酷暑が立秋を超え、処暑を過ぎても日本列島に留まっている。
台風の進路が北にずれて熱波が日本海側からも吹き寄せ、
連日熱中症アラートが発信されている。
8月8日。マウイ島のラハイナが焼土と化した。
歌に出てくるその街は、
自然が豊かで人々が大らかに日常を楽しむ様子が微笑ましいのだが、
防災への配慮が問題視される報道もあり、
そこに連日の乾燥と、ハリケーンの暴風が重なり、
大火災となったようだ。
地球温暖化から、地球沸騰へ。
それを私達は否応なく体感させられている。
マウイ島に限らず、山火事はあちこちで発生しているが、
今回は急激な乾燥という「フラッシュ干ばつ」が発生したこと、
乾燥に強く燃えやすい外来種の草が繁殖したことが、
大火災の原因となったようだが、
線状降水帯に悩まされていた日本にとっても、
他人事ではなくなってきた、と最近特に感じている。
コロナ禍で貴重な高校時代を終え、
成人を迎えた若者が、8月2日に突然我が家に泊まりにやって来た。
その前日、都内では集中豪雨があったのだが、
その中で彼女はひとり、大阪から新幹線で友人に会うために東京に来ていた。
宿を押さえたものの心細い思いで都会の一晩を過ごし、
母親の友人である私を頼ってLINEで連絡を試みたのだった。
本来なら彼女は、都内にいる友人宅に泊まるはずだった。
友人は大学生活における人間関係に悩み、
人と会える精神状態ではなくなったのだそうで、
恐らくコロナ禍で人との距離が保たれていた所から、
直接対峙する機会が増えたことで生じた弊害であろう。
都内滞在中、二人が会うことは叶わなかった。
都会で突如ひとり、
観光して過ごすこととなった彼女も災難だ。
気分転換換にと浅草観光に付き合ったが、
東京観光のメッカはやはり大混雑だった。
酷暑の炎天下、
日傘片手に食べ歩きするのが彼女の望む楽しみ方だった。
仲見世で飲んだレモネードに、
人形焼を乗せて写真を撮る感性で、
後日動画を送ってくれた。
1分程度の尺に、若者目線の東京が詰まっており、
突然の受難も私達には良い思い出となった。
本来なら一緒に楽しんだであろう彼女の友人とも、
いつかまた東京観光を楽しんで欲しい。
訪問介護士として地元で働き始めて、
今年の8月で8年目となる。
様々な出来事に心身ともに鍛えられながら、
今年の酷暑下でも何とか体を壊すことなく働けてるのは、
日常がスポーツのようだからだろうか。
帰宅途中で毎日会う地域猫に、
散歩がてら会いに来る人も増えた。
一方、捨て猫や不法投棄もあり、
先住猫には居場所を脅かす災難となっている。
人が動けば災いも起きる。
観光地では人手不足でイベントを中止する自治体も現れ、
問題回避策が実践され始めている。
自然災害と向き合いながら、
災いを福と転じるよう創意工夫を続けながら、
豊かな未来に向かっていきたい。
蕗356号 掲載予定