『かがみの孤城』ネタバレの詳しいあらすじ(改訂) | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

監督:原恵一 2022年

主な登場人物/本名(声優)役柄

こころ/安西こころ(當真あみ)中学1年生。おとなしく内気な性格。

リオン/水守理音(北村匠海/少年期:矢島晶子)中学1年生。生まれは東京だが、ハワイにある寄宿舎月に学校にサッカー留学している。

アキ/井上晶子(吉柳咲良)中学3年生。物怖じしないしっかり者。

スバル/長久昴(板垣李光人)中学3年生。長身で大人びた雰囲気があり、いつも飄々としている。

マサムネ/政宗青澄(高山みなみ)中学2年生。常に携帯ゲーム機を持ち歩いているゲーマー。 

ウレシノ/嬉野遥(梶裕貴)中学1年生。食べることが大好きで、女の子に惚れっぽい。

フウカ/長谷川風歌(横溝菜帆)中学2年生。ピアノが得意で物静かな女の子。

オオオカミ様(芦田愛菜)狼の仮面をつけた少女。こころ達中学生7人を城に招いた。

こころの母(麻生久美子)娘が学校に行けない理由がわからず、どう接していいか悩んでいる。

喜多嶋先生(宮﨑あおい)フリースクール「心の教室」の先生。雪科第五中学校出身。

伊田先生(藤森慎吾)こころのクラス担任。

養護の先生(滝沢カレン)雪科第五中学校の養護教諭。

東条萌(池端杏慈)こころの同級生。父の都合で転校が多い。

真田美織(吉村文香)こころの同級生。身勝手な性格。

ミオ/水守実生(美山加恋)リオンの姉。重い病気を患い、リオンが小学校入学時に他界。

 

 雪科第五中学校一年生の安西こころは、学校に行けなくなり、母とフリースクール「心の教室」に行く。面談室のこころに若い女性の喜多嶋先生が来て、自分も雪科第五中出身だと自己紹介する。こころは、転入生がやって来て「こころちゃん、久しぶり」とやって来ると想像するが、そんな奇跡は起きないと知っている。

 (タイトル『かがみの孤城』) 

〔5月〕朝、こころが母に「お腹が痛い」と訴える。母は今日から行く予定の「心の教室」に電話して「体調が優れないので、行かない」と伝える。こころは「行かないじゃなく、行けないのに」と不満だった。

 こころは家でゴロゴロして過ごす。午後、向かいの家の同級生の東条萌が、自宅の郵便受けにプリントが入った封筒を置きに来る。

 すると、部屋の姿見が光り、こころが手を触れると鏡の中に引きずり込まれる。

そこは西洋の城のような所で、オオカミの仮面を被った少女(オオオカミ様)が「あなたはこの城のゲストに招かれたのです」と迎える。

こころが鏡に逃げようとすると、オオオカミ様はこころの足を掴んで引きずって行く。

 城の大階段に6人の子供達が座っていた。皆、鏡が光って連れてこられたと言う。

 オオオカミ様が「この城のどこかに『願いの部屋』があり、入るとどんな願いも叶う。入れるのは1人だけで、城のどこかにある鍵が必要だ。期限は来年の3月30日まで。この城にいられるのは日本時間の9時から17時までで、それを過ぎるのはルール違反で、連帯責任としてその日、城にいた者全員が狼に食べられる」と説明する。

 オオオカミ様は7人を暖炉の間に連れて行く。自己紹介するとアキ、中3。こころ、中1。フウカ、中2。リオン、中1。スバル、中3。マサムネ、中2。ウレシノ、中1。全員中学生だ。5時15分前になり、自分の鏡から家に帰る。

