『すずめの戸締まり』ネタバレの詳しいあらすじ(改訂) | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

 2024年4月5日に「金曜ロードショー」で『すずめの戸締まり』が放映されるので、見直して2022年11月公開当時に掲載した「ネタバレの感想」を改訂して再掲載する。

監督:新海誠 2022年

主な登場人物:読み(声優)役柄

岩戸 鈴芽:いわと すずめ(原菜乃華/幼少期:三浦あかり)叔母と暮らす17歳の女子高校生。

岩戸 環:いわと たまき(深津絵里)鈴芽が幼い頃から二人で暮らす、鈴芽の叔母。

岩戸 椿芽:いわと つばめ(花澤香菜)鈴芽の母親で環の姉。

宗像 草太:むなかた そうた(松村北斗)閉じ師。日本各地の扉を閉める旅をしている青年。

宗像 羊朗:むなかた ひつじろう(松本白鸚)東京の病院に入院中の草太の祖父で、閉じ師の師匠。

海部 千果:あまべ ちか(花瀬琴音)鈴芽が愛媛で出会った同い年の少女。家は民宿。

二ノ宮 ルミ:にのみや るみ(伊藤沙莉)鈴芽が神戸で出会った二児の母でスナックのママ。

岡部 稔:おかべ みのる(染谷将太)漁協に勤めている環の同僚。彼女に片想いしている。

芹澤 朋也:せりざわ ともや(神木隆之介)草太の友人。愛車は赤色のオープンカーのスポーツカー。

ダイジン(山根あん)扉が存在する場所に現れて鈴芽達を翻弄する、人間の言葉を話す謎の白い猫。

 

 幼い少女が廃墟で母親を探している。そこに母親がやって来る。

 それは岩戸鈴芽の夢だった。鈴芽は叔母の岩戸環と暮らしていた。鈴芽は自転車で登校する。

 その途中、青年に「この辺りに廃墟はない?扉を探している」と聞かれ、「人の住まなくなった集落なら、あっちの山にあります」と教える。

 鈴芽は踏切で会った同級生の絢に「忘れ物をした」と言って、道を引き返す。山の中の廃墟の「門波リゾート」に行き、先ほどの青年を探す。

 廃墟の元温室の様な水が溜まった場所の中央に扉を見つけ、開けると、その向こうに別の世界の夜空の草原が広がっていた。扉を通り抜けると元の水溜まりで、扉の向こうには、また夜空の草原が広がっていた。鈴芽が何度か扉を通るが、結果は同じ。

 鈴芽が水溜まりの中に動物の形の置物を見つけ、手に取ると、いつの間にか白い動物に変わり、逃げて行った。恐ろしくなった鈴芽は帰る。

 鈴芽は昼頃、学校に登校する。同級生と一緒に環が作った弁当を食べる。鈴芽が窓の外を見ると、山から煙が出ていたが、同級生には見えない。すると携帯電話に「緊急地震速報。震度4」の通知が来る。教室が揺れるが、大した揺れではなかった。鈴芽は山の煙が異様な形になるのを見るが、やはり同級生には見えていない。

 すずめは自転車で、急いで廃墟に行く。先ほどの開いた扉から煙のような異様な物が出ていた。青年が必死に扉を閉めようとしていたが、煙の勢いに負けそうだった。青年は「ここから離れろ」と叫ぶ。青年は扉に弾き飛ばされる。水溜まりから光の糸のような物が伸び、青年は「これはまずい」と叫ぶ。

 煙のような物は町を包む。また「緊急地震速報」が鳴り、先ほどより大きい振れが襲う。青年は落下してきた建物の破片から鈴芽を守って腕をケガする。青年は再び扉を閉めようとする。意を決した鈴芽も一緒に扉を押す。

 青年が祝詞「かけまくもかしこき日不見の神よ。遠つ御祖の産土よ。久しく拝領つかまつったこの山河、かしこみかしこみ、謹んでお返し申す」と唱えると、鈴芽に人々の声が聞こえる。青年は扉を閉めると「お返し申す」と言って鍵をかける。

元の風景が戻る。

 (タイトル『すずめの戸締まり』)

