パイ毛からの卒業 | 手紙

パイ毛からの卒業

ある日のノミヤは、躊躇した。パイ毛をカットすることをである。そう、ノミヤにはパイ毛が生えていた。すなわち、乳輪から毛が生えているということである。いつもいつも、これを電動の眉毛カッターでカットしているのだ。彼女の気持ちが離れていかないように。十年の恋も冷めないように。だが、ふと思った。一体、あとどれだけこんな日々を過ごせばいいのだろう?と。あと何度自分自身パイ毛切れば本当の自由に辿り着けるだろう?尾崎豊がまだ生きていたら、面と向かって聞いてみたい気分だった。週末海外が叫ばれる時代である。ノミヤだって鼻毛カッターを持ち歩くのが相応しくない国へと旅立つこともあるだろう。勿論、彼女も一緒にだ。そんな状況がもし一週間も続いたらどうなる?毎日カットしてるのに。帰ってくる頃には密林になっているのではと危惧された。

昔はこんなはずじゃなかっただろう、とノミヤは自分の乳輪に言って聞かせた。すると、昔の懐かしい思い出がノミヤの脳にありありと思い出されてきた。そうだ!俺は昔、パイ毛をカットするのではなく、毛根から抜いていたんだ!ピンセットで!するとケアは週1ほどで良かったはずではないか!もし、旅行が二週間だとしても、折り返し地点で一度抜けばいいはずだ!
希望が見えたノミヤの顔は明るかった。