2023年9月16日の「土曜プレミアム」で『ヲタクに恋は難しい』が放映されるので、2021年2月に掲載した「ネタバレの感想」を再々掲載する。
評価 4/5 ☆☆☆☆★
原作の漫画は読んでないし、予告編を見た以外は全く予備知識なしで見た。
一番驚いたのは、この映画はミュージカルだった事だ。後で声優イベントのシーンもあり、オタク映画に歌が合っている気がした。成海が歩きながら『きのうとは違うキミのこと』を歌う背後で赤色、青色、黄色の服の3人の女性が踊る場面や、樺倉が急にタップを始め、成海と手を取って『ダンスは魔法』を踊る場面は明らかに『ラ・ラ・ランド』をパロってて笑った。
一番の圧巻は、東京ビッグサイト前でコスプレーヤーと『いっさいがっさいSAVE THE WORLD』を踊る場面だ。歌詞もオタク心を突いていて上手い。私はゲームはしないし、最近のアニメも見ていないので知らないキャラが多いが、ミクやハルヒの姿を見つけ、わくわくした。渋谷109の前で美少女キャラ風のコスで成海と少女たちが『タピオカ スクランブル』を踊るのも良かった。衣装が可愛いし、金髪の高畑充希が何より良かった。
宏崇とのデートでオタク言葉を禁止された成海が、禁止が解けると堰を切ったようにオタク言葉を連発して感想を言うのが面白い。ニコニコ動画のコメントの様に、画面にオタク言葉がビューンと流れて行くのも楽しい。でも「同担」「視福」とか、最近のオタク言葉は超難解である。予告編でやっていたように、いっそのこと現代語訳の字幕を流したらさらに面白くなるのでは。
本物の人気声優の内田真礼が登場してイベントシーンを撮影するとは贅沢である。宏崇や真司たちがペンライトを振ってオタ芸を披露し、集団でハートを作る場面はなかなか爽快であった。私はAKB48ファンで、年3~4回行くコンサートでは全力でMIXを打つので、この気持ちがよくわかる。
「例の黒づくめの…」の『名探偵コナン』ネタも面白かった。でもこの映画はフジテレビ系製作なのに、日本テレビ系のネタを使っていいの?まあいいか。私は『エヴァンゲリオン』が好きで、「ヲタク育成計画」や「セカンド・インパクト」のネタに笑った。最後に『エヴァンゲリオン』風に「ヲタクに恋は難しい」の題字がバーンと出たのには感動した。さらにその後に「残酷な天よ、我は地を這う…」と『エヴァンゲリオン』の主題歌『残酷な天使のテーゼ』に歌詞もメロディーも似た曲が流れたのには歓喜した。『エヴァンゲリオン』の鷺巣詩郎の作曲と聞いて納得した。
さて、(やっとここからストーリの感想だが)成海は宏崇と一緒にいるのが心地よいくせに、「オタクはキモイ」と恋人とは認めないのは、宏崇が可哀そう。宏崇は成海のマンガのペン入れを手伝うなど優しいではないか。腐女子とは言え、いい加減に宏崇の気持ちに気付けよ、と言いたくなる。宏崇は成海に好かれるように声優イベントに行ったり、アニメグッズを買い込んだりするのがいじらしい。宏崇のキスを拒絶した成海が、宏崇が追ってくるのを期待して何度も振り返るのも切ない。壁ドンで「好きと言わなきゃよかった」「言われてないし」「言ってないし」の咬み合わない会話も良い。まずはハピーエンド。
私の様なライトなオタクでも、とても楽しめた。ゲームやアニメなどのヘビーなオタクは、もっと楽しめるはず。オタクはテンションが上がりっぱなしの最高に楽しい映画である。という事で、評価は「4」である。