 鈴芽は「今のは?」と聞くと、青年は「君はミミズが見えるのか?要石はどこに行った?」と聞く。青年は「この場所は後ろ戸になって、ミミズが出てくる」と教える。

 2人が道を歩くと、町は建物が壊れるなど地震の被害を受けていた。鈴芽は家に青年を連れてくる。青年は鈴芽の部屋で、足が3本しかない子供用の木製の椅子に座る。テレビで地震について報道していた。鈴芽は救急箱で青年のケガの手当てをする。青年は宗像草太と名乗り、「ミミズは日本列島の地下にある力で、歪が溜まれば土地を揺るがす。一時的に閉じ込めたが、要石で封印しないと、どこからかまた出てくる。それを防ぐのが仕事」と話す。

 窓の外にお腹が空いている白い子猫が現れ、鈴芽は煮干しを与える。白猫は「鈴芽は優しい。お前は邪魔」と人間の言葉を話し、草太を椅子に封じ込める。

白猫は窓から逃げ、椅子になった草太が追いかける。鈴芽は草太の鍵を掴んで玄関から出ると環に会うが、理由を話せずに追いかける。白猫を追いかける椅子を、通行人がスマホで撮る。白猫と椅子はフェリーに乗り、鈴芽も乗る。

 鈴芽が探すと、甲板で椅子の草太が白猫に「俺の体に何をした?」と対峙していた。白猫は隣を航行していた船に飛び移る。このフェリーは愛媛行きだった。

 鈴芽は船から環に「絢の家に泊まる。明日帰る」と電話する。環は「変な男と付き合っていない?」と心配する。

 鈴芽は自販機から飲み物とパンを買ってくるが、草太は食べない。草太は「廃墟の要石を君が抜いたのか?あいつが要石で、俺は呪われた。俺は『閉じ師』で、開いた後ろ戸を閉める役目。猫を要石に戻してミミズを封じれば、俺は元の姿に戻れるはず」と言う。

 鈴芽は夢を見る。幼い鈴芽は絵日記をクレヨンで真っ黒に塗る。母親を探し回り、雪の中の扉を開ける。

 鈴芽は目覚めると、フェリーは港に着く。鈴芽は、寝ている椅子の草太を持って下船する。草太が目覚める。ここは愛媛で、SNSを見ると白猫は「ダイジン」の名で投稿され、電車で移動していた。「動く椅子」も投稿されていたので、鈴芽は椅子の草太を持ってダイジンを追って列車に乗る。

 鈴芽が椅子の草太と坂道を歩いていると、先に行ったバイクの荷台からミカンが落ちて転がってくる。椅子の草太は道の脇の畑の網を道路に張り、転がってきたミカンを受け止める。バイクの少女、高校2年の海部千果は鈴芽に感謝する。鈴芽は猫を探していると話す。

  鈴芽は、近くの山からミミズが出ているのを見つける。鈴芽と椅子の草太は、千果のオートバイに乗せてもらい、山崩れで放棄された集落の近くまで行く。草太は「ミミズが地上に倒れる前に扉を閉めれば、地震を防げる」と言う。

 ミミズは廃墟の中学校の昇降口から出ていた。椅子の草太は扉を上手く締められない。鈴芽が一緒に扉を閉める。草太は「君が鍵をかけろ。目を閉じて、住んでいた人の事を考えると鍵穴が出てくる」と頼む。草太が祝詞をあげると、生徒達の姿が見える。鍵穴が現れ「お返し申す」と草太が言い、鈴芽が鍵をかける。ミミズは消滅する。

 草太は「地震を防いだ」と喜ぶ。ダイジンが現れ「後ろ戸はまた開くよ」と言う。

 鈴芽は、千果の家の民宿に泊めてもらう。鈴芽が環に電話すると「絢の家に泊まるのは噓だったでしょ。帰ると言ったのに、帰ってこない。今夜、泊まる場所を教えて」と心配する。鈴芽は電話を切る。

 千果が食事を持ってきて、鈴芽と一緒に食べる。鈴芽は、泊めてもらった事を感謝する。鈴芽は「電話の相手は叔母で、私が大切な時間を奪った」と話す。千果は「それは元カレの言葉」とからかう。

