『知らないカノジョ』ネタバレの詳しいあらすじ | アンパンマン先生の映画講座

アンパンマン先生の映画講座

映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

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監督:三木孝浩 2025年

主な登場人物(俳優)役柄

神林リク(中島健人)元の世界ではベストセラー作家でミナミと結婚。別の世界では文芸誌の編集部員。

前園ミナミ(milet)元の世界ではリクの妻。別の世界では歌手として活躍し、リクと出会っていない。

梶原恵介(桐谷健太)大学時代からのリクの親友。別の世界ではリクと同じ出版社の編集者。

春日研一(八嶋智人)出版社の編集長。

小松みのり(円井わん)別の世界で出版社のリクの先輩社員。

金子ルミ(中村ゆりか)別の世界で編集者のリクが担当する新人作家。

田所哲斗(眞島秀和)別の世界のミナミの音楽プロデューサーで恋人。

前園和江(風吹ジュン)ミナミの祖母。

 

 小説『荒廃したビルが立ち並ぶ。カロアスは敵から銃撃され、逃げていた。ここがどこか分からないまま。ここは自分がいた世界ではない』

 大学の講義中に、神林リクは上記の小説『蒼龍戦記』をノートに書いていたが、教授に見つかってノートを没収される。講義後、リクは一緒に授業を受けていた大学8年の梶原恵介に慰められるが、作家を目指すリクは諦められない。校内ではサークルの勧誘が行われており、梶原はチェアリーダーサークルにちょっかいを出す。

 夜中、リクは大学の教授の部屋に忍び込み、ノートを回収する。部屋から出ると警備員に見つかり、校内を逃げ回り、講堂の入口の陰に隠れる。講堂の中から歌声が聞こえるので中に入る。

 講堂の軽音楽サークルの道具が置いてあるステージ上で、女学生がギターの弾き語りをしていた。女学生はリクに気づいて演奏をやめる。するとリクを追ってきた警備員が講堂に現れる。リクと女学生は一緒に逃げる。女学生は金網フェンスにリクを連れて行き、「行って」と破れ目から逃げるように言い、女学生は別方向に逃げる。リクはノートがないことに気づく。

 小説『カロアスは相棒に出会った。彼女の名はシャドー。カロアスはシャドーと敵から逃げる。シャドーが「行って」とカロアスを逃がす』

 次の日、リクが梶原に、ノートを取り返したがどこかに落とした事と、女性との名前も連絡先も聞く暇がなかったと話す。すると、その女性が2人の前に現れ、梶原と同じフランス語の講義を受けていた前園ミナミだった。ミナミはノートを返し、リクの小説を読んで「続きが気になる。すごく良かった」と感想を話す。ノートの最後に「続きはどんな話か気になるニャ」と書かれていた。梶原は後方で、チェアリーダーと、2人の応援をする。リクは「歌も良かった。もう一度君の歌を聞きたい」と話す。

 ミナミは公園で路上ライブを行い、聴衆と一緒にリクも歌を聞く。ミナミは「時々、歌いに来る」と話す。リクは「プロを目指すべき」と励ます。

 リクが小説のアイデアを聞くと、ミナミは「相棒を出したら?」と言う。リクも「俺も、前園さんと出会ってビビッと来た」と話す。ミナミは「完成したら読ませてほしい」と言い、リクは「1人目の読者になってほしい」と言うと、ミナミも「私もビビッと来ているかも」と応える。

 (オープニングクレジット)

 2人でデートを繰り返す。

ミナミはライブハウスで歌い、リクも聞く。2人は一緒に暮らす。家の壁を壊してリビングを広くする。リクは完成した小説『蒼龍戦記』を郵送で応募する。老人ホームで暮らすミナミの祖母・前園和江に会う。クリスマスをリク、ミナミ、梶原、カナと祝う。『蒼龍戦記』が出版される。リクは和江に本を贈る。和江はリクに指輪を挙げる。リクはその指輪でミナミにプロポーズする。リクとミナミは結婚する。『蒼龍戦記』はベストセラーになり、『蒼龍戦記Ⅱ』も出版される。出版記念パーティーが行われ、リクは多くの記者から取材を受けるが、ミナミは寂しがる。ミナミはライブハウスで歌うが、リクの姿はない。ミナミはデモCDを音楽オーディションに応募しようとするが、やめる。ミナミが夕食を準備するがリクは帰らず、テレビ番組に出ていた。

