『魔女の宅急便』ネタバレの感想 人々の優しさに包まれた物語(再掲) | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

 2024年3月22日の「金曜ロードショー」で『魔女の宅急便』が放映されるので、2022年4月に掲載した「ネタバレの感想」を再掲載する。

 評価 4/5 ☆☆☆☆★

 この世界には、電話やテレビ、電灯、電気オーブンなどの家電や、自動車、飛行機、電車などの乗り物があり(飛行船と言う時代遅れの物もあるが)、結構科学技術が進歩しているようである。それなのに、人間と魔女が共存している不思議な世界である。キキの両親のように、人間の父親オキノと、魔女の母親コキリが結婚している。中世ヨーロッパのように、人々は魔女を忌み嫌うのではなく、コキリが作った薬を老婦人が重宝しているなど、魔女は人間にとって役に立つ存在らしい。しかし、魔女は1つの町に1人しかいないようで、決して人口は多くないようである。

 さて、日本でも昔は数えの14歳(満12~13歳)男子は「元服」と言って、成人と認められる儀式があった。世界でも、南太平洋のバヌアツの「バンジージャンプ」のように、様々な成人になるための通過儀礼がある。この世界では、魔女は13歳になると、よその町に出て1年暮らさなければならないしきたりがあるのだそうだ。なかなか厳しい通過儀礼で、13歳の少女が初めての町で、1人で生活するのは大変であろう。キキはホテルに泊まろうとしても、未成年者だからと断られる。キキがおソノの客の忘れ物を届けたお礼に、おソノの家の空き部屋に泊まれることになる。

 ところで、キキには途中で出会った先輩魔女のように、占いなどの特技があるわけでない。キキは、飛ぶことしか能力がないので、それを利用した宅配便を始める。確かにそれはいいアイデアで、空を飛べるのは速いし、最短距離で行ける利点がある。

 最初の客に依頼された配達では、縫いぐるみを落としていまい、苦肉の策としてジジを縫いぐるみの身代わりにさせる。これはどう考えてもバレると思うのだが、老犬ジェフの協力でうまく誤魔化すことができる。ニシンパイを孫に届けるの依頼した老婦人は、キキが料理を完成させるために献身的に薪の竈で焼き、雨の中飛んで届けた事に感謝していた。

 都会は冷たい人が多いのかと思ったら、おソノ、ウルスラ、ジェフ、老婦人のように優しい人(+動物)が多いのに驚く。キキはこれらの優しい人(+動物)のお陰で、無事にこの町で暮らせるようになる。宮崎駿監督が本作の主題歌に『やさしさに包まれて』を選んだのが分かる気がする。ただ、オープニング曲の『ルージュの伝言』は、浮気をした夫に思い知らせるために、妻が夫の母親の所に行くと言う歌詞なので、この作品に相応しいのだろうか?まあ荒井(松任谷)由美さんの曲が好きなので、いいけど。

 原作の絵本第1巻を読んだが、最後の、突風で煽られて制御不能になった飛行船のロープに掴まったトンボをキキが必死に助けると言う大スペクタルは、原作にはない。映画として、見せ場を作る必要があったのだろう。

 キキとトンボとの恋愛も微笑ましい。最初は、トンボは軽い性格の少年だと思ったら、なかなか気が利く子なので感心した。その後のキキとトンボの交際の進展が気になる。

 少女が見知らぬ土地で、周りの人々の優しさに包まれながら成長し、恋愛すると言う、なかなか良い話である。評価は「4」である。