 仲良くなった二人は、風呂場の掃除をしながら語る。千果は「うちが通っていた中学校に久しぶりに行った。何をしていたの?椅子は何?」と尋ねる。鈴芽は「椅子はお母さんの形見」と答える。千果は「あなたは魔法使いみたい」と言う。

 次の朝、草太は寝ていた。鈴芽が「寝起きの悪い人がいる」と言うと、千果は「キスしたら起きる」と教える。テレビではダイジンが明石大橋を渡っていると放送していた。鈴芽が目覚めない椅子の草太にキスしようとすると、草太が目覚め、ダイジンの場所を教える。

千果は鈴芽に、私服と椅子を入れる鞄をあげる。鈴芽が「神戸へ」ヒッチハイクするが、車が停まらない。雨が降って来て、バス停に雨宿りする。草太が「なぜ椅子の足が3本しかないの?」と聞くと、鈴芽は「一度失くして、見つけた時は欠けていた」と話す。

 バス停の前に二ノ宮ルミの車が停まり、家が神戸なので乗るように誘う。後部座席の2人の子供は、鞄の中の椅子に興味を持ち、ジュースを置くと動いたので不審がる。

 子供の託児所が急に閉園になり、ルミは鈴芽に子守を頼む。ルミは1階のスナックのママだった。2階の自宅で鈴芽が子守をするが、非常に大変だった。子供達は動いて話す椅子に興味を持ち、乗って遊ぶ。鈴芽はAI搭載ロボットだと誤魔化す。

 環は鈴芽がどこにいるか心配し、同僚の岡部稔が教えて、鈴芽の「お財布携帯」の履歴を見ると、神戸にいると分かる。明日、環は鈴芽を探しに行く事にする。

 スナックはいつもより混み、ルミは鈴芽に手伝うように頼む。鈴芽は食器を洗い、グラスを出し、ボトルを出し、と働いていると、ダイジンが店にいるのに気付く。女性店員のミキさんに聞くと、ダイジンが人間に見えていた。ダイジンが店から出ていくので鈴芽が追い、草太を呼ぶ。ダイジンは、山の上の廃遊園地からミミズが出ていると教える。

 鈴芽と草太が廃園した「神戸ゆめの国」に行くと、観覧車の扉が後ろ戸になりミミズが出ていた。草太がダイジンを捕まえ、鈴芽が扉を閉めて鍵をかける事にする。草太はジェットコースターのレールにいたダイジンを追うが、レールから落ちて配電盤のスイッチを押してしまう。

 鈴芽は観覧車の扉を閉めようと必死だったが、観覧車が動き出したので、外側の踏み台に乗る。鈴芽は扉の内側に、幼い鈴芽が女性から椅子をもらう風景を見る。

 草太は「要石に戻ってミミズを押さえろ」と言うが、ダイジンは「無理。役目はお前に移した」と言う。鈴芽が観覧車に入ったのを見た草太は「入っちゃだめだ。落ちる」と言って、観覧車の鉄骨に飛び乗り、鈴芽に向かう。草太が祝詞をあげると、観覧車の中に観客の姿が見える。2人で扉を閉め、草太が祝詞をあげ、出現した鍵穴に鈴芽が「お返しします」と鍵を差し込んで閉める。

 ダイジンは逃げた。草太は鈴芽を誉め、「後ろ戸の中に何を見た?」と聞く。鈴芽は「眩しい星空と草原」と答えると、草太は「常世だ。行ってはいけない場所」と教える。

 鈴芽が店に戻ると、ルミが「こんな遅くまで何をしていた?」と心配していた。ルミと鈴芽とミキとで焼きうどんを作って食べる。鈴芽は草太の椅子に座る。

 店のソファーで鈴芽と草太が寝る。草太は「大学生で、教員を目指している。『閉じ師』は代々続く家業だが、食っていけない」と話すと倒れる。

  草太の体と心は消えかけ、寒かった。草太の前には扉があった。草太の足から凍り始め「ここが俺のいきつく先か」と諦めると、扉を開けて鈴芽がやってくる。

 鈴芽が椅子にキスすると、草太が目覚め「今俺に何かした?」と聞く。SNSを見ると、ダイジンは東京の雷門にいた。鈴芽と草太はルミに神戸駅まで送ってもらい、新幹線で東京に向かう。LINEをチェックすると、環から55件もメールが来ていて「迎えに行く」とあった。