 (タイトル『知らない彼女』)

 月食の夜、リクは家に帰ると、食事が準備されていた。リクは、パソコンで原稿を書き始める。妻のミナミが飲み物を持ってきて「新作、終わりそう。完成したら読ませて」という。リクはイライラしながら「まだ。今じゃなくていいだろう」と言う。ミナミは「前は一番目に読ませてくれたのに」と言うと、リクは「今、大詰めなので、邪魔しないで」と怒る。

 小説『シャドーは死ぬ。やるべきことがある。カロアスは一人で旅を続けるのを選んだ。(了)』

 『蒼龍戦記Ⅲ』を書き終えたリクは、原稿をメールで送ったと出版社に電話する。編集長が「明日、サイン会が10時からある」と確認する。リクは川辺を散歩する。ニュースで「スーパームーンの月食は50年ぶり」と報じていた。

 ミナミがプリントアウトされた『蒼龍戦記Ⅲ』を読むと、最後にシャドーが死に「カロアスは一人で旅を続けるのを選んだ。(了)」と書いてあり、衝撃を受けて泣く。

 リクは酔って帰ると。妻のミナミがベッドで寝ており、原稿を読んだ事を知る。皆既月食が始まる。

 朝、リクが携帯の着信音で目が覚める。電話に出ると春日研一編集長が「早く会社に来い!」と怒鳴る。妻はいない。不審に思いながら、リクは出かける。

 リクは出版社に行き、会議中の編集長に「遅刻したのは悪いが、原作者抜きで映画化の話を勧められては困る」と文句を言う。編集長は怒り、出て行けと言う。社員の梶原が編集長に謝り、リクを連れだす。リクが「『蒼龍戦記Ⅲ』のラストが気に入らなかったのか?」と文句を言うと、梶原は「完成したのか?」と聞く。

 先輩女性社員の小松みのりがリクを書店のサイン会会場に連れて来る。リクが作者用の椅子に座っていると、みのりが慌ててリクを立たせ、法被を渡し「最後尾」のプラカードを渡す。ここはリクではなく、羽田圭介のサイン会会場だった。

 リクは法被とプラカードを投げ捨て、外に出てタクシーに乗り、とりあえず桜木町に向かう。タクシー内でミナミの電話番号を検索するがなかった。タクシーの隣にトラックが止まり、荷台にミナミの写真がラッピングされているのに驚く。ラジオ局の生放送で「チャート1位、前園ミナミ」と彼女の曲が流れる。リクはタクシーでラジオ局に向う。

 ラジオ局の周りには沢山のファンが詰めかけており、リクがファンの持っていたチラシを奪い取ると、ミナミの新曲発表のチラシだった。ミナミが出てくると、ファンがチラシにサインを求める。リクの前に来たミナミは、サインを欲しがっていると思って「お名前は?」と聞くので、リクは驚く。通り過ぎようとしたミナミの手を、リクは「待って」と言って取る。するとミナミの音楽プロデューサーの田所哲斗がリクを制する。

 リクが街頭に出ると、あちこちにミナミのポスターや、モニターにミナミのMVが映っており、リクは衝撃を受ける。

 リクが家に帰ると、取り壊したはずの壁があった。壁にはミナミのポスターが貼られ、ミナミのCDがあった。リクがパソコンで『蒼龍戦記』を検索すると、何もない。「前園ミナミ」を検索すると、大きな会場でのコンサート映像があった。

 梶原が「心配している」と電話をよこす。梶原の話では、リクは小説家になるのを諦め、梶原はミナミと語学講座が一緒だったが、リクとは出会っていなかった。リクは「頭がおかしくなったみたいだ」と唸る。

