『天空の城ラピュタ』ネタバレの感想 文明批判やアニメ映画、冒険映画として一流(再掲) | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

 2024年8月30日に「金曜ロードショー」で『天空の城ラピュタ』を放映するので、2022年8月に掲載した「ネタバレの感想」を再掲載する。

 評価 5/5 ☆☆☆☆☆

 本作『天空の城ラピュタ』(1986年)は、宮崎駿が監督した長編アニメ映画として第4作になる。有名なジョナサン・スウィフトの『ガリバー旅行記』(1726年)に登場する、巨大な「空飛ぶ島」ラピュタをモデルにしているのが興味深い。

 宮崎駿監督は航空機が趣味だそうで、前作の『風の谷のナウシカ』(1984年)もそうだったが、本作にも変わった航空機が多数登場するのが楽しい。まず、冒頭でシータが囚われた飛行客船が登場する。それを襲う、空中海賊ドーラ一家が乗る、昆虫型はばたき機のフラップターが面白い。ドーラ一家の本艦は飛行船タイガーモス号であり、更にその見張り台は翼を広げると凧になるアイディアが素晴らしい。軍の巨大戦闘飛行船ゴリアテも迫力ある。

 宮崎駿監督の「空を飛びたい」と言う願いが、シータが持つ「飛行石」を生んだのだろうか?飛行客船から転落したシータが「飛行石」によって、ゆっくりと鉱山に落ちて来る浮遊感の描写が良い。シータとパズーが破壊された線路に掴まる場面もスリルがあり、パズーが力尽きて落下すると、シータとパズーが手を取り合ってゆっくり廃坑へ降下していく場面も美しい。

 また、困った時の呪文は、ラピュタがある方角を示すなど、「飛行石」には様々な能力があるらしい。この「飛行石」の能力は、ラピュタの伝説を継承しているムスカだけでなく、空中海賊ドーラも知っており、かなり有名らしいが、恐ろしい力があるためか、持ち主のシータは、母や祖母から詳しくは知らされていないらしい。

 その呪文によって、ラピュタのロボットが生き返る。ロボットが放つビームによって、要塞が破壊され、砲台が真っ二つにされ、そのすさまじい破壊力が恐怖である。その惨状の中から、パズーとドーラがシータを救い出す場面がスリルあって感動した。

 なお、このロボットは、宮崎駿の脚本・演出したTVアニメ『ルパン三世』第155話「さらば愛しきルパンよ」に登場していたので、宮崎駿ファンとしては嬉しい。

 このような強力な科学力を持つラピュタ文明はなぜ滅んだのか、映画中では説明はないが、パンフレットには「ガリバー旅行記のラピュタにはモデルがあった。プラトンの『天空の書』に書かれたラピュタリチスは、余りに高度に発達しすぎた文明生活の末、ラピュタ人は生命力を失い、次第に人口を減じ、突如発生した奇病により滅亡した」とある。本作のラピュタ王国でも、同じような事が起きたのではないだろうか。本作は、あまりに科学力に頼る文明は滅びると言う、文明に対する批判のような気がする。

 さて、呪文の中で一番恐ろしいのは、「滅びの呪文」であろう。パズーとシータが「飛行石」に手を重ねる。2人が一緒に「バルス!」を叫ぶと光がほとばしり出て、ラピュタを浮かせていた巨大な飛行石が落下し、ラピュタ全体が大崩壊を始める。死を覚悟してムスカの野望を止める2人の行動に感動した。

 この大惨事から2人はどうやって脱出するのかと思ったら、ラピュタに乗って来た見張り台の凧が運よく(運が良すぎるが)引っかかっていて、それで脱出するのに感心した。パズーとシータが乗った見張り台の凧は、夕方の空に飛び去る。すると、澄んだ声の井上杏美(現在は「井上あずみ」)による主題歌『君をのせて』が流れてきて、それを聞いて涙が浮かんで来た。

 ヒロインのシータが積極的に行動し、敵かと思ったドーラ一家がパズーに協力し、人間ドラマとしても、アニメ映画としても、冒険映画としても、一流の作品であろう。評価は「5」である。