伊坂幸太郎 『砂漠』 | 映画な日々。読書な日々。

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伊坂 幸太郎
砂漠

麻雀、合コン、バイトetc……普通のキャンパスライフを送りながら、「その気になれば俺たちだって、何かできるんじゃないか」と考え、もがく5人の学生たち。社会という「砂漠」に巣立つ前の「オアシス」で、あっという間に過ぎゆく日々を送る若者群像を活写。日本全国の伊坂ファン待望、1年半ぶりの書き下ろし長編青春小説!


北村、鳥井、西嶋、東堂、南の5人の、大学に入学した春から、次の年の夏、また次の年の秋、さらに次の年の冬、そして春になるまでの大学4年間が、季節ごとに章を分けて描かれています。青春小説です。

これは伊坂幸太郎らしい作品だなーと思いました。とてもおもしろかったです。


この5人のキャラクターがみんな個性的でとてもいいです。

鳥瞰型の北村、合コン好きでお調子ものの鳥井、周りからちょっと浮いちゃう西嶋、常に冷静で美女の東堂、スプーン曲げやものを動かす不思議な力がある南。この5人は麻雀を介して仲良くなっていきます。


実際、西嶋みたいな人がいたら絶対私は仲良くなれないだろうなと思うのですが、彼らはちゃんと西嶋のことを理解して受け入れて、そして仲間になってるんですよね。


何より5人の仲の良さがうらやましいぐらいいいです。私達仲良しなんです!という感じではなく、なんとなく仲良くなってしょっちゅう麻雀したりして。べたべたしすぎず、それでいてお互いのことをよくわかりあっている感じがいい。


そんな5人を中心とした大学生活の”日常”が北村の視線で描かれています。彼らの日常の中にはちょっと大きな事件もあったりするんですが、あまり大げさではなくさらりと書いちゃうところが伊坂さんらしいです。

大学時代懐かしいなぁ。彼らの日常と私が送った大学生活とはだいぶ違うけれど、でも読んでいると大学時代を思い起こさせてくれます。

大学生に戻りたいな。

なんてことは、まるでない。(←物語中にでてくるセリフ。)


ラストはちょっト感動的です。爽快な青春小説でした。


そうそう、途中、西嶋が過去にお世話になった家裁調査官がでてくるんですが、それって「チルドレン」の陣内さんですかねぇ?伊坂幸太郎の作品は、他の作品の登場人物がさりげなくでてくるので要チェックですね。


★★★★