『わたしの幸せな結婚』ネタバレの詳しいあらすじ | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

監督:塚原あゆ子  2023年

主な登場人物:読み(俳優)役柄

【斎森家】

斎森美世:さいもり みよ(今田美桜)斎森家の長女だが、使用人同然の扱いを受けている。

斎森真一:さいもり しんいち(高橋努)美世の父。

斎森香乃子:さいもり かのこ(山口紗弥加)美世の継母で、香耶の実母。

斎森香耶:さいもり かや(髙石あかり)美世の異母妹で、斎森家の次女。

花:はな(小林涼子)斎森家の元使用人。

斎森澄美:さいもりきよみ(土屋太鳳)美世の実母。薄刃家出身

【久堂家】

久堂清霞:くどう きよか(目黒蓮)久堂家の当主。冷酷無慈悲な対異特務小隊の軍人と言われている。

ゆり江(山本未來)久堂家の通いのお手伝い。

【辰石家】

辰石幸次:たついし こうじ(小越勇輝)美世の幼なじみで、香耶の婚約者。

辰石実:たついし みのる(平山祐介)辰石家当主で、幸次の父。

【鶴木家】

鶴木新:つるき あらた(渡邊圭祐)鶴木家の御曹司。

鶴木義浪:つるき よしろう(火野正平)新の祖父

【帝室】

帝:てい(石橋蓮司)帝都の最高権力者で、未来予知能力の持ち主。重い病に侵されている。

堯人:たかいひと(大西流星)皇子。いずれ帝位を継ぐことになっている。

賀茂村紀夫:かもむら のりお(津田健次郎)宮内省長官。

枢木忠則:くるるき ただのり(尾上右近)帝の専属医師。

【陸軍・特殊部隊】

須藤嗣治:すどう つぐはる(浜田学)陸軍部隊本部長で、清霞の上司。隊員達から尊敬を集めている。

五道佳斗:ごどう よしと(前田旺志郎)清霞直属の部下。お調子者だが、その実力は確か。

望月東弥:もちづき とうや(佐藤新)強い正義感の持ち主で、好物は甘味や酒。

【その他】

桂子:けいこ(珠城りょう)呉服店「すずしま屋」の店主。

 

 「古来、この国では、恐怖心が生み出す鬼や妖(あやかし)を「異形」と呼び、「異形」は人々に災いをもたらしていた。その災禍の中、未来を予知する「天啓の異能」を持つ一族が帝となり、国を治めた。帝は様々な異能を持つ血族を導いて、異形の討伐に奮戦。臣下となった異能の家系は、代々帝に仕え、異形から国を守り続けている。しかしその定めの中で、不遇な最後を迎えてしまった異能者は、その魂を「蟲の鞠」として奥津城(オクツキ)に納められた。」

何者かがオクツキを荒らし、解放する。

 斎森美世は異能を持つ名家の1つ、斎森家の長女として誕生した。彼女の両親は、異能の血を少しでも濃く受け継ぐように仕組まれた戦略結婚だった。生まれた美世には、異能はなかった。やがて美世の母は病に倒れ亡くなり、美世の父はかつて恋人だった香乃子と再婚した。美世の義母・香乃子は、当時恋人同士だった仲を引き裂いた美世の母に恨みを持っており、その恨みは娘の美世に向けられた。さらに異能を持つ異母妹・香耶が生まれ、香乃子や香耶は異能を持たない美世を見下すようになった。父親も美世よりも香耶を可愛がるようになり、美世はいつしか使用人同然の扱いを受けるようになった。

 香耶はお茶が渋いと言って美世にかけ、お茶を入れ直すように言う。美世は「申し訳ありませんでした」と謝り床を拭く。

 しかし、今日、美世は久常家の当主・久堂清霞の所へ嫁ぐ事になっていた。歯の折れた櫛が嫁入り道具の全てだった。美世に幼馴染の辰石幸次が「ごめん。何もできなかった」と謝る。幸次は、異能を持つ辰石家の次男で、美世の唯一の味方だった。美世の父親は幸次を斎森家の婿養子に迎えるが、幸次の妻として選んだのは妹の香耶だった。幸次と香耶の婚約パーティーの準備が進む中、美世は一人で斎森家を出る。美世は庭の亡き母の思い出の桜の切り株に「行ってきます」と挨拶する。