 〔6月〕あれからこころは城へは行っていない。こころは、萌が学校からのプリントが入った封筒を郵便受けに入れるのを見る。

どうしても叶えたい願いが1つあるこころは、城へ行く。暖炉の間でマサムネとスバルが携帯ゲーム機で遊んでいた。アキとフウカは、暖炉の脇の機械が何か考えていた。

 こころは自分の部屋へ行く。大きな天蓋付きのベッドに思わず飛び込む。本棚には、シンデレラや赤ずきんちゃんなどの童話が沢山並んでいた。萌の家にも童話があったことを思い出す。

他の人は毎日のように来ているそうだ。ウレシノも来て、ママが焼いたクッキーをプレゼントする。

 翌日、城に来たこころは、アキとフウカに食堂へ誘われる。ウレシノがアキに好意を持っているのをアキが煩わしく思い、女子は食堂にいるのが多いとのこと。城では水やガスが出ないので、アキが持参した水筒で、大好きなストロベリーティーを2人にご馳走する。

 よく来ている2人は、ざっと城の中を探検したと言う。城の周りは海で、どことも繋がっていない。願いの鍵は見つかっていない。こころは、2人にどんな願い事があるのか気になるが、また、みんなが学校に通っていないようだが、聞くことができない。

 

〔7月〕ウレシノがこころにクッキーをプレゼントする。アキやマサムネが「好きな人にクッキーをあげる癖がある」とからかう。オオオカミ様も「アキからこころに乗り換えたのか?」と言い、フウカも「馬鹿みたい」と言う。こころは、その言葉で、真田の事を思い出す。

〔8月〕スバルは、夏休み中は家族旅行やら夏期講習で城に来る人は少ないと言う。こころが城で夏休みの宿題を勉強する。リオンは夏期講習を知らず「こころもやっているの?」と聞く。呼び捨てにされて、こころは驚く。

 こころと母が2人で夕食をとっている時、母が昼間にたまたま自宅に戻ってきた時、こころがいなかったので、外出できるようになって嬉しいと言う。監視されていると感じたこころは反発し、食事の途中で部屋に籠る。

夏休みも終盤になる。スバルが金髪に染めて皆が驚く。アキが「その髪だと先生に何か言われない?」と心配する。

 ウレシノがフウカにクッキーをプレゼントすると、また乗り換えたと、皆が馬鹿にする。突然ウレシノが怒り「皆僕をバカにしている。学校に行っている振りをしているけど、全員が学校に行っていない。僕は2学期から学校行く」と宣言する。リオンは「俺はハワイの寄宿舎付きの学校に留学をしている」と言う。

 〔9月〕ウレシノは顔中絆創膏だらけ、腕には包帯を巻いて城に現れる。ウレシノはいつも同級生におごっていたが、「おごらないなら用はない」と言われてカッとなり、手を出して、反対にやり返されたのだそうだ。

夏休みを終え、アキも髪を染めて派手になった。アキはこころとフウカに「彼氏ができた」と打ち明ける。

 夕方、こころが郵便受けから萌が持ってきた封筒を取り出そうとすると、喜多嶋先生がやって来て、玄関先でこころと話す。こころは「私が学校に行けないのは、私のせいじゃないって言ったのは、本当ですか?」と聞く。喜多嶋先生は「だってこころちゃんは毎日闘っているから」と答える。そして、自分の好きな紅茶なので飲んでと、紙袋に入ったストロベリーティーをあげる。

 〔10月〕珍しく全員が揃った日、アキとマサムネの発案で、話し合いをする。2人はかなり真剣に鍵を探していたが見つからず、全員で協力して鍵を探そうと提案する。リオンが「鍵を見つけても3月末まで使わない事にする」と持ち掛け、皆が賛同する。

 分担する事になり、ウレシノ、フウカ、こころは厨房で鍵を探す。こころはオーブンの中に×印を見つける。ウレシノとフウカの仲は良さそうで、こころはそっと去る。

 オオオカミ様が現れて、共同で鍵を探している事を褒める。そして「願いが叶ったらここでの記憶を一切失う。3月30日まで願いが叶えなかったら、記憶は継続される」と話す。

