妄想うらら迷路帖 第7話 | 開発くんのブログ

開発くんのブログ

ピン芸人開発くん劇場が日払いで一人暮らしの日常も芸人活動を書き綴って行きます。

舞台は阿佐ヶ谷中心

開発「これは降るな」

黒い雲を見て判断した

開発「間に合いそうもない確かこの辺りに」

ぽつん

開発「あった、まだ残っておったか」

お堂を見つけた

開発「随分と古くなったものじゃ」

中へと入る

開発「懐かしいのう」

ここは私が幼き頃修行をしていたお堂である

ざー

開発「降ってきたか、少し遅かったら濡れていたわい」

ざー

開発「この音を聞くと昔に戻ったみたいじゃ」

ざー

すっ

私は昔を思い出し瞑想をして座禅を組み思い出に浸る

千矢「わーい雹!雹!」

すぐに打ち消された

開発「この声は」

紺&小&ノ「あっ」

千矢「聡ー」

開発「やはりお主らか」

浸れなかった

千矢「随分と古いお堂だね、今は使われてないのかなあ」

開発「20年は使われていないな」

小梅「詳しいわね」

開発「老朽の仕方から考えてじゃ」

小梅「怪しい!!にしても肌寒いし気味が悪いわ、お化けでそう…」

紺「怖い事言わないでよ!」

ざあー

?「…ぺっぽしっ」

小梅「だってさっきから雨音に混じって何か変な音が混じって」

開発「いるぞ、そこに」

紺&小「えっ!?」

ノノ「へぱっぽひっへぴゅ」

開発「可愛らしいのがのう」

ノノが嚔をしていた

開発「雨に濡れて冷えたのだろう」

私は奥へ行き

かっ

開発「ここに掛けられるから上着を」

紺「聡さん何でそんな物の場所を?」

開発「えっあっまあ、この辺にあるんじゃないかと思うての」

ノノと小梅の上着を掛けてやった

開発「儂の上着じゃ、冷えるといけないから羽織ると良い」

小梅「私はいいからノノに掛けてあげて」

ノノ「有難う、聡さん温かい」

小梅「それにしても付いてないわ、夕立なんて」

開発「そういう時もあるわい」

小梅「違うのよ、今日は朝から不吉なの、お茶碗割っちゃったし」

開発「それは不注意では?」

紺「私も今朝手鏡が割れちゃって」

開発「それは古い物だったからでは?」

ノノ「私も今日下駄の鼻緒が切れちゃって」

開発「鼻緒が切れる事等珍しくも、千矢は」

ドドドド

にゃーにゃーにゃー

黒猫の集団に懐かれていた

開発「これはあまりないのう」

遡る事数日前

ニナ「この様に吉凶の予兆にも様々な例があります、迷信とかジンクスとも言われるわね、日常の何気ない事柄が未来を教えてくれる事もあるのよ」

紺「でも迷信って根拠のないただの言い伝えじゃないんですか?」

ニナ「その通りよ、だから信じるも信じないも自由なの、そうよ唯の言い伝えだもの、雛人形を3日位仕舞い忘れたって全然大丈夫よ…大丈夫よね?」

紺「ニナ先生は信じてるんですね」

千矢「吉兆かあ、良い事が起きるってわかってたら一日中ワクワクしちゃうね」

小梅「今最悪な事が起きている様に見えるけど頭にでかい蜘蛛が」

ノノ「でもその逆は?」

紺「逆?」

ノノ「凶兆…悪い事が起きるってわかっちゃった時はどうしたら良いのかな?」

千矢「どうするのニナ先生!?」

ゴーン

ニナ「お昼の鐘だわ、じゃあそれは来週迄の宿題ね」

小梅「ああっ一日中モヤモヤしちゃう!!」

現在

小梅「ってこの間授業で習ったばっかりだったけど肝心の対処法を教えてもらえてないの」

開発「成程のう」

ずず

酒を飲む

小梅「他人事だと思って!!」

紺「確かに同じ日に全員凶兆が重なる何て変よね、今日はきっと恐ろしき凶日に違いないわ…」

ノノ「ええっそんなあ」

開発(愛いのう)

そんな若者を見ながら酒を飲む

千矢「ねーねー猫暖かいよ」

小梅「って千矢話聞いてた!?黒猫は不吉の象徴だって習ったでしょ!」

開発(ふふ)

紺「でもこれ以上悪い事って一体どんな事が起こっちゃうのかしら」

ノノ「うーん」

小梅「実はこの大嵐は序の口で大雨が降り続いて迷路町水没!とか?」

開発(此の位の雨でなるわけなかろう、もう数時間すれば止むわい)

紺「このお堂に住み着く幽霊に末代まで祟られちゃったりして」

開発(そこに10年近くいた儂はどうなる?)

