薩摩琵琶・後藤幸浩の-琵琶爺、音楽流浪

薩摩琵琶・後藤幸浩の-琵琶爺、音楽流浪

薩摩琵琶演奏家、後藤幸浩のブログ。演奏情報、演奏後期他、音楽ライター・大学非常勤講師等の経験から音楽関連の記事を中心に。詳しいプロフィールご参照ください。


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〇三味線、琵琶と歌謡、節、絃

好評だった「琵琶と60年代前後の歌謡曲」の続編です。今回は、常磐津三味線の演奏家、常磐津菊与志郎さんをゲストに迎え、三味線音楽と歌謡、節、絃のつながりをさらに聞いてみたいと思います。もちろん琵琶も。DJではなく、レコード・コンサート形式です (笑) 。少し幅を広げて、いわゆる伝統芸能的音源も。後半は前回同様、演奏です!







レア音源はありませんが、生演奏付き、よろしくお願い申し上げます!

12月8日 (土)  

19:00開店、19:30開演

案内人・演奏…
常磐津菊与志郎 (常磐津三味線)
後藤幸浩 (薩摩琵琶)

国境の南 (渋谷区道玄坂2-25-5 島田ビル3F 国境の南03-3463-5381)

料金…3000円 (1ドリンク付)






……


こちらは研究会、非公開ですが、一応…。

◯盲僧琵琶研究会

12月9日 (日)  14:00-18:00

成城大学

藤井貞和先生「物語の演唱と地神盲僧の語り物伝承」

後藤幸浩 琵琶演奏「酒餅合戦」

高木信先生「語り物ナラティブとしての盲僧琵琶」

司会は「琵琶法師」 (岩波新書) 著者の兵頭裕己先生です。


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 (エル・スール・レコーズ21周年で)

11月25日 (日) は昼と夜、性格がまったく正反対の現場で演奏。

昼は、琵琶楽協会の第28回秋季琵琶楽演奏大会 (於 東京証券会館ホール) に出演。一人で出演するのは、うーん、何年ぶりだろうか。

「木曽最期」を演奏、まあ、つつがなく、自分的にはO.K.な感じで終了。自分の準備・撤収もあるので、さすがに全部は聞けなかったが、久しぶりにいろいろな流派を聞いた感じ。

筑前琵琶、薩摩琵琶系の錦心流は、語り→歌への琵琶楽の変遷が如実に現れているな、とあらためて思った。ていねいな節廻しはやはり印象的。筑前琵琶は三味線音楽、薩摩琵琶の吟替の部分もうまく取り込んで工夫したんだなあと、これもあらためて感じた (基本の旋法系は微妙に違うが) 。




……

夜は、渋谷のエル・スール・レコーズの21周年記念パーティーへ。ワールド・ミュージック系 (もちろんその括りだけ扱っているわけではない) の愛好家で知らぬ方はいない重要店だ。店主の原田尊志さんは音楽ライターとしても大先輩だし、琵琶デュオ時代のCD『二人囃子』の紹介評も書いていただいたことがある。

ぼくはオープニングで、「口上」「蓬莱山 (抜粋)」「仏は常に (アジア・ヴァージョンw)」をメドレーで。

メイン・アクトはエル・スール界隈で大人気の津田耕治先生!浪曲から歌謡への流れを、ジャズやワールド系音楽 (に聞こえたw) のニュアンスも感じさせつつ、体現されてきた方。84歳、40分近くの熱演で素晴らしかった!


 (津田耕治先生!)

控え室で少しお話させていただいたところ、「祇園精舎」を御詠歌、和讃風に歌われたことがあったそうで、あれでよかったんかなー?とおっしゃっる。いやいや、大元はそういう類の音だったらしいので、まったく問題ありません、むしろすごいですよーとお答えした。

原田さんはじめ、エル・スール界隈の、還暦のライターの方々中心の還暦DJをはさみつつ、最後はRuhani BellyDance Artsの皆様のベリーダンスで桃源郷に。これも和テイストを軸にしたパフォーマンスになっていてじつに刺激的だった。



 (ベリーダンスで桃源郷(´▽`))


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前半の歌謡曲コーナーはこちらの選曲。以前、渋谷の国境の南でやった企画ともかぶってますので、ご参照ください↓

【国境の南~『琵琶と60年代前後の歌謡曲』、ありがとうございました(´▽`)|https://ameblo.jp/4biwa/entry-12411301317.html  】


①鼈甲斎虎丸「安中章三」
②真山一郎「刃傷松の廊下」
③三橋美智也「津軽じょんがら」
④美空ひばり「車屋さん」
⑤田端義夫「島育ち」
⑥青江三奈「恍惚のブルース」
⑦森進一「女のためいき」
⑧日吉ミミ「男と女の数え唄」
⑨永田錦心「石童丸」

①は浪曲。じつにファンキィなグルーヴ、節廻しは今聞いても新鮮・刺激的。こうした浪曲の要素と歌謡曲の要素が合体して、歌謡浪曲②が出て来ました。

③、民謡歌手でもあった名歌手が、師匠だった白川軍八郎の津軽三味線とサシでの録音。④は陰旋法、三味線、都々逸…伝統音楽的要素とビッグ・バンド・ジャズの要素が見事にクロスオゥヴァした傑作。