次の日、女子3人で鍵を探しながら、アキは「願い事が叶うなら記憶がなくなっても良い」と言う。こころは2人に、自分の事を語る。

 こころは転校生の萌と仲良くなるが、真田が引き離す。同じ小学校出身の池田君がこころを呼び出し「俺、お前みたいなブス、大嫌いだから」と言って去って行く。茂みに隠れていた真田達が「バッカじゃないの、マジ、死ね」と笑う。

 後日、こころが自宅にいるとチャイムが鳴り、ドアの向こうに同級生の女子達複数人が来る。真田が「出てこい!いるんだろ」とドアを叩き、窓から中を見ようと庭に入ってくる。こころが慌てて施錠を確認し、カーテンを閉めると真田が窓ガラスを叩き、しまいには「酷い」と泣き始める。「卑怯」「人の彼氏に色目使ってんじゃねぇ」などと散々罵る女子達の声を聞いて、こころは「殺される」と震える。

 その話を聞いたアキは「偉い。よく耐えた」と、こころを抱きめる。こころは、この事を誰かに聞いてもらいたかったと言う。自分の願いは、この世から真田がいなくなる事だが「それで皆との記憶がなくなるのなら、どうしたら良いか分からない」と泣く。

 〔11月〕こころと暖炉の横の機械を見ていたリオンが、横に取手をはめてネジを回す。すると大きな盤が回転し音楽が流れ、フウカは「トロイメライだ」と言う。それはアンティーク・オルゴールだった。

 その時、広間の姿見からセーラー服姿のアキが飛び出し、怯えて震えていた。皆はその服を見て「雪科第五中?」と聞く。ほぼ全員が雪科第五中の生徒で、リオンも留学しなければ雪代第五中に入学していたと言う。こころは、同じ学校にこんなに不登校の子がいるのか、と思う。オオオカミ様が現れ「今頃気づいたのか。お互いの学校を話せば良かったのに」と呆れる。

自宅に戻ったこころは窓の外の景色を眺め、この町のどこかに仲間達がいると思い、元気になる。

その日、こころは母に、真田達にされた仕打ちについて話す。母はこころを抱きしめて、気づかなかったことを謝り「闘おう」と励ます。

〔12月〕こころの家に担任の伊田先生が来て「真田から話を聞いた。反省して心配している。真田と話さないか」と言う。こころは「反省してないと思います。それは先生達に悪く思われるのが怖いからです」と言い切る。母も「こころからもきちんと事情を聞くべきなのでは?」と提案し、煮え切らない態度の伊田先生に「今度は学年主任の先生か校長先生といらしていただけますか」と言って話を打ち切る。

クリスマスの頃にこころが城に行くと、リオンが母の手作りのホールケーキを持ってきた。オオカミ様もやってきて、持ち帰って食べると、切り分けたケーキを受け取って去る。

 マサムネが全員を集め「転校するので、3学期の最初の1日だけでいいから学校に来てほしい」と必死に頼む。マサムネの親は、3学期から転校させる事を考えていた。マサムネは皆と別れたくないので、1日でも登校すれば、親は転校を考え直してくれると言う。また、マサムネはフリースクールに行っており、一人良い先生がいると言う。こころが「喜多嶋先生では?」と聞くと、マサムネとウレシノが通っているフリースクールの先生の名前も喜多嶋だった。

 自分達が皆雪代第五中の生徒で、ここに集められたのは何か意味があるのではないか、助け合えるのではないか、とマサムが言う。

 〔1月〕3学期初日。こころは一人で登校する。「学校に行くのではない、友だちに会いに行くのだ」と心の中で唱えながら、昇降口まで行く。人のいない時間帯だったが、後から萌が来て、無言でそのまま行く。

 こころは自分の上履きの上に真田からの手紙を発見し、さらに衝撃を受ける。急いで開封して読むと「私の事嫌いですか?会って話がしたい。私はあの人とは夏に別れた。こころが好きなら応援したいと思います」と、心にもない事が書いてあった。