千矢「此の儘帰れなくて夕飯抜きとか…」

小梅「あっそれやだ!現実的に一番やだ」

開発(ふふふ)

小梅「外は大嵐、不気味な廃墟に閉じ込められた5人…そこで突然起きる連続殺人事件!女学生千矢、令嬢ノノ、執事聡、使用人紺、一人また一人と息絶える哀れな彼等果たして事件の真相や如何に!?犯人はこの中にいる!!っていうのはどう?」

開発「犯人はお前じゃな」

小梅「じゃあ犯人は紺にしよう」

紺「何でよ」

小梅「紺の策略によって見知らぬ廃墟へと導かれた私達そこで待っていたのは」

妖怪紺「さあ何奴からとって喰らおうか」

小梅「そこで鉞担いだ千矢太郎と妖怪紺狐の命を掛けた」

開発「推理小説はどこへいったのだ」

紺「誰が妖怪よ」

かっ

千&紺&小「きゃっ」

ゴロゴロ

小梅「あれっノノは!?」

紺「えっさっきまでここにいたのにこんな嵐の中どこに」

千矢「あっノノ狡い」

開発「ノノ落ち着け」

雷が鳴った時

ぐっ

ばっ

開発「!!」

がっ

開発「ぐべら」

という事に

ノノ「御免なさい、聡さんでも雷ほんとにダメで子供っぽいってわかってるけど」

開発「大丈夫じゃ、ノノ」

頭を撫でた

開発「儂はあまりノノに好かれてないと思っていたから頼られるのは嬉しい」

ノノ「ううん、嫌ってないよ、ただ男の人と接した事なかったから」

開発「成程、儂をもっと頼ってもよいのじゃぞ」

ノノ「うん、じゃあもう少し」

開発「あっああ」

千矢「良いなあ、ノノ」

紺「私に任せて、本で読んだだけだから成功するかわからないけど、一か八かやってみるわ」

うにょ

鯱鉾みたいな体勢をとる紺

ノノ「聡さん怖い」

開発「よくわからんが儂も恐怖しておる」

千矢「聡どうしたらいいの」

小梅「何とかしなさいよ」

千矢と小梅に抱きつかれた

開発「紺それは何なのじゃ?」

紺「よく聞いてくれました、聡さん、これは古来から伝わる雨を止ませる為の日照り乞いの儀式…その名も水止舞」

開発「成程要するに雨乞いの逆じゃな」

紺「凡ゆる天災を鎮める祈祷もうららの大事な仕事だって母様が言ってたわ、この嵐は私が沈めてみせる!」

うにょ

開発「だそうだ、小梅」

小梅「私に振らないでよ、ノノほら笑わなきゃ」

ノノ「笑えない」

ノノは恐怖を忘れた儂から一旦離れた

ドゴオオ

紺「全然止まないどころか益々酷く」

開発「いやいやよかったぞ、なあ小梅」

小梅「面白かったわ」

ノノ「聡さん怖いよー」

恐怖を思い出してしまったようだ

開発「こんなのはすぐに止む、紺も元気をだせ」

小梅「なんか聡お兄ちゃんって感じね」

開発「保護者的な立場であるから間違いではないかも知れぬな、そういう小梅は姉上みたいじゃぞ」

小梅「ホント!?悪くないわね、その響き」

千矢「見て見て小梅、聡ー」

開発「何をしておる」

千矢が木に掴まり吹き飛ばされないように遊んでいた

開発「今のは危なかったぞ」

小梅「何でそんなに楽しそうなのよ、最悪の非常事態に」

千矢「だって全然最悪じゃないもん!知らない場所で雨宿りなんて初めてだし、冒険みたいでワクワクするよ、そりゃ一人だったら憂鬱かも知れないけど皆と一緒ならどんな事も楽しくなっちゃうの、変かな?」