 呼び鈴が鳴ってドアを開けると、梶原がいた。リク「俺は前園ミナミと結婚していた」と言うと、梶原は「思いつめたファンほど怖いものはいない」と言う。

 リクは病院でCTを受けるが、異常なし。

 会社で梶原がリクを連れて編集長に「こいつ記憶障害で」と謝る。リクは「おかしいのはこの世界の方」と梶原に言う。梶原は「パラレルワールドかも。思い当たるきっかけは?」と聞く。リクは「小説を書いた。喧嘩した」と教える。

 梶原はホワイトボードに「A前の世界。B今の世界」を図解し、「原因は、①神のいたずら。②誰かが願った」とし、「一番の可能性はミナミが願った」と言う。リクが「元の世界に戻るには、ミナミと仲直りしないと」と言うと、梶原「知り合ってもいないのに、仲直りは無理。ミナミの家族や知り合いは?」と聞く。

 リクが老人ホームに行くと、前園和江が「お久しぶり」と迎える。リクが孫の夫だと覚えていると思って挨拶し、ミナミが好きなワッフルをお土産に渡す。和江はリクを読み聞かせのボランティアだと思って、本を渡す。そこにミナミが来て、ラジオ局の前で腕を掴んだ男だと気づいて田所に「ファンが勝手に来た」と電話する。和江は「ミナミ、この人は良い人よ」と言う。

 田所がやって来る。梶原もやってきて、名刺を渡し、田所と警官に謝る。

 リクは「ストーカー扱いされた」と怒る。梶原は「諦めるか。一ファンとして過ごすか?」と聞く。リクは「ずっと一緒にいるのが当たり前だと思っていた。ミナミがいないなんて、こんな世界は生きる価値がない」と言うと、梶原は「俺はこっちの世界で生きている」と怒る。リクは通帳と印鑑を梶原に渡し「全財産を渡す。協力してください」とお願いする。

 ミナミは和江にワッフルを買って来る。和江「あの人にお礼言わなきゃ」と言うと、ミナミ「私が買った。前のは捨てた。何が入っているかわからないって」と言う。和江は「あの眼鏡の人が言ったのね。嫌な人」と言う。

 田所が「明日あの出版社と会う。会うか?」と聞く、ミナミ「あなたが同席してくれたら」と答える。

 リクと梶原が、ミナミと田所に会う。梶原は「小説家のリクがあなたをモデルにして小説を書きたい」と持ち掛ける。ミナミは「作家さんだったの?」と驚く。田所が「印税配分や契約書は?」と聞き、梶原が「それはおいおいと」と誤魔化すと、「私は全てプロデュースを請け負っている」と迫る。ミナミは「祖母とどんな話を?」と聞き、リクは「僕は読み聞かせに。読んでほしい本があったので」と答える。田所が「詳細は後で」と話を打ち切ろうとすると、ミナミは「受けます。よろしくお願いします」と引き受ける。

 スタジオでリクと梶原がミナミにインタビューする。ミナミは「歌手を目指していた祖母の影響で、歌を始めた。両親と疎遠になって、歌をやめた。4年前、新歓ライブの講堂で、こっそり歌った。その時、男の人と出会った」と語る。リクが「俺だ」と期待するが、ミナミは「軽音サークルの人に褒められて入部した。卒業1年目でデビューした」と話す。リクは「俺と出会っていなかったら、デビューしていた」と驚く。梶原は「外で話したら?」と気を利かせる。

 カフェでリクがミナミにインタビューする。リクは「普段の前園さんの素顔を見たい」と話すと、ミナミは「素顔を求められると思っていなかった。声と手には保険が掛けられ、料理も運転も禁止」と話す。リクは「日常があった頃の風景を見に行こう」と誘う。

 リクとミナミは出身大学に行く。お互い文学部と知ってミナミは「どこかですれ違っていたかも」と言う。リクが破れたフェンスを見せるが、ミナミは覚えていなかった。2人は講堂へ行き、ミナミは「いつかここでライブしたい」と話し、リクは「入り切れない」と言う。