 途中、寝ていて富士山を見逃し、東京駅に着く。草太は自分のアパートの部屋に鈴芽を連れていく。部屋の鍵はコンビニに預けていた。

 部屋の本棚の上の段ボール箱を、椅子の草太に乗って鈴芽が取る。中の古文書『閉ジ師秘伝ノ抄』にミミズの絵が描いてあった。草太は「要石は西の柱と東の柱があり、後ろ戸を閉めるだけでは抑えられない災いを要石で封じてきた。時代によって場所が違う。九州の要石はダイジン、もう1つは東京でミミズの頭を押さえている。正確な場所を知りたい。100年前に開いて大災害を起こした巨大な後ろ戸をダイジンは開けようとしているかも。場所は祖父に聞くしかない」と話す。

 部屋に草太の友人の芹澤朋也が来たので、鈴芽は従妹だと誤魔化す。芹澤は「昨日が教員採用試験の2次試験だったが、草太が会場に来なかった」と話して帰る。

 緊急地震速報が鳴る。外を見ると近くでミミズが出ていた。草太は「今日こそ猫を要石に戻して、俺は元の姿に戻る」と言う。鈴芽と草太が走っていると、ダイジンが現れる。草太が「要石に戻れ」と言うと、ダイジンは「無理」と言う。

 地下鉄のトンネルの出口からミミズが出ていた。鈴芽はどうやって行けばいいか悩む。緊急地震速報が鳴る。草太は「2つ目の要石が抜けたんだ。ミミズの全身が出てくる」と、ミミズに向かって飛ぶ。鈴芽も飛び降りる。草太が鈴芽をつかんで飛ぶ。

 草太と鈴芽はミミズの上に乗るが、鈴芽が落ちる。草太が鈴芽を助け、ミミズの上に乗る。ミミズの大きな渦が東京の上空を覆っていく。草太は「もう、要石のダイジンを刺すしかない」と言う。ダイジンが「地震が起きるよ。沢山人が死ぬ」と言う。鈴芽が「要石に戻って」と言うと、ダイジンは草太に「要石はお前だ」と言う。草太の体が凍っていき「俺に要石の役目が移っていた」と気付く。椅子の草太は完全に凍る。

 ダイジンが「要石をミミズに差せ」と言うが,鈴芽が「そんなこと」と嘆く。ダイジンは「ミミズが落ちて、地震が起きるよ」と言う。東京の人々の生活が映る。

 鈴芽が要石になった草太をミミズに刺す。ミミズは消滅し、オーロラのような光が空に光る。落下した鈴芽を、ダイジンが巨大化して包んで衝撃を防ぎ、川に落ちる。

 鈴芽の母が木を切って組み立て、幼い鈴芽に専用の椅子を作って誕生プレゼントにする。鈴芽は「一生大切にする」と喜ぶ。鈴芽の希望で背もたれに顔を書く。

 鈴芽は東京の皇居のお堀の地下で目覚める。スマホの電池が切れる。奥に東京の後ろ戸があり、草太の要石がミミズに刺さっていた。鈴芽が行こうとするが、そこは常世で扉を通過して入れない。

 ダイジンが現れ、鈴芽が「草太さんを返して」と頼むが、「もう人じゃないよ」と答える。ダイジンが「僕のこと好きじゃないの?」と聞くと、鈴芽は「大嫌い」と答える。鈴芽は「絶対助けに行くから」と約束して、後ろ戸に鍵を閉めて帰る。鈴芽は、道路のトンネルの非常口から外に出る。

靴も履かず、服もボロボロの鈴芽は、草太の祖父の宗像羊朗の病室に行く。羊朗は「草太はしくじった。あなたは巻き込まれた?孫はどうなった?」と聞く。鈴芽は「要石になった。常世に入る方法を知りたい」と聞く。羊朗は「孫を刺さなかったら、100万人が死んでいた。元居た世界へ帰れ」と言う。鈴芽が「後ろ戸を開けて入る」と言うと「そこからは入れない。人が入れる後ろ戸は生涯に1つだけ。幼い頃に常世に迷い込んだ、後ろ戸を探せ」と教える。

