『劇場版 ラジエーションハウス』ネタバレの感想 感染症も72時間の壁があるの? | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

 評価 4/5 ☆☆☆☆★

 4月27日(水)に「ソラリス」で行われた試写会に当たったので見た。

 映画の冒頭で、災害時に「72時間の壁」があると強調していたので、この映画は災害時の「72時間の壁」の話かと思った。災害時の72時間の壁とは、及川貴史の講演で言っていたように、人間が水を飲まずに72時間が過ぎると、救命率が下がる限界である。

 杏が行った離島で、台風による土砂崩れが発生したので、生き埋めになる話かと思ったら、謎の感染症が大流行する話だった。感染症の場合も72時の壁があるのだろうか?沢山の患者に杏一人で奮闘してもどうにもならず、甘春病院の灰島医院長に医師の派遣を要請する。ところが灰島は「派遣した医師が未知の感染症に感染した場合、病院の患者も風評にさらされ、病院に来る患者の数が減る。だから派遣しない」という理屈で断る。命を預かる医師と思えない、何とも見識の狭い考えである。そういうキャラ設定だから仕方ないのか。

 結局、病気の原因は、台風による土砂崩れで井戸水が汚染された事で起きた、カンピロバクター腸炎だった。でも、何度も井戸水を飲むのがアップで映り、井戸水が原因だとバレバレである。ただ、潜伏期間は5~7日だそうなので、台風の次の日に患者が発生するのは、早すぎるのでは?もし、1日で症状が出るのなら、杏や野山房子は丸1日、水を飲んでいなかったの?

 トリアージの問題も考えさせられた。妊娠中であるが、救える可能性の低い高橋夏希の治療よりも、救える可能性の高い交通事故の加害者の治療を優先した。医師は犯人を罰するのが仕事ではないので、犯人でも人命救助は当然だろう。圭介が鏑木安富医師を人質に立てこもって、妻の治療を要求するが、何もならないどころか、逆に治療を遅らせる事になると思う。そんな監禁脅迫犯の圭介をすんなり許してしまう、甘春病院の人々は心が広すぎる。

 帝王切開で赤ちゃんを取り上げるとき、医師や看護師が意識のない夏樹に「お母さん頑張ったね」と声をかける場面には涙が溢れた。

 さて、広瀬裕乃は初めてのカテーテル治療のサポートを成功させ、五十嵐に好きだと告白し、さらに五十嵐に杏との関係を応援し、自分の壁を破ったのは感心した。五十嵐も杏に告白して、壁を破ったのも感心した。杏は父の考えを受け継いで、島に暫くいて住民を治療するようである。それも杏が「世界一の医者」になる道でもあると思うので、感心した。

 ドラマではコメディタッチの場面や仲間割れの場面多く、気になった。今回は控えめで、放射線技師だけでなく、大森医師や鏑木医師までが団結して、さまざまな問題に正面から向き合っているのに感心した。また、五十嵐と放射線技師たちが、杏にX線撮影法を的確に指示するのは感心した。ただ、自分の病院の仕事を放り出して、技師長以外全員の放射線技師が行くのはおかしいのでは? 今回は及川率いる他の放射線技師たちが応援に来たので、病院の業務に支障はなかったが。ドラマでも、いつも全員で行動するのが気になる。感動的な場面もあるが、脚本がおかしい場面もあるので、評価は「4」である。