 祖母の和江にもインタビューすると「私が歌手をしていた頃は有名だった。眼鏡の人と付き合っているの。あの人嫌い」と話す。

 リクは梶原に「ミナミと田所が付き合っている」と電話する。梶原が隠れて聞いていると、編集員が聞いていた。

 公園の道に来て南が「いつもここで歌っていた」と教える。リクが「何で?」と聞くと「誰かに聞いてほしかった」と教える。

 ミナミが「小説が完成したら、最初に読ませて」と頼む。リクの差し入れを食べ「このエッグタルトが好きだと公表していないのに」と驚くと、リクは「甘いものが好きだと言っていたから」と誤魔化す。リクが「料理が得意で、自分で作っていない?」と聞くと、ミナミは「苦手で、外食ばかり」と答えるので「君は料理好きだと思っていた」と言う。ミナミは「前の自分を少し思い出させてくれて、凄く良かった」と礼を言う。

 リクの出版社の週刊誌に「ミナミとプロデューサーの熱愛」の記事が出る。リクは必死に記事の変更を願い出るが、叶わなかった。

 リクと梶原は、ミナミと田所に謝罪する。田所は「これが最初から目的だった?君との関係はこれまで」と言う。ミナミは「言い分けないの?」と聞くが、リクは無言。田所が「裁判を覚悟しなさい」と言うが、ミナミは「裁判はしない。二度と関わらない。一度も会わなかった。それでいい?」と言う。田所は「君と関わるとミナミが不幸になる二度と顔を出すな」と言う。

 バーで梶原が「ここからが山場だ」と慰めるが、リクは「何ができるんですか」とやけ酒を飲む。梶原は「お前は自分勝手。ここには生きる価値ない。俺はカチンときた」と言う。リクは「ミナミを幸せにするつもりだった。どうしてどっちも上手くいかない。俺と関わると不幸になるなんて」と嘆く。梶原は「小説を書くきっかけは?」と聞く。リクは「ミナミがいたから書けた」と答える。

 リクは編集長に謝り、必死に働く。先輩のみのりの助言を聞き、書店を回り、没になった原稿を読んで、新人の金子ルミにアドバイスする。

 ミナミはレコーディングが上手くいかずに悩む。田所が「世界が求める才能を君は持っている。全て任せてくれればいい」と言う。

 ミナミがレコーディングの建物から出ると、入口に梶原が現れて「あいつは純粋にあんたを思っている」と言って、ミナミに金子ルミの『少女と兎』の本を渡し、マネージャーが来る前に急いで逃げる。

 金子ルミと出版社社員が打ち合わせする。

 ミナミが車に乗ると『少女と兎』の本があり、田所が「その映画化の主題歌の依頼が来た。編集者はあいつだ。後書きに作者が『編集者と伴走をして書いた』とあった。自分で書いたと思わせるようにコントロールしないと」と言う。ミナミは「私をうまくコントロールしている?」と聞く。田所が「この話は断る」と言うと、ミナミは「自分の仕事は自分で決める」と言う。

 ミナミは祖母に『少女と兎』をプレゼントする。

 リクは梶原に「クローゼットでミナミのデモCDを見つけた。応募していなかった。彼女は自分を犠牲にして、俺の事を支えていた。僕は分かっていなかった。だから罰が当たった。だんだん、元の世界がなかったと、妄想だったと…」と話す。

 和江はリクに「あの子を頼む。戻ると、何かを失う」と話す。和江は自分の結婚指輪をリクにあげる。するとリクに編集長から電話が来て「早く会社に来い。前園ミナミがお前をご指名だ」と言う。

 リクは急いで会社の会議室に行くと、ミナミ、田所、編集長、ルミが揃っていた。ミナミは「本を読みました。凄く良かった。後書きも読んだ。元々は没にされたそうね」と言うと、ルミが「それを神林さんが」と教える。ミナミは「デビューした頃を思い出した。その曲を提供しようと。未完成だから、皆の意見を聞いて。あなたも含めて手伝ってもらえるなら、担当したい」と話す。ルミは「ずっと神林さんのお陰。感謝してもしきれない」とリクの手を握り感謝するので、リクは慌てて手を離す。