 床に伏していた帝が目を覚まし「あるべきものを、あるべき場所へ」と天啓を述べる。

誰かが式を飛ばすと、鳥の形になって飛び、久常家の窓の外から監視する。

 久堂家は国では格上の名家で、当主の清霞は27歳の対異特務小隊を率いる軍人。冷酷無慈悲で、多くの良家の女性が彼と婚約をして、3日ともたずに逃げ出すほどだと、美世は噂で聞いていた。美世は、久常家との結婚は自分を斎森家から追い払うためだと悟る。

 美世は使用人のお下がりの着物を着ているが、久堂家へ行くときは粗末な恰好では斎森家の評判に傷がつくと、父から渡された上等な着物を着ていく。途中まで車に乗せてもらい、歩いて久堂家へ向かう。美世が屋敷に着くと、門が自然に開く。

(タイトル『わたしの幸せな結婚』)

 美世は「お初にお目にかかります。斎森美世と申します」と頭を下げて挨拶する。清霞は美世の方を振り返りもせず、しばらく無言で書類をめくっていた。美世はずっと頭を下げたままでいると、暫くすると清霞が「いつまでそうしているつもりだ」と言う。美世はとっさに「申し訳ございません」と清霞に詫びる。すると清霞は「謝れとは言っていない、頭を上げろ」と美世に言い、「ここでは自分の言う事に従え。出て行けと言ったら出ていき、死ねと言ったら死ね」と申し付ける。

美世は「私にはもう後がない。帰る家もなく、頼れる場所も人もない。いくら辛い目に合わされようと、ここでやっていくしかないのだ」と決心する。

 夜、母が夢で「ごめん美世。ふがいない私を許して。それでもあなたは…」と話しかける。

 翌朝、いつものように早く起きた美世は。台所で朝食の準備をする。久常家通いの使用人・ゆり江が来て、清霞の奥様になる方が朝食を作っているのに驚く。ゆり江は美世に感謝し、他の仕事をする。

 清霞は庭に出ると殺気を感じる。鳥の式は紙に変わり、清霞が拾う。

ゆり江は、清霞を「坊っちゃん」と呼び、美世が朝食を作った事を伝える。清霞は美世に「お前、先に食べてみろ」と命令する。主より先に食べてはいけないと教育されてきた美世がためらっていると、清霞は「毒でも盛ったか。何が入っているか分からない物は食えん」と一切口をつけず、部屋から出ていく。美世は落ち込む。

 陸軍対異特務小隊。清霞は新規入隊希望者の書類審査をしていたが、集中できなかった。出かける前にゆり江が清霞に「美世様は朝早くから一生懸命食事の準備をしていた。毒を入れるような方には思いません」という。清霞が「信頼関係のない人間の作ったものを、口にできないのは当然だろう」と言うと、ゆり江は「美世様は今まで来た人とどこか違う。仕事を手伝って下さった方は初めて」と言う。

 対異特務小隊の部下が清霞に、巡回中に見つけた瓶の中に入れた石のようなものを持ってくる。するとそこから糸のようなものが伸び、部下を襲う。清霞は異能で炎を出し、それを焼く。

騒ぎを聞いて、陸軍部隊本部長で清霞の上司の須藤嗣治がやって来る。瓶を見た須藤はオクツだと知る。清霞は「2週間前、何者かがオクツキを破った。犯人の目星はついていない。秘密に事態を治めたい」と言い、連絡係として鶴木新を紹介する。新は貿易商なので自由に動けると教える。

 清霞が仕事から帰宅すると、美世が清霞に朝食の件で「出過ぎた真似をした」と詫び、夕食はゆり江が作ったので、毒は入っていないと謝る。清霞は「本気で疑ったわけではない。警戒して警告しただけ」と言う。美世は自分の食事を準備していなかった。清霞は「本格的におかしな娘が来てしまった」と嘆く。

