『クワイエット・プレイス』(2018年)及びパート2『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』(2020年、公開は2021年)は、緊張感に溢れる非常に怖い映画であった。しかし、疑問点(突っ込み所)も多い。第1作と第2作の疑問点を紹介する。
第1作『クワイエット・プレイス』の疑問点
1.何で裸足なの?
音を立てないようにしているらしいが、ガラス片やトゲを踏んだら痛いだろうと心配していたら、案の定、もっと痛い釘を踏んじゃうし。道路にまかれた白い砂のようなものは、足音を立てなくするものらしいので、裸足の必要はないのでは?
第2作では、白い砂の道が途中で途切れると、確かに落ち葉を踏む音が大きくなったので、一定の効果があるかもしれない。でも、第1作で出会った老夫婦も、第2作で出会ったエメットも靴を履いていた。裸足の効果はないと思う。
2.白い砂はどこから持ってきたの?
リュックから白砂を出して道を引く場面があったが、近くに砂浜はないし、どこから持ってきたのだろう?また、1個のリュック(幅30cm、高さ30cm、厚さ15cm)に入る砂(体積13500cm3、密度が2.0g/cm3とすると、重さ27㎏。女性や子供が運ぶには重すぎるので、もう少し少ないかも)で引ける道は幅30cm、厚さ5cmに敷いて、最大90cmくらいである。毎日線を引いてる様子はないが、毎日1回道を引いても470日で423m、12.69t。家から町まで何kmもあるだろうから、どれだけの日数とどれだけの砂が必要なのだろう?
3.燃料や水はどうやって確保しているの?
アボット家では料理をしているようだが、煮炊きの燃料はどうしているの?飲み水はどう確保しているの?沢から引いているのかな?
4.どうやって発電しているの?
アボット家は夜になると電灯が明るく点くが、どうやって発電しているの?2作目の港町も、夜に電灯が点いていた。太陽光パネルは見当たらなかった。自家発電機は音がうるさいので、怪物に壊されるだろう?発電所が無人でまだ動いているの?発電所もうるさいので怪物に壊されるだろう。
5.住む場所を間違えていない?
地下室にマットレスを被せたくらいで防音になるの?ビルの地下室や、ピアノ室みたいに防音がしっかりした部屋に住めばいいのでは?父親が息子を滝に連れて来て、ここなら音がかき消されるので安全とか言っていたが、滝の傍や川辺に住めばいいのでは?滝や川なら水をすぐ確保できるし、水力発電もできるのでは?
6.なぜ妊娠したの?
事件発生から470日以上たつので、明らかに事件後に妊娠したのだが、なぜ妊娠したの?生まれた赤ちゃんは泣かさずに、どう育てるつもりだったの?まさか常に眠らせるつもりだったの?赤ちゃんは常に泣くのに、この赤ちゃんはぐずるが、泣かないので驚いた。あんまり言うと、マタハラと言われるかなあ。
7.階段に釘がなぜ出ているの?
エヴリンが地下室から大きな袋を持って階段を登る時、袋が釘に引っ掛かり、釘の先端が立つ。でも、曲げて打ってあったが、素足で歩く場所なので、曲げるくらいなら抜けばいいのでは?そもそも何で上向きに釘が打たれているの?
8.怪物は何で音を出すものを襲うの?
怪物は人間を襲うが、人間を食べている様子はない。捕食しないのなら、何で音を立てるものを襲うのだろう?また、470日も経つのに、怪物は何を食べているのだろう?
9.怪物は普段どうしているの?
音がしない時は、怪物はどんな生活をしてるのだろう?寝てるの?どこに住んでいるの?音を立てるとすぐ怪物がやって来るが、そんなに足が速いの?
10.怪物は嫌な雑音を聞くと、なぜ頭の殻を開けるの?
怪物は物音をよく聞こうとした時に、側面の耳のような部分の殻を開けるようである。だったらなぜ補聴器の雑音が聞こえた時、頭の殻を開けるのだろう?嫌な音を聞かないように、殻を固く閉じた方が良いと思うのだが。
11.怪物はなぜあんなに弱いの?