 レコーディング室でミナミがリクと話す。外でルミが羨ましがって見る。

 レストランでリクが「お祖母さんから貰って、前園さんに返そうと」と言って指輪を返すと、ミナミは「返すのでなく、貰えるのなら受け取る。覚悟できた?」と言う。リクは「君と夫婦だった。だから何でも知っている。前の世界で俺はヒット作家。ここでは君が大歌手。俺は全て失った。君は他の人を愛していた」と話す。ミナミが小説だと思い「つまらない。もっと面白い話にして。私が考えてあげる。8年前、私はあなたに一目惚れ。大恋愛する。私は歌手、あなたベストセラー作家。旅行して。子供も3人。犬も。そうやって気付けば、あっという間にお爺ちゃんとお婆ちゃんになって、最期の日を迎えるまで一緒。良い人生でしょ」と話す。それを聞いたリクは「そんな人生を送りたくて、小説を書いていたはずなのに」と泣く。ミナミは「いつから書いているの?」と聞くと、リクは「いつから歌っているの?」と聞き返す。ルミから電話が来るが、リクは無視する。ミナミは「行きたい所あるの。連れて行って」と頼む。

 自転車に二人乗りして走り、リクの家に行く。ミナミは書斎のパソコンのフォルダに『蒼龍戦記』を見つけ「小説のタイトル?」と聞くと、リクは「上手く書けない」と言う。ミナミは「読ませたくないの?」と聞く。二人は見つめ合い、リクがミナミにキスしようとすると、ミナミに電話が来る。田所が「今すぐ帰ってこい。あの男もいるんだろう」と言う。

 2人は田所の家に行く。田所はシャンペンを注ぎ、ミナミに「海外の活動契約が決まった。これが終わったらロスで活動する。君も1ファンとして応援してくれ。君は前園ミナミの邪魔をしている」と言う。リクは帰る。

 ミナミが「海外に行くのはまだ先では?私にはお婆ちゃんがいる」と言うと、田所は「アーティストの賞味期限は短い」と答える。

 リクがアパートに帰ると、家の前にルミがいた。ルミは「神林さんに電話しても出ないから」と言う。酔って具合が悪そうだったので、リクはルミを家に入れる。ルミは「どこに行っていたのですか?本が出るまで、ずっと私のことを見てくれていた。本が映画化されたら、私に興味なくなった。作家と編集者は一心同体だと言っていたのに」と言って、キスを迫る。リクは「そんな目で見ていない」と振りほどく。ルミは「前園ミナミはどう?」と言って帰る。

 次の日、リクが会社に行くと「金子ルミから訴訟。編集者が関係を利用して迫って来た」の記事が出る。リクは「全く違う」と言い、編集長もあり得ないと認めるが、自宅謹慎を命じる。リクが正面入口から帰ろうとすると沢山の記者がいて、梶原が慌ててリクを引っ張って行く。

田所はミナミに「映画化の話は白紙になった」と知らせる。

 リクは梶原の家に匿ってもらう。梶原は「結婚して買った。今は独り身なので、気兼ねなく使って良い」と話す。リクは「前の世界ではカナと付き合っていたが、振られた」と教える。

 ミナミは和江に会うと、読み聞かせの本を見つけ、和江が「あの人が読んでくれるのが面白い」とはなす。ミナミが中を開くと『蒼龍戦記』と書かれていたが、次のページからは白紙だった。和江は「続きが気になる」と話す。ミナミが指輪を返すと、和江が「受け取ったの?」と聞く。ミナミは「返しに来た」と言うが、考え直して貰う。

 梶原はリクに「やる事ないだろう。小説を書け」と勧める。リクが部屋の扉を開くと、仏壇だった。梶原は「3年前、カナがトラックに轢かれて死んだ。葬儀にはお前も参列した」と教える。リクは「俺に出来ることがあったら、言って下さい」と言う。梶原は「3年前のお前の恩を、今返しているだけ。カナが生きている世界があったら、行きたい」と話す。リクは謝る。梶原は「小説書けよ。小説家の自分に戻りたいんだろう」と言う。リクは「戻りたいだけじゃなく、読ませたい人がいるのを思い出した」と言う。

