サウス カイバブ トレール(South Kaibab Trail)
サウスリムからコロラド川に下りるのは、主に2本のルートがある。観光のメインスポットであるBright Angel Lodgeの裏手からスタートするブライトエンジェル トレールと、一般車両は入れない、バスのみでそのスターと地点に行けるサウス カイバブ トレール。今回はサウス カイバブを降りて、ブライトエンジェルを登ってくる周遊コースとした。最終的にブライトエンジェルに戻ってくるので、そこに車を泊めておいたほうが便利なので、バスはブライトエンジェルロッジのすぐ裏から乗ることにした。 公園内は4本のバスルートがあって、ブライトエンジェルからは、そのうちの2本を乗り継いでカイバブに着ける。けれど朝7時にはカイバブとレール直行便がでる。これに乗った。
実はこの直行便のことを、そのときは知らず、ハイカーっぽい人たちがバス停で普通のバスに乗らずに待ってて、何してるのかなぁ、とのんびり準備をしながら眺めていて、ゆるゆるバス停にたどりつたちょうどその時に、Hiker’s Expressのバスが来た。なんかいいタイミングだった、くらいに思ってたけど、実はそのバスは1時間に1本だけ。それもその朝7時が最終の便だった、ということには、家に帰ってから知った。ちなみに夏の時期は6時が最後。
バスを降りて、すぐそばにラバの牧場があった。長い耳と愛らしい目で、ラバたちは人なつこく、しばらく相手をしているうちに他のハイカーたちはいなくなってしまった。リムの上で記念写真を撮ってから、トレールを降りていけば、前にも後ろにも誰もいない、静けさと朝の空気と差し込み始めた日の光とを、独り占めできる時間をかみしめる。道の看板に、どこまで降りるかはオプション、でも登るのは必須、と警告されている。もっともだ。降りるのには体力はいらないので、気がつけば体力を使い切っても登り終わらない地点まで、降りてしまうのかもしれない。
道は、ちょうど崖の陰になるので太陽が直接あたらず、そして視界はどこまでも広く、つづら折を下りていくほどに変わる景色に、すごい、の連発。本当にすごいと、ボキャブラリーがなくなる。風景が雄大すぎて、デジカメには収まりきらなくて、そのうちデジカメも使わなくなってしまった。今回トレールを降りてみて、グランドキャニオンの大きさを、あらためて感じた。これまで上から見ていて、目に見えるすべての景色まで、とても距離があるので遠近感がなかった。漢字にすると遠遠感、かな。それが下るにしたがって近い崖、ちょっと遠くの丘、ずっと遠くの谷間、そしてはるか彼方のノースリム。これらが立体的に迫ってくる、その迫力に圧倒された。グランドキャニオン、まさに偉大なる渓谷を肌で感じた。
サウス カイバブ トレールには、まったく水の補給地点がない。小川もない。降りていくのであまり汗をかかず、ひとりあたり2リッターの水を持っていったけど、十分に余裕があった。けれどこの道を登るの時はしっかりと準備しなければ、特に水がなくなったら死活問題だ。途中、道の反対側から登ってくる何人かの人たちとすれ違ったけど、装備から見て、ほとんどの人たちが引き返してきているようだった。
急にあたりの色が強いオレンジ色になった。岩肌も、道も砂も、海に沈んだばかりの夕日が空に残していった色に染まってる。その昔、海底だった場所に石灰の層ができて、それが隆起してできた場所のに含まれた鉄分が、酸化してこの色をつくった、とどこかの説明書に書いてあった。そこに、リスが出てきた。リスはグランドキャニオンのいたるところに生息しているのだけれど、このリスは、なんと緑色している。それに、トカゲまで緑色だ。ずいぶん変わった色だった、と思いつつ、これは帰宅後撮った画像をみてみたら、ちゃんと普通の地味な色をしている。まわりが赤い色でまぶしいくらいだったので、自分の目のホワイトバランスが調整しきれず、ほかの色を反対色である緑に感じてしまったのだ、ということに気がついて、それで納得した。
(つづく)