病室の窓にダイジンが現れ、羊朗が「久しゅうございます。抜けましたか。あの子を宜しくお頼み申す」と話しかける。

 鈴芽は草太のアパートに帰り、体を洗い、制服を着て、髪を結う。草太のブーツを借りて部屋を出る。

 

道に出ると、赤いオープンカーに乗った芹澤が「どれだけ探したことか。草太の所へ行くんだろう。連れていく」と鈴芽に話しかける。すると駅から出てきた環も鈴芽を見つけ「どれだけ探したことか。これが付き合っている男?」と鈴芽を連れて帰ろうとする。鈴芽は車に乗ると、環も乗ってくる。ダイジンが後部座席にいて「うるさい」と言う。

 鈴芽はカーナビを設定し、ここに連れて行くように頼み、後部座席に乗る。芹澤は「今日中に戻れない」と嘆き、『ルージュの伝言』を流しながら車を走らせる。助手席の環は「姉が死んで、4歳の鈴芽を引き取った。母を探して迷子になった時があった」と教える。

 雪の中に4歳の鈴芽を環が見つけ「迎えに来るのが遅くなってごめん。私の子供になろう」と話しかける。

環は「12年ぶりの里帰り」と言う。芹澤は「草太に貸していた2万円を回収しなければ」と言う。車は福島県内の、無人の避難区域を通過する。

 緊急地震速報が鳴り、鈴芽は車を止めて、丘に登って見渡すが、ミミズは出ていなかった。「草太さんが抑えているんだ」と安心する。鈴芽はダイジンに「要石は誰にもなれる?」と尋ねる。芹澤が来て「こんなに綺麗な場所だった」と言う。鈴芽は昔を思い出し「早く行かなきゃ」とせかす。芹澤は「闇の深い一家だな」とぼやく。

 芹澤は『夢の中へ』を流して車を進める。雨が降ってきたので、芹澤はオープンカーの屋根を閉めるが、途中で止まる。道の駅で休憩する。芦澤と環は食事する。環は稔に電話し場所を教えると、稔は駐車場に東京行の高速バスが停まっているので、帰って来いという。

 緊急地震速報が鳴る。環は「実家に行きたい理由を話して」と迫り、鈴芽は「扉を…」と言うが、それ以上説明できない。環が「皆に迷惑をかけて。どんなに心配したか」と言う。鈴芽は「それが重い」と突っぱねる。環は「私も10年間、鈴芽に尽くしてしんどい。子連れで婚活できなかった。人生割に合わない」と本音を言う。鈴芽も「来たくなかった。私の子供になってと言ったくせに」と反発し、環は「人生を返して」と言って倒れる。鈴芽は「お前は誰だ?」と言う。

 環の後ろに大きな黒猫がいて「サダイジン」と名乗る。ダイジンが黒猫を襲う。環が倒れる。黒猫はダイジンと一緒に車に乗る。環が気が付き「私ちょっとおかしいみたい。何で言ったのか」と泣く。芹澤が「闇が深い」とぼやく。『けんかをやめて』を流して車を進める。

 芹澤は後部座席の黒猫を見て「1匹増えるとは。猫は理由なくついてこない。よほどしてほしい事がある」と言うと、黒猫が「その通り」と答える。それを聞いた芹澤は驚き、運転を誤って車が路肩から落ち、車が壊れる。

 鈴芽は走って行き、芹澤はカーナビで目的地まであと20kmと教える。環は落ちていた自転車に乗って、鈴芽を追いかける。環は鈴芽と2匹の猫を乗せて自転車をこぐ。環は「要するに、好きな人の所に行くんでしょ。この猫は何?」と聞く。鈴芽は「神様だって」と教える。環は駐車場で言った事を謝る。

 鈴芽の家の跡地に着く。環は「12年ぶりの里帰りね」と言う。鈴芽は「ただいま。お母さん」と言って跡地に入り、穴を掘って缶を掘り出す。缶の中から日記帳を取り出す。鈴芽は記憶がなく、扉に迷い込んだ日を探す。絵日記は、3月11日以降のページは真っ黒に塗り潰されてあった。4歳の鈴芽は大津波警報が出る中「お母さんを知りませんか」と探し回った事を思い出す。