 美世が風呂を沸かすと言うと、清霞は我が家の風呂は異能で沸かしていると教え、水の中に指を入れ、発火させて沸かす様子を見せる。

 清霞は夕食を食べながら「なぜ謝る。謝罪はし過ぎると軽くなる」と美世に注意する。そして「今朝は食べずに残して悪かった。また明日作ってくれ」と頼む。また、薬草が入った袋を渡し、毎日風呂に入れるように頼む。

 夜、美世は悪夢を見る。「見鬼の才」を発言した香耶が、美世を「異能もないくせに」と馬鹿にする。

 朝、美世が炊事場に行くと、美世を気遣ったゆり江が、既に朝食の準備を始めていた。しかし昨晩、美世が清霞から朝食を作ってくれと頼まれた事を話すと、それを聞いたゆり江は微笑み、2人で朝食の準備を始める。

 美世は、今までは自分の食事は誰も準備してくれず、生きるために料理をしてきたが、旦那様に料理を作ることを喜ぶ。

 朝食の準備が終わり、清霞と共に美世とゆり江が朝食を食べる。清霞は美世が作った朝食を食べ「美味い、ゆり江と味付けとは違うが悪くない」と誉める。その言葉を聞いた美世は「ありがとうございます」と言って泣き出す。清霞が泣いた理由を聞くと、美世は「誰かに料理を誉められたのは初めてで、嬉しくて」と答える。

 ゆり江に美世の行動を見張るよう伝える。ゆり江は、清霞が自分から女性に興味を示した事をからかう。そして美世は清霞の妻として相応しい女性だと断言する。清霞は外から斎森家を調べる事にする。

 清霞を送り出した後、美世はゆり江に裁縫道具を借りる。ゆり江は自分の使い古したものではなく、新品を用意すると言うが、美世は断る。美世は着物の破れを直す。

 清霞が調べた斎森家の実情は、清霞の想像よりかなり酷いものだった。美世は異能がない故に義母や異母妹から下僕のように扱われ、父親や使用人は美世を見て見ぬふりをしていた。美世のやせ細った身体、アカギレだらけの手は、食事を満足に与えられず炊事洗濯掃除を毎日していたから。悪くないのにすぐ謝罪をし、思ったことも言えず笑わなかった事も、全て斎森家に原因があったのだ。

 清霞が調べると、美世の母・斎森澄美は強力な異能を持つ薄刃家の出身だった。薄刃家の血筋は外部には出さないが、資産を援助してもらうために斎森家に嫁いだと思われた。しかし、薄刃家は秘密に包まれており、どのような異能を持つかは不明だった。すると、対異特務小隊にやって来た新が「人の心に干渉する異能を持つ」と教える。清霞が「なぜ知っている」と聞くと、新は「貿易商だと、いろいろ情報が入ってくる」と答える。

 清霞が家に帰り、ゆり江に美世の一日の行動を尋ねると、ゆり江は「家事以外は着物の擦り切れを繕っていた。よく眠れないようだ」と教える。

 夕食時、清霞は「今度の休日に街へいく。一緒に出掛けないか」と美世を誘う。美世は「用事もないし、旦那様と一緒では迷惑になるだけだ」と言って断る。しかし、清霞は「迷惑だと思わないし、用事などなくてもいい。私に付き添っていればいい」と言う。

 美世は斎森家から出るのを許されず、街に行ったことがなかった。町の事は何も知らず、旦那様に恥をかかさないか、心配する。

 ゆり江は美世の手のアカギレが、だいぶ良くなったと喜ぶ。美世は清霞の薬草風呂のお陰だと言うと、ゆり江は、清霞は薬草風呂が嫌いだと教える。

 街へ出かける当日、ゆり江は美世に化粧を施す。化粧した美世の美しさを見て清霞は驚く。街を見るのが初めての美世は、辺りを興味深く眺める。

 2人は久堂家が贔屓にしている呉服屋に行く。美世は店の中を見て待ち、清霞は店主・桂子と奥の部屋に行く。桂子は「お坊ちゃんが女性を連れて来るなんて、初めてじゃありませんか」と喜ぶ。清霞は、桂子が事前に連絡を受けて準備していた品物や、自分で選んだ生地で、何枚か仕立てるように頼む。桂子は「あのお嬢様は絶対に離してはいけませんわよ」と頼む。