 こころは手紙を握りつぶして、フラフラになりながら保健室に行く。誰かいてほしいと願いながら、こころが保健室のドアを開けると、養護の先生しかいなかった。こころは皆の名前を挙げて来たか聞くが、苗字を知らないので先生もわからない。唯一知っているウレシノの名前を出すが「1年生にそんな生徒はいない」と言わる。喜多嶋先生がやってきて、こころは倒れる。

 こころが目覚めると、母から聞いてやってきた喜多嶋先生は、職員室で伊田先生と話し、こころが持っていた真田からの手紙を読んで「あれは、ない」と怒る。喜多嶋先生にこころは、萌の態度がショックだったと伝える。すると「真田さんの事、私たちに教えてくれたのは東条さんなの。東条さんは心配している」と言う。自分のしたい事だけを考えて、もう闘わなくても良いと優しい言葉をかける。

 こころが城に来ると、サッカーの練習の合間にやって来たリオンは、誰も来ていないと言う。こころが、誰も学校に来なく、学校の生徒でもないかもしれないと話し、落ち込んでいると、リオンが励ます。

 リオンの願いは「病気で亡くなった姉を、家に帰してほしい」と言う。それに比べて自分の願いはなんてちっぽけなんだろうと、こころは思う。リオンは去る。

 その後、やってきた人達は皆、自分は学校に行ったのに誰もいなかったと言い、困惑する。

 数日後、やってきたマサムネは「パラレルワールド、それぞれ違う雪科第五中に通っているので、会えなかった」と仮説を言う。マサムネはオオオカミ様に「真実はいつも1つ、なんちゃって」と『名探偵コナン』の物まねをする。

 オオオカミ様は「全然、違う。外の世界で会えないとは言っていない。今までに十分ヒントを出している。鍵探しのヒントも」と言う。皆の個室の、ベッドの下、机の下、風呂、厨房の暖炉、食堂の戸棚、クローゼットの中で見つけた6つの×印がヒントか?と尋ねると、「考えろ」とオオカミ少女は突き放す。

 こころの自宅の郵便受けに萌からの手紙が入っていた。中には一言「ごめんね」と書いてあった。

 〔3月〕城には諦めムードが漂っていた。スバルが、マサムネとゲームをやるうちに興味が湧き、将来はゲームを作る人になるために定時制の工業高校に行くと言う。マサムネも、父親の勧めで別の私立中に通うと報告する。ウレシノは、ママと一緒に海外留学する話が出ていると言う。みな先のこと考えていて、こころは焦る。

 フウカの部屋からピアノの調べが聞こえる。アキは、勉強をやり直すために留年すると告白する。

 こころは久しぶりに母と外出し、ショッピングモールのフードコートでハンバーガーを食べる。喜多嶋先生も来て「クラス替えで真田やその取り巻きと別のクラスにしてもらう。担任の伊田先生も変えてもらう。その事は絶対守ってもらうと学校側に約束してもらった」と言う。

 萌はお父さんの仕事で、名古屋に転校すると教える。母は、雪科第五中でも、別の中学へ転校しても良いし、無理に中学に行かなくても良い、フリースクールでも良い。選択肢は沢山あるので一緒に考えようと言う。

 その帰り、こころは文房具店でレターセットを買い、コンビニでお菓子も買う。明日3月30日は、城で過ごせる最終日。皆でお別れパーティーをしようと約束したので、こころは全員に手紙を書き、お菓子を準備する。

 母が家にいるので城に行けず、こころは焦っていた。外を見ると、道路からこちらを見ている萌の姿が見えた。こころが急いで外に出ると、萌が家に来るように誘う。

 萌の家は引っ越しの荷造りの段ボール箱が積まれていた。萌がコンビニで買ってきたカップアイスを2人で食べる。萌が、3学期初日にこころを無視したことについて謝る。その頃、萌は真田達から無視され始めていて、こころが自分としゃべっている所を見られたら迷惑がかかると思ってやめたと言う。