 扉の向こうの星と、草原で女性に会った絵日記があり「夢じゃなかった」と喜ぶ。日記に描かれた電波塔の付近を探すと、ダイジンが草むらの扉を見つける。鈴芽は「今まで後ろ戸の場所に案内してくれたの?」と感謝する。ダイジンは「行こう」と言う。環が「どこへ?」と聞くと、鈴芽は「好きな人の所へ」と言って、扉を開けて入る。

 常世の地面が燃えていた。黒猫のサダイジンは巨大な猫に変身してミミズを襲う。小山の上に椅子の草太がいた。鈴芽はサダイジンから落ち、ダイジンが鈴芽に取り付いてクッションになる。サダイジンが戦っている中、鈴芽が廃墟を進む。地面が凍っている。、鈴芽は、椅子の草太を引き抜こうとする。ダイジンが「ミミズが外に出るよ」と言うと、「私が要石になる」と言う。ダイジンも手伝う。

 草太は過去を思い出す。扉の前で凍っている草太は「君に会えたのに消えたくない。もっと生きたい」と言う。鈴芽は「私だってもっと生きたい。一人は怖いよ」と言って、椅子にキスする。鈴芽は扉を開けて出てきて、草太に手を伸ばす。凍った草太は解け、椅子の姿が人間に戻る。

 ダイジンは「鈴芽の手で元に戻して」と言って、元の動物の形の要石になる。ミミズは後ろ戸から外に出ようとし、サダイジンが噛みつく。草太は鈴芽を連れて、建物の上に打ち上げられた漁船に登り、祝詞を上げる。廃墟は震災前の町並みの朝になり、町の人々が「行ってきます」「行ってらっしゃい」と挨拶を交わす。

 草太は「命は仮初め。死は常に隣に。今一時だけでも永らえたい。どうか、お頼み申す」と祝詞を上げる。サダイジンが来て要石になる。草太はサダイジン、鈴芽はダイジンの要石を、同時にミミズの両端に刺す。ミミズは弾けて土に戻る。

 草太が鈴芽を起こす。鈴芽は元に戻った椅子を拾う。丘の草原に幼い鈴芽がいて、鈴芽が「私、行かなきゃ」と向かう。幼い鈴芽は、高校生の鈴芽を見て「お母さん?」と呼びかけるが、母でないことに気づき「お母さんを知らない?お母さんを探さないと」と焦った様子で問いかける。高校生の鈴芽は幼い鈴芽に椅子を渡し「今はどんなに悲しくても、鈴芽は大きくなるの。未来なんて怖くない。沢山の人と出会い、いつか朝が来る」と教える。幼い鈴芽は「お姉ちゃんは誰?」と聞き、高校生の鈴芽は「鈴芽の明日」と教える。

 幼い鈴芽は、扉を開けると灰色の現実の世界が広がっており、椅子を持って扉を通る。高校生の鈴芽は、扉を閉めて「私、忘れていた。大事な物はずっと前に全部貰っていた」と気づき、「行ってきます」と言って鍵をかける。

 (タイトル『鈴芽の戸締まり』。エンディング)

 鈴芽と草太は、環と芹澤が待っている場所に戻る。芹澤は鈴芽に「2万円借りているのは俺の方」と教える。

 草太は「戸を閉めながら帰る」と言って、一人で列車に乗って帰る。草太は鈴芽を抱くと「俺を救ってくれてありがとう。必ず会いに行く」と約束する。

 鈴芽と環は、応急修理をした芹澤のオープンカーで東京まで帰り、東京駅で芹澤と握手して別れる。途中で神戸のルミ、愛媛の千果の家に寄る。フェリーで宮崎に戻ると、稔が迎えに来る。

 鈴芽は看護師になる勉強をする。冬服を着てマフラーをした鈴芽が、自転車で登校しようと坂道を下ると、向こうから草太が歩いて来る。鈴芽は自転車を停め「お帰り」と言って迎える。

(エンドクレジット)

(写真は「映画com」より)