 清霞が店に戻ると、美世は店頭に飾られた桜色の着物を眺めていた。美世は「母の形見に似た色の着物があって、懐かしかった」と答える。

 2人は甘味処でお茶する。清霞は「母上はどんな方だった?」と聞くと、美世は「母は私が2歳の時に亡くなりました。桜色の着物と長い黒髪だけ覚えています」と答える。清霞も「私も母に似ていると言われるが分からない。私もゆり江に育てられた」と話す。美世は「一緒ですね」と言うと、すぐ「申し訳ありません。私、生意気なことを」と謝る。清霞は「謝罪ではなく、素直な言葉を聞く方が嬉しい」と話す。美世は「望んでしまった。少しでも長く、この人と居たいと」思う。

 帝にはしばらく後継者がいなかったが、11年後に堯人が生まれ、次期後継者と目されていた。久堂家は帝室と交流があり、清霞と堯人は遊び相手だった。清霞は堯人に「蟲が街に出現しているが、回収しているので、今のところ被害はない」と話す。堯人は「朧気ながら天啓を見る。父の死期が近い。さっきの天啓が最後になるだろう」と教える。

 帝は家臣達を呼び「禁断の奥津城が荒らされ、帝都は戦火を被る。久堂は対異特殊部隊を率いて楯となり、人民を守るのだ」と天啓を述べる。

 美世は「旦那様に何かお返しがしたい」と相談すると、ゆり江は「普段使いできて手作りの物が良いのではないか」と助言をする。美世はゆり江と街に行き、雑貨屋で糸を買う。

ゆり江が塩を買いに行っている間、美世が待っていると、香耶と幸次に会う。香耶は「お姉さま。まだ生きていたんだ。どこぞで野垂れ死んでいると思っていたのに」と馬鹿にする。美世は何か言い返したかったが、声が出ない。幸次が香耶を引っ張って去る。

 美世は意識が遠くなり倒れそうになるが、新が体を支え、道端の椅子に座らせ「ゆっくり呼吸してください。もう大丈夫」と言う。美世がお礼を言い、戻って来たゆり江を見ると、新の姿はなかった。

 その頃清霞は、美世の実家の斎森家を訪れていた。清霞は美世の父・真一に「久堂家と斎森家の関係をはっきりさせた方がいいと考える。ゆくゆくは美世と結婚しようと考えている。もしあなた方が美世に心から謝罪するならば、結納金を多めに用意するくらいはしよう」と話す。真一は「少し考えさせてほしい」と言うので、清霞は「了解した。だが長くは待てない」と言って帰る。

 買い物から帰ってきた香耶は幸次に「幸次さんはどうせお姉さまの味方でしょ」と怒る。香那は廊下ですれ違った清霞の整った美貌に目を奪われる

 清霞が家に帰ると、美世は寝ていた。清霞はどうすれば自信を取り戻してくれるのか考えると、ゆり江は「女は愛されて自信を付ける」と助言する。

 美世は悪夢を見る。継母の香乃子が幼い美世を「異能の無い者は家に置けない」と言って、蔵に閉じ込める。美世は「蔵は嫌だ」とうなされる。美世が寝ている様子を見た清霞は「今抱え込んでいるものは、いずれ気にせずともよくなる」と考えるが、部屋に殺気を感じる。