 萌は「あんなレベルの低い人達、バカにしていたのは本当だし、もっとハッキリ嫌だって言えば良かった」と言う。萌は「たかが学校のことなのにね」と言い、「負けないでよ」とこころを励ます。 

 帰り際、玄関に飾ってあった童話『オオカミと七匹の子ヤギ』の挿絵を見たこころは、引っ越しまでに返す約束をして、その絵を借りる。

 家に戻る途中、自分の部屋が光り何かが割れる音が聞こえる。慌てて自室に戻ると姿見が割れており、下半分くらいしかない。そこを覗き込むと仲間の顔が次々映り、リオンが「アキがルールを破った。午後5時を過ぎても城に隠れて帰らなかった。他のメンバーは帰ったが、連帯責任で城に呼び戻された」と言う。その日、城に行っていなかったこころだけが助かり、リオンたちは「願いの鍵を見つけて、アキを」と、こころに託す。

 こころは絵を持って、姿見の残った部分から城に入る。他の姿見は皆倒れていた。城の中は荒らされており、狼の遠吠えが響き渡っていた。

『オオカミと七匹の子ヤギ』の挿絵の子ヤギが隠れている場所が、城の中の6つの×印と合致していた。挿絵の通り、机の下、ベッドの下、クローゼットの中、オーブン、食器入れ、風呂桶など6つの×印の場所へ行くと、×印は次々とこころの手のひらに吸い込まれる。

 こころは、童話で7匹目の子ヤギが隠れた大時計に向かう。広間の階段の上の手の届かない所にある大時計に向かって、光の階段が出現する。こころが階段を上り始めると、後ろから階段が消え始める。慌ててこころは走り出し、間一髪で時計に飛び込む。

 薄暗いその空間では、沢山の大きな歯車が回っており、鍵が落ちていた。鍵の周りの6つの×印が浮き上がり、こころの頭の中には6人の過去の記憶が雪崩れ込んでくる。

 マサムネは、有名なゲームクリエイターと知り合いだと自慢したが、教室の机に「ウソツキ」などと彫られ、周囲から非難される。喜多嶋がマサムネを慰める。

 3学期初日。ウレシノは校門でママの作ったおにぎりを食べ、友達が来るのを待つ。母と老年の喜多嶋先生が来る。

 スバルは、金髪をドライヤーでセットし、祖父から小言を言われる。耳にイヤホンをして、聞こえない振りをする。学校では、パーカーのフードを被ってうずくまる。

 フウカはピアノの先生に「天才です」と言われ、母親にきつくピアノを指導される。しかし、コンクールでは良い成績を残せず、友達に馬鹿にされ、母の前で感情を爆発させる。中年の喜多嶋先生に相談する。

 リオンの姉は彼が小さい頃から入院し、弟に『オオカミと七匹の子ヤギ』の絵本を読んでくれた。姉は、自分がいなくなったら、リオンのお願いを神様に叶えてもらえるよう頼んであげると言う。リオンは「姉ちゃんと学校に行きたい」と答える。「私もリオンと一緒に学校行きたいな」と言って、姉は亡くなる。その後、母はリオンにハワイの学校への留学を勧める。

 アキは、彼氏ができたと同居している祖母に紹介する。祖母が亡くなり、アキは制服を着て葬儀に参列する。その後、酔った義父が近寄ってくるので、アキは義父の股間を蹴り上げ、彼氏に助けを求めようと電話でポケベルの番号を打つが間に合わない。すると、横に置いてあった母親の手鏡が光り、アキは城に来ることができた。オオオカミ様は「ピンチだったから」と告げる。

