『さかなのこ』ネタバレの感想 好きな事を貫く人生に感銘した | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

 評価 4/5 ☆☆☆☆★

 8月23日(火)に「フォーラム山形」で試写会を見た。本作は「さかなクン」の半生を描いているそうで、さかなクンは魚についての見識が深く、話し方も面白く感心していたので、どんな人物だったのか、非常に興味深く見た。

 冒頭で「男か女かは、どっちでもいい」の字幕が出る。本作は男性のさかなクンを女性の「のん」が演じた事でも話題になったが、さかなクンを演じるのが上手いかどうかが問題であって、女性か男性かは問題にならないと言う意味なのだろう。実際に「のん」の演技は見事で、ほとんど違和感はなかった。

 ミー坊(さかなクン)は、小学生の頃から魚が大好きで、好きな事をずっと貫き通したのは立派だと思った。もちろん、周りの人の応援もあったからできたのだろう。特に母親は、小学校時代にミー坊を毎週水族館に連れて行き、心配する父親に「あの子はこのままで良い」と言い、高校の三者面談では「この子は魚が好きで、魚の絵を書いて、それで良いんです」と先生にきっぱり言う。子供の才能を信じており、一番の理解者で、素晴らしい親だと思った。ところが、最後に「本当は魚が苦手」と衝撃の告白をする。自分は我慢してまで、母親はミー坊の趣味を伸ばそうとしていたのかと思うと、余計に感激した。

 母親以外にも、『ミー坊新聞』を評価した小学校の先生。カブトガニの飼育を一緒にした鈴木先生。ミー坊の友人になった高校時代の総長や不良逹。水槽の仕事の紹介をしたモモコ。魚の相談に乗り、仕事を与えた「海人」の店長。ミー坊に店の魚の絵を依頼した籾山。テレビ番組の出演を企画したヒヨ。など、様々な人々の応援があったからこそ、ミー坊の成長があったのだろう。

 ただし、所々に映画独自の演出(虚構)が入っているのが気になった。まず、さかなクン本人がギョギョおじさん役で出演していたが、さかなクン本人が映画に出演するために作った人物と思われる。ミー坊がテレビに出演した時、ギョギョおじさんから貰った帽子を被り、同じような服装、同じような話し方や動作をしていた。お魚大好きのさかなクンは唯一無二の存在だと思っていたのに、映画だとミー坊(さかなクン)の前に、そっくりなキャラクターのギョギョおじさんがいたことになり、不満である。若いミー坊を「のん」が演じ、中年のミー坊をさかなクン自身が演じる配役でも良かったのでは?

 また、ホームページに、モモコは映画のオリジナルのキャラクターとある。従って、モモコがミー坊と暮らしたのは虚構であり、モモコが歯科医の水槽の仕事を紹介したのも虚構になる。モモコが去ってミー坊が焼け酒を飲むのも虚構なので、翌朝、シャッターにシシャモの絵を書くのも虚構になる。ペンキが身近にある事自体が虚構だが。通りかかった総長がその絵を見て、籾山がミー坊に店の絵を依頼するのも虚構だろうか?そうなると、籾山の店で母親が言った感動的な話も虚構だったのだろうか?どれが虚構なのか、次々に疑わしくなる。さかなクンの半生はそれだけでも感動に値すると思うので、別に虚構の演出を入れなくても良かったと思う。従って、とても感銘を受けたが、虚構が余計で、評価は「4」である。