 美世が「異能がない事を旦那様に言わなければならない。でも、本当のことを言ったら」と悩んでいた。するとゆり江が美世に客が来たと教える。客は、斎森家で子供の頃、唯一美世の味方をしてくれた女中の花だった。花は結婚して子供が2人いて、夫と畑仕事をしていると話す。美世が「幸せになったのね。良かった」と話すと、花は「お嬢様が一番辛いとき、一緒にいられず申し訳ありませんでした。合わせる顔がないと思っていましたが、幸せになったお嬢様の姿を見たかったから来た」と話す。美世は「私は異能を持っていない。だから旦那様の妻にふさわしくない」と泣く。花は美世を抱いて、ここに来たのは清霞が花を探し、部下の五道が村まで迎えに来たからだと教える。

 美世は清霞が帰ってくると、「私には異能がありません。学校も小学校どまり。実家では使用人として働いていた。教養はないし、名家の娘らしい事は何一つできません。旦那様の相手にふさわしくありません」と告白し、お詫びと感謝の気持ちで作った髪紐を渡す。

 美世が「今までお世話になりました」と頭を下げていると、清霞が「いつまでそうしているつもりだ」と抱き寄せ「お前に出て行かれては困る。もう少ししたら正式に婚約しようと思っている。お前は嫌か?私とこのままここで暮らすのは」と聞く。美世は「私、ここにいたいです。旦那様が許して下さるなら」と答える。清霞は「私がお前にここにいてほしいんだ」と言い、美世に髪紐で髪を結うように頼む。清霞は「大事に使わせて貰う」と礼を言う。清霞は「これからは帰りが遅い日が続くかも知れない」と断る。

 帝に呼ばれて堯人が来る。帝は「分かるか。私がどんな顔をしているか。この国の全てを背負わされているのだ」と話すと、堯人は「分かりません」と答える。帝は「対異特務小隊の久堂に礼を言わねば」と言う。

 蟲に憑りつかれた人々が地下室に集められる。清霞は「どうやって移る?」と聞くと、部下が「蟲が操っている」と教える。

 本部で五道が「隊長の名を聞くだけで震え上がる将官も。隊長が殺気立った時って、もう般若にしか見えません」と話しているので、清霞が注意する。すると美世がいて「ちゃんとしたお食事をとられたか心配になって、差し入れを持ってきました」と言う。隊員の皆が差し入れを食べ、美味しいと驚く。美世は五道に「今度改めて、花のお礼を」と感謝する。

 陸軍の建物の前の道で、咳き込む男がいた。部下の望月が「大丈夫ですか?」と気遣う。男は蟲に憑りつかれていた。

 呉服屋の桂子が、美世に着物やバッグを持って来る。「清霞が一目でお気に召して」と教えた着物は、美世の母の形見に似ていた。美世は「こんな高価なもの受け取れない」と遠慮すると、ゆり江は貰うように勧める。女将は櫛を渡し「男性が櫛を贈るのは、求婚の意味がある」と教え、美世は喜ぶ。

 玄関をノックする音が聞こえ、美世が行く。美世は車に誘拐される。

 美世が目を覚ますと、斎森家の蔵に閉じ込められていた。継母の香乃子と異母妹の香耶が蔵に来て、香乃子が「どこまで私を馬鹿にすれば気が済むの」と美世を殴る。香耶は「久堂様との婚約を破棄して。私がその後に、久堂様と婚約するから。そうしたら、幸次さんを返してあげる」と言う。美世は「婚約は破棄しません」ときっぱり断る。

 幸次が清霞に、斎森真一と辰石実が共謀して美世を連れ去ったと教えに来る。幸次と清霞が車で斎森家に来る。清霞は異能で門を焼き払って屋敷の敷地に入る。庭で斎森真一と辰石実が待っていた。清霞は真一に「美世に父親としての愛情をお持ちなのか」と聞く。真一が「無能に情などあるわけなかろう」と答えるので、清霞は遠慮なく異能の炎で戦う。

 幸次の案内で蔵に向かう。香乃子は水に美世の顔を付け、婚約を破棄するように迫る。そこに清霞が現れ、美世を抱き抱える。香耶は「私が久堂家当主の褄になって然るべきだ」と食い下がる。清霞は「顔だの才能だのどうでもいい」と言って立ち去る。屋敷は炎に包まれていた。

