ドラマ『ブラック・ジャック』ネタバレの感想 B・Jの人間らしい優しさに感心した | アンパンマン先生の映画講座

アンパンマン先生の映画講座

映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

評価 4/5 ☆☆☆☆★

 6月30日(日)放送のテレビ朝日ドラマプレミアム『ブラック・ジャック』を見た。手塚治虫の原作の漫画は少年時代に読んだが、非常に面白かった。ドラマは原作のいくつかの話を元に、現代風にアレンジしているようだ。

 最初の、古川法務大臣の息子・駿斗が交通事故を起こして瀕死の重体になり、ブラック・ジャックが臓器移植を依頼される話は、原作の記念すべき第1話『医者はどこだ!』を元にしているらしい。結局ブラック・ジャックは、瀕死の法務大臣の息子・駿斗を救うのではなく、生きたまま臓器を提供させられそうになった青年・後藤一馬の顔を駿斗の顔に整形手術して、後藤の方を救う。駿斗は助からないと判断し、死ねば手術代が出ないので、後藤を替え玉にしたとも考えられるが、性格が悪い駿斗を救うより、後藤を救った方が有益だと考えたのだろう。ブラック・ジャックの人間味が感じられる。

 次の、子供が鉄骨の下敷きになり、ブラックが子供の腕を切断して救出する話は第104話『タイムアウト』を元にしているらしい。切断した腕を接合するまでの制限時間がタイムアウトなのだろう。ドラマでは2本の腕を切断したが、原作では四肢を切断するのでさらにスリルがあった。ドラマではトラック運転手を、SNSで顔が拡散されて人殺し扱いされると脅し、原作では手術代は5000万円だがドラマでは1億円に値上げし、現代風にアレンジしているのが面白い。手術代を母親ではなく、運転手に請求するところがブラック・ジャックの愛情を感じる。

 現代風と言えば、伊丹弁護士が話を出した、政治と宗教の癒着は、自民党の旧統一教会の問題だろう。ドリルで証拠データ破壊は、小渕優子議員が政治資金規正法違反で捜査対象のパソコンをドリルで破壊した事件だろう。しかし、本筋とは関係なく、わざわざ出す必要はないと思った。

 さて、六実えみ子の獅子面病の話は、第31話『獅子面病』を元にしているらしい。獅子面病は架空の病気で、原作では患者はアセチレンランプ刑事の息子だった。ドラマで登場する骨董品屋の「ギャラリー・アセチレンランプ」箱の刑事から取っているようだ。

 『獅子面病』の話にはドクター・キリコは登場せず、原作の第51話『ふたりの黒い医者』を元にしているようだ。ドラマではドクター・キリコを女性に変更した事が、放送前から話題になっていたが、時代の変化で、昔の原作の男性を女性に変更するのは、他のドラマでもよくある。医者も昔は男性が殆どだが、今は女性も多い。ドクター・キリコが女性の立場でえみ子を理解する場面もあり、女性に変更して良かったのではなかろうか。

 せっかくえみ子の獅子面病を治療したのに、六実夫妻は土砂崩れに巻き込まれる。ブラック・ジャックが助けに行こうとし「それでも命を救うんだ。自分が生きるために」の名言も「2人の黒い医者」より。

 なお、長谷川と伊丹弁護士は、原作にはないオリジナルの人物の様だ。ブラック・ジャックが失敗した手術の患者の骨で彫刻を作る話も、原作にはないはず。

 さて、ブラック・ジャックは古川駿斗(本当は後藤一馬)、少年の翔太、六実えみ子、伊丹弁護士の4人の手術をしたが、トラックの会社からは少年の過失と言う事で手術代1億円は貰えず、親にも請求しない。六実えみ子の夫・明夫に2億円を提示したが、死んだら臓器を貰う約束で現金は貰っていない。明夫が妻を助けたい気持ちが本当か、確かめたかっただけらしい。伊丹弁護士の手術はブラック・ジャックか伊丹を守るためなので手術台は無し。松方のピンクダイヤは老人ホームに寄付した。ブラック・ジャックは金に固執しているように見えて、実際な慈善家なのだろう。ブラック・ジャックの人間らしい優しさが分かって、実に面白かった。原作は沢山あるので、是非続編も制作してほしい。