⑤はヨナ抜き旋法の曲ながら、タイトルどおり、沖縄の島唄にも近いニュアンスが。三味線もゆったりして①~④とは好対照。ここまでは、三味線と伴にあった芸能→歌謡へ、の流れをおおまかに。

⑥~⑧は伝統音楽独特の節廻し、あるいは雑味のある、ハスキーな声色が歌謡曲の中で威力を発揮した例として。⑥⑦、当時 (66年) のモダンなコード進行、アレンジとヨナ抜き基盤の旋法、声色が見事に共存。⑨は70年の曲ですが、語りもの系の太い発声をダイレクトにぶつけた印象。曲調も、ABAなどの構成がない子守唄的なもの。演歌とも違う独自の魅力が。

⑨は、東京、すなわち都会の人たちの嗜好に合わせた、クールな歌い廻しで一世を風靡した、薩摩琵琶系の新流派=錦心流の開祖の代表作。

大元の薩摩琵琶 (正派とよぶ。後藤の琵琶もこれ) と使う楽器は同じだし、節の構成も八割方共通していますが、歌い方が決定的に違う。充分歌謡性にあふれていて、薩摩琵琶系音楽の語り→歌物への変化がここで完成されたと考えています。根底には、薩摩藩時代にさかんに作り、歌われていた、恋歌系のニュアンスもあり、それがここにきてまた表に出たのかもしれません。

……

後半は60年代の、テレビ漫画の主題歌をいくつか。

①ハクション大魔王のうた (「ハクション大魔王」より 歌…嶋崎由理)
②大ちゃん数え唄 (「いなかっぺ大将」より 歌…吉田よしみ)
③天才バカボン  (「天才バカボン」より 歌…アイドルフォー)
④サスケ (「サスケ」より 歌…ハニー・ナイツ) 
⑤佐武と市 (「佐武と市捕物控」より 歌…マイスタージンガー)
⑥どろろの歌 (「どろろ」より 歌…藤田淑子)




昨年の講義から使い出した企画で、自分のライヴでも、もう少し曲を増やし演奏と込みでやったことがあります。

この頃の漫画は、魔法使い、妖怪など異界の人々との交流の中で、人間・異界の人々がお互い喜怒哀楽をともにし、お互いの世界を対象化した末に、別れが待っている、というパターンが多かったようです。

「天才バカボン」は人間が主人公ながら、 "普通" からは大きくかけ離れた立ち位置にいる家族ですし、「いなかっぺ大将」の大ちゃんは、ド田舎から出てきた柔道少年。都会人にとっては異質のキャラクターです。当時の、集団就職で上京してきた人々の立場も反映しているかと思います。

そして、「サスケ」は徳川方と敵対する忍者、「佐武と市」は浅草の、いわゆる "二足のわらじ" の下っ引きと盲目の按摩のコンビ、「どろろ」は、武将である親が、功名心と引き替えに魔神と交わした約束のため、身体にいくつもの欠損をかかえて生まれた百鬼丸と、盗賊の子供である、どろろのコンビの物語。物語じたいが日本の芸能の根底とリンクしまくっていてほんとうに面白い。



①は当時のトレンド、ファズ・ギターも冴え渡るロック調の曲ですが、背後には市丸の「三味線ブギウギ」など、和物+洋楽のニュアンスも聞こえますし、確か当時中1だった嶋崎由理の歌い廻しはハスキーな声色で、和的な節をず太く廻し爽快。和パンクですなあ (笑) 。ちなみに、テレビ漫画の中での、アクビ娘の "おと (父) さま~" という甲高い声は義太夫他の太夫の声色から来ている?とも思ってます。

②、歌っているのは若かりし頃の天童よしみ。今と変わらない安定の節廻し、音頭のニュアンス、三味線的ですが微妙なニュアンスの違いが新鮮なバンジョーなど聞きどころ多し。③、浪曲の節を、今で言うサンプリング的に突然挿入するアイデアは天晴れ。 "あ、たいへ~ん" 、という甲高い掛け声は、浪曲の曲師の掛け声に似ている?部分的に、今ではキケンがアブナイ (笑) 歌詞もいい。


④⑤⑥、和楽器の特性、グルーヴ感を充分活かした、どれも傑作。④は琵琶もちゃんと入っています。放送では、④⑥は、ナレイションで前回までのあらすじを説明する部分で、琵琶は効果的に使われていました。




………

この次の講義では、取り上げた漫画のコンセプトにちなんで、異界のキツネ (野干) と、人間との交流と別れを描いた「葛の葉」を。今でも人気の陰陽師、安倍晴明のお母さんは、信太の森のキツネ (野干) だったという話です。説経節をはじめ、さまざまな芸能で取り上げられています。キツネ (野干) のお母さんは別れ際に、陰陽師の力を発揮するための、竜宮世界の秘伝の箱、水晶の玉などのアイテムを遺していきます。これは後藤のオリジナルのヴァージョンを演奏。

他、 "揺り" と "ヴィブラート" の違いを、この「葛の葉」の冒頭を一緒に歌ってもらい体験的に。

参考に、欧米ポピュラー音楽の歌い廻しの違いの例として、カーペンターズの「ア・ソング・フォー・ユー」と、リオン・ラッセルの「ア・ソング・フォー・ユー」を比較。




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