 リクにミナミから電話が来て「ニュースを見た」と言う。リクは「迷惑かけてごめん」と謝る。ミナミが「これからどうする?」と聞くと、リクは「小説を書く。書き終えたら読んでもらいたい」と話す。ミナミは「ツアーの最後に、大学の講堂でコンサートをやる。聞きに来てほしい」と頼む。

 リクは小説を書く。梶原は「面白い。カロアスとシャドーのコンビが最高」と言う。リクが「でもシャドーは死ぬ。展開を変える為に仕方ない」と応え、「この結末を知っているのはミナミだけ。望んだのはミナミだった。結末を変えれば元の世界に帰れる」と気づく。

ミナミの日本で最後のコンサートツアーが始まる。

 リクは「カロアスは一人で旅を続けるのを選んだ」の文を削除する。カロアスは「死ぬな、シャドー」と言いながら、シャドーの心肺蘇生をする。

 最終コンサートの日、リクは小説を完成し、プリントアウトする。原稿を持ち、部屋に一礼すると、梶原の車で大学に向かう。月食が始まる。リクは「あの日も珍しい月食だった」と思い出す。

 大学の門で梶原はリクを降ろし「お前が帰れば、元に戻れる。あっちの俺とも宜しく」と励ます。リクは「カナさんによりを戻せるように説得します」と約束し、大学に入る。

講堂では入場が始まっていた。和江も来ていた。リクは「小説を書いた」と教えると、和江は「戻るのは、何かを失う覚悟が必要よ」と警告する。

 リクはミナミの楽屋に行き、「前に読みたいと言っていた小説。暗い話じゃない」と言って原稿を渡して帰る。ミナミはライブが終わったら読むと約束する。

ミナミは小説を読むが、直ぐにライブ開始の合図が来る。

 リクが席に着くとライブが始まる。ミナミが「次の曲は、私がデビューする前に、誰かに聞いてほしくって作った未発表曲です」と言って、大学時代に公園の路上ライブで歌っていた曲を披露する。リクは泣きながら聞き、ミナミとの出来事を思い出す。リクは席を立つ。

 リクはミナミの楽屋に入ると、原稿を持ち去り、廊下のゴミ箱に捨てる。ミナミが楽屋に戻ると原稿が無く「いいライブだった。君の幸せを願っている」のメモがあった。ミナミがリクを探しに楽屋を出ると、田所が止める。ミナミは田所に「どこに行っても愛してくれる?ここに居なくても愛してくれる?」と聞く。田所は「彼は違うのか?」と聞くと、ミナミは「きっと」と答える。

 ミナミは廊下でリクを見つけ「どうして?」と問う。リクは「自分の事ばかり考えていた。君のいる世界を壊したくない」と話す。ミナミは「勝手に現れて、私をかき回してばかり。ずっと私のために頑張ってくれていたんでしょ。私に読ませるためじゃなかったの?」と言う。リクは「そのつもりだったはずなのに、いつの間にか」、ミナミ「だったらもう一度やり直して。今度こそちゃんと私の為に」と和江の本を渡す。題名の次のページには「どんな話が始まるのかニャ」と書かれてあった。リクが「何から話せばいいか」と言うと、ミナミは「それ始まっている?」と聞く。リクは「まだ、考えている」と話し、ミナミにキスする。月食が終わる。

 朝、リクが目覚めると一人だったので、がっかりする。すると妻のミナミが来て「遅い。朝ご飯、リクの担当でしょ」と怒る。ミナミは「新曲のタイトルを考えて」と言ってリクに抱き着く。テーブルの上には、リクが小説家、ミナミが歌手として成功した写真や、2人の結婚式の写真があった。

(エンドクレジット)

(写真は「映画com」「公式X」より)