『つぐない』 @シャンテシネ | 映画な日々。読書な日々。

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つぐない

第二次世界大戦前夜、夏のイングランド。政府官僚の娘で未来の大作家を自負する13歳のブライオニーは、大学を卒業したばかりの姉セシーリアと使用人の息子で幼なじみのロビーのただならぬ関係を察知し、ロビーへの警戒心を抱く。そして事件は起きる。ブライオニーの嘘の証言によって、愛しあう恋人たちは無残にも引き裂かれ、犯した過ちの重さにブライオニーが気づいたときには、泥沼の戦争が始まっていた。[上映時間:123分]


もうね、全体的にすっごい暗いんですよ。そして悲劇のお話なのでかなり切ないんです。でもすごくよかった。こういう映画かなり好きです。


この映画、主演はキーラ・ナイトレイですが、映画を観たらそれが違うことがわかります。間違いなく本当の主役は彼女の妹のブライオニー。ブライオニーは年齢に応じて3人の役者さんが演じています。


政府官僚の娘で作家を夢見るブライオニーは使用人のロビーに密かな恋心を抱いていた。ロビーはブライオニーの姉・セリーシアに恋をしていた。そしてセリーシアはロビーに無関心を装っていたが、ある時、自分が彼に恋をしていることに気づく。


ロビーが花瓶を割ってしまったことで喧嘩になるセリーシアとロビー。ロビーはその時の非礼を詫びる手紙を書いてブライオニーに託す。しかし封筒に入れてしまった手紙は、卑猥な言葉を綴った本来渡すつもりのないものだった。そしてその手紙をブライオニーは盗み読んでしまう。しかし皮肉にもその手紙がきっかけで二人は思いを通わせあうことになり、図書室で愛し合うが、その情事をブライオにーが目撃する。


その直後にいとこのローラが何者かに襲われる。ブライオニーは逃げていく男を目撃したが、ロビーの手紙に書かれた卑猥な言葉、そして図書室で目撃した情事から、犯人はロビーだと証言してしまう。


最初にブライオニーが見た光景を映した後に、セリーシアとロビーに起こった出来事を映し出すという構成が上手いです。最初はブライオニーが目撃した一部分だけを私たちも観るので、え?今のはどういうこと?と思うわけです。そしてその後、二人に起こったその前後の出来事がきちんと描かれ、そういうことだったのね、とわかるのですが、一部しか目撃していないブライオニーは数々の誤解をしてしまいます。そしてまだ子どもが故に、図書館での二人の情事も、姉・セリーシアがロビーに辱められていると勘違いしてしまいます。


まぁそこまでの誤解はある意味仕方がないですよね。しかもいきなりあんな現場を目撃したら動揺するだろうし。でもだからと言って嘘はいけませんよ、嘘は。その嘘一つで人の人生を丸々変えてしまうことになるのですから。だけどブライオニーにしては本当に小さな嘘だったんですよね。ロビーに好意を抱いていたからこそ、その直前に目撃してしまった出来事がショックで、裏切られたような気持ちになって、つい犯人だと嘘をついてしまった。それがまさか後にロビーとセリーシア、そして自分の人生までをも大きく変えてしまうことになるなんて思ってもみなかったんでしょう。


ロビーは刑務所に入れられ、そして後に戦場に送られます。刑務所から出るには兵士として戦場に出向くしか方法がなかったのです。家族と連絡を絶ち、看護士となったセリーシアはロビーの帰りを待ち続け、ブライオニーは自分の犯した罪を認識し、人の役に立つ仕事がしたいと姉と同じ看護士を目指していた。そしてブライオニーは過去の過ちをつぐない、二人に許しを請いたいと願っていた。


ロビーが向かう戦場のシーン、そしてブライオニーが働く病院に運び込まれてくる兵士達の負傷具合が悲惨で、死ぬ直前の兵士さんの頭はもう怖くて観れなかった・・・。


ブライオニーは最初に書いたとおり、年齢に応じて3人の役者さんが演じているのですが、まず最初に13歳のブライオニーを演じたシーアシャ・ローナンの演技が見事でした。小説家をきどった神経質で生意気な憎たらしい小娘なんですよ。全然笑わないし。ブライオニーという役をすごく印象的にしたのは彼女の演技からくるものでしょう。


18歳のブライオニーはロモーラ・ガライ。髪型が同じなのですぐにブライオニーだ!とわかりました。こちらも笑いませんが、18歳のブライオニーの場合は13歳の時とは違って、生意気さはありません。成長して自分の犯してしまった罪を重く感じ、どうにか償おうとしている姿がひしひしと感じられました。人を不幸にしてしまった罪の重さに押しつぶされそうな感じでした。


そして77歳になったブライオニーはヴァネッサ・レッドグレーブ。おっと、77歳になっても髪型同じですか?彼女の口から語られる真実はとても切ないです。そして多分死ぬまで自分を許さなかったブライオニーを許してあげたいと思わずにはいられませんでした。


人は誰でも間違いをおかす。それでも許されることと許されないことがあるんですよね。子どもの小さな嘘がもたらした大きな悲劇。ブライオニーのついた嘘も、この時代でなければこんなに思い罪を感じることはなかったかもしれない。そう考えると、ブライオニーもセリーシアもロビーも不運だったということなのでしょうか。たとえ子どもだとしても自分の言動には責任を持たなくてはいけないですね。


主演をブライオニーに食われてしまったようなキーラ・ナイトレイですが、こちらは胸のなさが強調されすぎていてちょっとどうかと思いました。ぺっちゃんこなのに妙に露出してるんですよね。着てる服、水着、すべてが「私、胸ありません!」と宣言している感じ。今までもキーラ・ナイトレイが胸がないことは十分知っていましたが、この映画はいつも以上に強調。もうちょっと気にした方がいいんじゃないの~と思ってしまいました。


この映画、予告を観ていた時から音楽や映像がすごく印象的だったのですが、観終わった後もそれは変わらず、ストーリーや役者さんの演技も素晴らしかったですが、構成や音楽、映像などどれをとっても完成度が高かったように思います。


シャンテシネにて鑑賞


★★★★