 アキは、彼氏が別の女性と歩いているのを見かける。3学期の初日に保健室に行くが、誰も来ていない事に絶望し、学校にも家にもいたくない、と追い込まれる。そして今日「帰りたくないよ」とアキは城に残っていたのだ。5人はアキを探すが、ついに時刻は午後5時になる。仕方なく各自が姿見から自宅へ帰るが、連帯責任で全員が城に戻され、姿見が壊れ、炎の大狼に全員食べられた。

 オオオカミ様はこころに「集めた×印は彼らの墓標で、それが彼らの記憶の断片を見せた」と言う。

 6つの×印は円を描き、その中心に光る扉が現れる。オオオカミ様は「その鍵をどう使うかは自由」と言う。こころは「私達、会えるよね?」と聞く。オオオカミ様は「アキは『願いの部屋』にいる。お前次第だ」と教える。こころは扉に鍵を差し込むと、中に入る。

 中には、連なる鏡に無数の自分が映っていた。こころは「アキちゃんのルール違反をなかった事にして下さい」と叫びながら、鏡を走り抜ける。

 

 その先に、こころはうずくまるアキを発見し「会えるよ。大人にならなきゃダメ。私は未来にいる。違う時代の雪科第五中の生徒なの」と呼びかける。こころが伸ばした手をアキが掴むが、なかなか引っ張り上げられない。リオン、ウレシノ、マサムネ、フウカ、スバルが来てこころの身体を掴み、6人でアキを引っ張る。

 7人は広間に倒れていた。アキは泣き、皆が慰める。オオオカミ様は「お見事だった」と拍手する。

 スバル(長久昴)は1985年、アキ(井上晶子)は1992年、こころ(安西こころ)とリオン(水守理音)が2006年、マサムネ(政宗青澄)が2013年、フウカ(長谷川風歌)が2020年、ウレシノ(嬉野遥)が2027年、と7年差の世界に生きていた。ただ、アキの後は14年空いていた。

 オオオカミ様は、明日3月30日を待たずにこの城は閉鎖される。願いを叶えたという事は記憶がなくなる。皆が希望してもそのルールは変えられないと言う。

 リオンはオオカミ様を「姉ちゃん」と呼び、1999年に入るのは姉だと言う。リオンの姉は病気で、中学に行けずに亡くなった。姉の命日の3月30日が城の期限であった。病室のドールハウスの中で、姉は1年間、リオンやみんなと過ごしていたと言う。オオカミ様はそれに答えずに去る。

 思い出にと壁に全員のフルネームを書く。スバルは、マサムネの虚言が真実になるように、ゲームを作る人になると宣言する。マサムネは敬愛するゲームクリエイターのロクレンセイ(六連星)が昴の別名であることに気づく。ウレシノはフウカに付き合ってほしいと告白する。現実世界では8歳上で、記憶がなくなるからきっと気づかないとフウカは言うが、ウレシノは絶対見つかると自信満々で、フウカもOKする。

 アキはこころに「助けてくれてありがとう」と感謝し、こころはアキに「14年後の未来で待っている」と伝える。

 一人ずつ姿見から自宅へ戻っていく。最後に残ったリオンがオオオカミ様に「姉ちゃん」と呼びかけ「俺、覚えていたい。皆とオオオカミ様の事」と頼む。オオオカミ様は「善処する」と言い、オオカミの仮面を外す。リオンは涙を流す。

病室に城のドールハウスがあり、リオンはオルゴールを置く。リオンの姉が「ありがとう」と呟いて亡くなる。

 「心の教室」では新しい名札を胸に付けた旧姓井上、結婚して喜多嶋となった晶子が、面談室へ入り、安西こころに「私も雪代第5中の生徒だった。大丈夫」と話す。「だから大人になって、こころ」と呟く。窓ガラスに、中学生のアキの顔が映る。

 2006年4月7日。2年生に進級したこころは、雪科第五中へ歩いていた。男子がこころに近づいて「同じクラスだね。俺、水守リオ」と挨拶する。2人は一緒に登校する。

(エンドクレジット)

(写真は「映画com」「公式Twitter」「IMDb」より)