまいました。アレクサンドリアは純粋にロイの話が、そしてロイが好きで一緒にいたのに、こんな小さい子に当たるなんて・・・。早く立ち直れ!と叱咤したい気分でした。


それに比べてアレクサンドリアの純粋なこと。

目を輝かせてロイの話を聞き、続きを望むんです。大好きなロイの為に、ロイが必要な薬を取ってこようとするんです。このアレクサンドリア役の子、正直顔は全然かわいくないのですが、そのかわいくないところが逆によかったのかもしれません。


鑑賞前にチラシから受けた印象とは違った作品で、思ったほど希望的な明るい話になっていなかったのが少し残念でした。


映画のストーリーよりも、ロイが聞かせる物語の映像美を楽しむ映画なのかな。


試写会(@スペースFS汐留)にて鑑賞


★★☆