『ディパーテッド』 @丸の内TOEI2 | 映画な日々。読書な日々。

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ディパーテッド

貧困と犯罪が渦巻く、ボストン南部で生まれ育った2人の男。犯罪者一族に生まれ、自らの生い立ちと訣別するために警察官を志すビリー。マフィアのボス・コステロに育てられ、忠実な“内通者”となるために警察官を目指すコリン。2人は互いの存在を知らぬまま同じ警察学校で学び、それぞれ優秀な成績で卒業。コリンはマフィア撲滅の最前線に立つ。一方、ビリーに命じられたのは、マフィアへの極秘潜入捜査だった…。[上映時間:152分]


デカプリオとマットデイモンが似ていて途中間違えそうになりました。 今まで似てると思ったことは一度もなかったんですけどね、本当似ててちょっとびっくりしました。


オリジナルのインファナル・アフェアを知らなければ普通に面白いと感じたと思います。でも私はインファナル・アフェアがすごく好きなので、比べちゃいけないと思いつつもやっぱり比べて観てしまいました。ディパーテッドも悪くはなかったと思うのですが、オリジナルには到底かなわない感じでした。よくも悪くも無難にまとめてしまった感じで、インファナル・アフェアを観た時のような衝撃はありませんでした。


あらすじはオリジナルとほぼ同じでした。ただオリジナルの無間地獄というテーマはなくなってます。タイトルもディーパーテッド(死者)だし。テーマが違うのでラストも変わってきてしまっています。完全にハリウッド的リメイクですね。


冒頭の二人が潜入するいきさつみたいな部分は結構わかりにくかったです。冒頭はテンポも悪くてこの辺は睡魔に教われました。ただマフィア、警察それぞれにネズミがいるということがわかり、ネズミ探しが始まったあたりからはぐんとテンポが良くなりひきつけられました。


インファナル・アフェアで、トニー・レオン演じるヤンは10年マフィアに潜入しているという設定だったのですが、デカプリオ演じるビリーは潜入したてで新入り。その設定の違いのせいか、ビリーからは潜入捜査官としての葛藤、苦悩があまり伝わってこなかったんですよね。ヤンは10年も潜入していたので自分は警察官なのか、マフィアなのか、自分ですらよくわからなくなってしまっていたし、マフィアのボス・サムからも絶大な信頼を得てしまっていたことが余計に複雑な心境になっていて、そんなヤンが醸し出す表情、哀愁にぐっと引き込まれたんですよ。


でもビリーは新入りで、ヤンのように潜入捜査にも疲れ果ててはいなかったし、ジャック・ニコルソン演じるコステロからも信頼は得てないし(というよりむしろ疑われていました)、ということで精神科医にカウンセリングを受けるほど精神的にダメージを受けているようには見えなかったんですよね。


ビリーが身分を返してくれと言うシーンとかもなんか軽かったなぁという感じ。これも潜入期間がさほど長くなかったから、自分の身分に対する重みが違うんでしょうか。


マットデイモンに至っては完全に脇役でしたね。ラウのように善悪で揺れるようなところは全くなく、自分の置かれた状況に苦しんでる様子も全くなく、完全に悪でしたから余計に魅力もありませんでした。警察官としての誇りがあるわけでもなく、だからと言ってコステロへの忠誠心が感じられるわけでもなく、なんだかとっても中途半端でした。


それからマフィア側のボス役のジャック・ニコルソンはよかったけど、警察のボス役のマーティン・シーンがなんか印象薄かったです。ウォン警視みたいな存在感や格好良さもなければ、ビリーとの信頼関係もあまり感じられず、ヤンとウォン警視の関係とはずいぶんと違いましたね。だから殺されても全然悲しくもなんともなくて。ビリーもクイーナンの死にさほど衝撃を受けている感じはしませんでした。結構ここ、重要なシーンだったと思うんですけどね。


警察とマフィアの攻防戦の緊迫感もインファナル・アフェアの方が断然上です。映画館でのシーンはもっと緊迫感あるシーンのはずなのに、こちらでは下品すぎ。さすがジャック・ニコルソン。。。


と、書けば書くほど辛口になっていってしまうのでそろそろやめます。ただこれだけ書いておいてなんですが、ディパーテッドもそんなに悪くはないんですよ。オリジナルが良すぎたのでどうしても辛口になってしまいちょっと申し訳ないです。


ハリウッド映画らしく、全体的に見せる映像になっていてわかりやすい展開にはなっていると思います。そもそも元のストーリーが面白いので、オリジナルを知らなければ本当楽しめると思います。でもオリジナルを観て、気に入っている人にはやっぱりどうしても不満が残ってしまうんじゃないでしょうか。


善である人間が悪に身を置き、悪である人間が善に身を置く。

善が悪を演じ、悪が善を演じる、そこに生まれる葛藤、次第に善と悪の境目がわからなくなり苦渋の日々を送る潜入者達の”無間地獄”を描いたインファナル・アフェア。ディパーテッドはその部分を綺麗にカット。なのでだいたいのストーリー展開は同じでも、やっぱり別物として観るべきなんだろうな、と思いました。最初にも書いたとおり、テーマが違うのでもうこれは仕方ないですね。


ディパーテッドを観て、オリジナルの良さ、すごさを改めて実感しました。これからDVDでインファナル・アフェアを観かえそうと思います。


丸の内TOEI2にて鑑賞


★★★