 美世の夢で、母が「それでもあなたは…」と話しかける。

 あの日から5日。清霞は美世に「斎森家は全焼。両親は地方の別邸に移った。斎森家は業界から退くことになるかもしれない。辰石家の当主は長男の一志に譲った」と教える。

 美世が家の掃除をしていると、新が久堂家にやって来る。美世は新が旦那様の知り合いだったので驚く。新は清霞に報告書を渡す。新は「彼女の悪夢は家に来たせいだ。助けたいなら、連れてきて下さい」と言う。新は式だった。新の報告書を見ると、美世の母は鶴木澄美だった。

 夜、美世は悪夢を見る。それを見た清霞は、悪夢は美世が持っている異能のせいだと知る。

 次の日、清霞は美世を連れて、鶴木家に行く。新が会議室に案内すると、沢山の人が座っており、新は「薄刃家の長老達です。私は薄刃新」と紹介する。新は「美世に悪夢を見させているのは薄刃の血だ。ここにいれば対処できる」と説明する。清霞も同意し、美世に家を出るように言い、去る。

 会議室の沢山の人が消え、鶴木家当主の鶴木義浪が「澄美そっくりだ」と美世を迎える。従兄弟に当たる新は美世に「結婚しませんか」と言う。

 帝は堯人を呼び、蟲が帝都内で暴れていると知らせる。堯人は部下に、清霞に使者を送るように命じる。堯人は帝の手を握り、帝の歴史を取り込む。

 陸軍では、最初に蟲に取り付かれた望月が持ち込んだ蟲によって、多くの軍人が蟲に取り付かれて暴れていた。清霞は、蟲を外部に出さないため、結界を張らせる。しかし結界内では異能は使えず。清霞達対異特務小隊は苦戦する。

 鶴木家では、美世が新たに手を握ると夢見の異能が発動する。新は「取り込まれないように」と注意する。義浪は「夢の中に入れるのは、薄羽家の中でも別格だ」と驚く。美世は清霞に会いたいと言う。

 異能が使えない清霞は、人を殺さずに、蟲だけを殺す方法がないか?」と聞くが誰も知らない。清霞はやむを得ず、望月を刀で刺す。

 堯人は帝の専属医師の枢木忠則が奥津城を解放したことを知る。帝が亡くなる。

 新は美世に「薄刃の掟で、夢見の力が再現したら、一族の命を懸けて守る」と言う。美世が「行かせてください」と頼むが、新は「制御できない。呑み込まれて死ぬ」と警告する。美世は「旦那様の役に立つなら、喜んで死にます」と言い、走る。

 母。澄美は「それでもあなたは幸せになる。もう少し大人になったら」と言ったのを思い出す。

 美世は、陸軍の建物の窓から清霞が戦っているのを見る。美世は「他人の精神世界に入り、異形を討つ」と、夢見の異能を発動する。清霞が剣をふるうと、蟲だけが斬れ、人は元に戻る。

 美世は母・澄美の姿を見るが「まだそちらには行けません」と言うと、澄美は「また会いましょう」と言って消える。

 堯人が来て、気を失っている美世を抱きかかえると、美世が目覚める。清霞も来る。美世は「旦那様。傍にいたいです」と言う。堯人は「美世の母は夢見の力を受け継いでいる。澄美は夢見の力を利用する者から美世を守るため、力を封印した」と教える。清霞は美世に「よかったです。美世さんは、ちゃんと愛されていたんです」と教える。

 清霞は堯人に「帝が犯した過ちを正せるのは、お前しかいない」と言う。

 美世は傘を持って清霞を迎えに行く。清霞は「結婚してもらえるか」と申し込む。美世は「ふつつか者ですが、よろしくお願いします」と答える。

(エンドクレジット)

 大勢の人が集まっている中で、枢木が「つつがなく終わりました」と報告する。面をかぶった男が「今迎えに行くよ。美世」と呼びかける。

(写真は「映画com」「公式Twitter」より)