開発「いやっ変ではない、素晴らしい考え方じゃ」

千矢「ノノが怖い物教えてくれたし」

開発「儂はノノに嫌われていないと知れた」

千矢「紺が怖いのはお化けかな?」

紺「違っ…!わないけど、何よ千矢だって鋏が怖い癖に」

千矢「これでおあいこだね、残るは小梅の弱点だけかー」

小梅「怖っ!!それなら一番知りたいのは聡よ」

開発「儂か!?」

小梅「そうよ、何で金持ちなのか?」

ノノ「男の子なのに迷路町に住めるのか?」

千矢「何で私と同じ位早いの?」

紺「何でこのお堂の中を知ってたのか?」

千&紺&小&ノ「弱点は何なのか?」

開発「ははは答える訳があるまい、知りたくば成長しろ、そうすれば知る事も出来よう」

お堂内は和やかになった

開発「病は気からという言葉を知っておるか?」

紺「ええ」

開発「良い事と考えれば良い事が起きやすく逆に悪い事と考えると悪い事が起きてしまう、これを西洋の言葉でサブリミナル効果と言うらしい、思い当たる節はないか?」

紺「言われてみればいい起きてもいない悪い事ばっかり探してたわ」

開発「そう、それこそが落し穴じゃ、物事の良い悪いを決めるのは自分次第だ(儂もそうだったからな)」

1番占から10番に堕ちた時の事を思い出した

紺「宿題の答え何と無くわかったかも」

小梅「良い事があったわね」

ざああ

小梅「よし雷対策を考えたわ、まずノノここに座って」

小梅は儂の膝の上を指差した

ノノ「えっでも」

開発「構わぬぞ」

ノノ「失礼します」

膝の上に座る

小梅「紺はノノの目を隠して」

紺「うん」

むにゅ

開発「!!」

紺「どうしました?」

開発「何でもない」

とくんとくん

ノノ「聡さんの心臓の音早くなった」

開発「そうかの?」

小梅「千矢はノノの手を持って」

千矢「うん」

小梅「私はノノの耳抑える」

紺「これなら完璧ね」

ノノ「ちょっと過保護過ぎるかも」

小梅「これだけいれば完璧でしょ」

ノノ「小梅ちゃん」

かっ

千矢「あっ光った稲妻がくるよ」

ゴロゴロゴロ

ノノ「うわー」

開発「もう大丈夫そうじゃな」

ノノ「うん」

皆離れた

千矢「今の大きかったね」

紺「稲光って綺麗なのね」

開発「儂はこの季節はこうやって雨風の音を聞き稲妻を見るのが結構好きでな、ノノはどうじゃ?」

ノノ「怖くなかった、皆でみたら花火みたいで」

開発「こういうのを風流というのだ」

ノノ「綺麗な言葉だね」

開発「であろう」

千矢「花火って何?」

小梅「夜空一杯に広がる巨大な火の玉の集合体みたいな奴よ」

千矢「雷よりよっぽど怖そうだよノノ!?」

開発「もうすぐ夏祭りの季節じゃな、迷路町の祭りは盛大じゃぞ」

千矢「行く!!」

ノノ「浴衣着ようよ」

小梅「そうそうそれで梅飴とか冷やし甘酒とか」

紺「花より団子なんだからそれより花火見物の舟はどう?」

開発「それなら儂が手配しよう」

紺「できるんですか?」

開発「容易い」

千矢「まだまだ初めての事一杯あるんだ」

小梅「そうよ、覚悟しなさいよね、きっと五人一緒なら凄く楽しいわよ」

開発「おっ晴れてきたな」

紺「終わり良ければ何とやら何だか今日も結局いい日だったみたいね」

小梅「そうねー、なーんか千矢乗せられたみたいで悔しいけどいい物も見れたし」

紺「雷の事?」

小梅「ううん鯱鉾」

紺「しゃち?」

開発「無自覚なのか!?」

千矢「ノノ元気になったね」

ノノ「うん、雷克服して何だかちょっと大人になれた気分なの千矢ちゃんのお陰だよ」

千矢「そっか良かった」

ゴロゴロゴロ

開発「また雷か?」

ノノ「お腹痛いかも」

ノノは大変な子だ

第7話 完