殻を開けている頭を狙われると、銃で1発であっけなく怪物が死ぬのには、あまりにも弱く、呆気にとられた。補聴器の雑音に怪物が頭の殻を開くと気付いたのは、アボット一家が初めてかも知れないが、今まで怪物の口とか、殻の隙間とかを撃った人はいなかったの?殻で銃弾は跳ね返せたとしても、軍隊が持っている炸裂弾とか、ロケットランチャーとか、もっと強力な武器なら殻を破壊できる思うのだが。軍隊も全滅するとは弱すぎである。
それとも、怪物は音に非常に敏感なので、可聴域でも大音量で音を出したら、大打撃を与えるのでは?
12.父親はなぜ斧を捨てたの?
最後の場面で、父親リーが大声をあげて怪物が襲って来た時、斧で戦うのかと思ったら、怪物が襲ってくる前に斧を投げ捨てたのはなぜ??遠くに斧を投げて、音を立てて怪物を誘導するなら分かるけど。
第2作『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』を見て、上記以外で疑問に思った点
13.怪物はどこから来たの?
隕石らしきものが街の郊外に落下してから、怪物が街に出現したので、あの隕石(宇宙船?)に怪物が乗って来たのだろう。怪物に知性はなさそうなので、宇宙船を操縦したのではないだろう。たまたま隕石の中にいたの?
14.落下した隕石の数は?怪物の数は?
第1作でアボット家の壁に「奴らは音に反応」「メキシコに隕石」などの新聞記事が貼ってあった(写真の右下の記事)。町に怪物が出現してからは新聞を作る余裕がないだろうから、その前の新聞だろう。となると、時間差で世界各地に隕石が落下しているようだ。無線が通じないので、全世界が壊滅したと思われる。ただし、1匹の怪物が1つの町を1日で壊滅させたとして、どのくらいの怪物の数が必要なのだろう。第2作で、怪物は泳げないと分かったので、日本のような島国だと面積が狭くても、相当数の怪物が必要だ。どのくらいの数の怪物が、どのくらいの数の隕石に乗ってやって来たのだろう?多すぎて見当もつかない。
15.他の島で生き残っている人間はいないの?
全ての離島に隕石が落下したわけでなないので、あの島以外にも人間が生き残っていてよさそうである。放送局が無いので、知らせられないだけなのかな?
16.島の放送局は、なぜ場所を放送しないの?
島の放送局で流している曲『ビヨンド・ザ・シー(海を越えて)』は、放送局が島にあると示しているのだそうだ。だったら最初から島に生存者がいると知らせればいいのでは?
17.ボイラーの打掛錠の錠受けに、なぜ最初からタオルを掛けておかないの?
エメットが怪物から隠れるボイラーの扉は、外からかんぬきを掛ける打掛錠になっている。かんぬきが完全に掛からないように、錠受けの傍に垂らしてあるタオルを掛けて噛ませていた。タオルを脇に垂らすのではなく、最初から錠受けにタオルを掛けておけば良いのでは?現に、マーカスが慌ててタオルを噛ませるのを忘れたが、エメットは忘れた経験はないのだろうか?もっとも、忘れていたら窒息死しているか(笑)。
18.ボイラーに空気取り入れ口や煙突はないの?
ボイラーは物を燃やすものだから、密閉されていれば酸素が供給されず、物は燃えない。どこかに空気取り入れ口や、煙突があるはずで、酸素不足にはならないはず。あれ?これはボイラーじゃないのか?でも、もし密閉されていたとしたら、扉の覗き窓のガラス(もしくは白雲母)を割って、空気取り入れ口にすれば良いのでは?
このようにたくさんの疑問点がある。第3作も制作されるようだが、以上の疑問点は解決されるのだろうか?私を考証担当に雇ってくれれば、協力するのに。しかも格安で。