『哀愁しんでれら』ネタバレの詳しいあらすじ | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

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監督:渡部亮平

主な登場人物(俳優)役柄

福浦小春(土屋太鳳)児童相談所で働く26歳の女性。

福浦正秋(石橋凌)小春の父。自転車店を営む。

福浦千夏(山田杏奈)小春の妹。大学受験を控えている高校生。

福浦一郎(ティーチャ)小春の祖父。

泉澤大悟(田巾圭)裕福な開業医。

泉澤ヒカリ(COCO)大悟の娘。小学校2年生。

泉澤美智代(銀粉蝶)大悟の母。高級老人ホームで生活している。

恵美(安藤輪子)小春の友人。

志乃(金澤美穂)小春の友人

白石礼奈(綾乃彩)小春の職場の先輩。

青柳(中村靖日)小春の職場の上司。

広夢(水石亜飛夢)小春の彼氏。売れないバンドマン。

教頭(正名僕蔵)ヒカリが通う小学校の教頭。

渉(阿久津慶人)ヒカリの同級生。

来実(野洋しおり)ヒカリの同級生。

 

 小学校の教室の机の上を白衣で歩く小春。

廊下に出て、白衣を脱いでドレスになる。小春の独白「女の子は漠然とした1つの恐怖を抱えている。私は幸せになれるのだろうか」。小春が教室の教壇に立つ。

 (タイトル『哀愁シンデレラ』)

 児童相談所の福浦小春と白石礼奈が、児童虐待の疑いで家を訪問する。窓から顔を出した母親が安否確認を断るので、小春が母親の腕を掴んで窓を開けようとする。子供は無事だった。

 児童初段所の上司青柳が「また苦情の電話が来そうだ」とたしなめる。小春は「子供の将来は、その母親の努力によって決まる」と誰か偉人の名言を引用する。

テレビでは「保護者が小学校に押しかけ、運動会をやり直せと、包丁を持って校長らを脅した」と報じていた。小春は「馬鹿な親。あんな親にはなりたくない」と呟く。小春が児童相談所に入ろうと思ったのは10歳の時。母親が「あなたのお母さんを辞めました」と、しがみ付く小春を振り切って出て行った。「あんな親にはなりたくない」と思った。

 小春は自宅へ帰る。白転車店「福浦サイクル」を営む父・正秋、高校生の妹・千夏、祖父・一郎の4人で暮らしている。千夏は東京の私立大学への受験を考え、正明は晩酌しながら学費で悩む。

 その夜、怒涛の不幸が福浦家を襲う。祖父が風呂場で倒れ、気が動転した一家は蚊取線香を落とし、父が運転する車で病院へ向かう。途中でふらつく酔っぱらいの自転車を間一髪で避けたものの、自損事故を起こし、父が飲酒運転で検挙されてしまう。救急車を呼んで病院に向かうが、救急車内で「福浦サイクルで火災発生」の無線を聞く。祖父の付き添いを妹に任せ、1人で家に戻った小春は、店舗が燃えている光景を見てへたり込む。警察署から樵悴しきって出た小春は、近くの彼氏・広夢の家に泊めてもらいに行くと、彼氏と礼奈が裸で抱き合っている真っ最中だった。

 小春は茫然自失状態で夜道を彷徨う。警報機が嗚っている踏み切り内に倒れている男性を見つけ、ためらうが救出する。泥酔した男は吐き、小春の靴を汚す。小春は靴と男の服を公園の水道で洗い、タクシーに乗せる。男は「お礼をさせてください」と小春に名刺を渡す。

 児童相談所には、訪問した母親から痣ができたと苦情が来ていた。青柳が礼奈に「先輩からガツンと言ってやれ」と言うが、小春は恋人を奪った礼奈を睨みつける。

 福浦家は焼け残った2階の住宅部分で生活していた。店を失った父は、再就職が難航していた。糖尿病の父は自分でインシュリンを打ちながら、健康な人にインシュリンを打つと低血糖で死亡する、と小春に教える。小春の給料だけでは、家族を養うことも、祖父の人院費や妹の学費を払うことも不可能だ。妹の千夏は大学進学を諦めて就職すると言う。

 小春は、友人の志乃が働く喫茶店で、友人で一児の母で双子を妊娠中の恵美と会う。志乃は「一番の成功の秘訣は、夢を全て捨てる事」と助言する。恵美は「新しい出会いはないの?」と尋ねると、小春は、踏切で男性を助けたと話す。その男性に貰った名刺には「泉洋クリニック院長 泉澤大悟」と記されていた。恵美は「白馬に乗った王子様より、外車に乗ったお医者様」と、連絡を取るように勧める。

 大悟は小春を、ベンツで高級ブティックに連れて行き、「僕が生きていたのは小春さんのお陰」と高額なドレスとパンプスを何の躊躇もなしにプレゼントする。

喫茶店で、小春はあの夜、恋人と別れた事を話し、大悟は、妻を交通事故で亡くしたと話す。大悟は小春を、有名な馬刺し店に誘う。

 小春が大悟の家に行くと、豪邸だった。娘の小学校2年生のヒカリは、ドッジボールのボールが目に当たったと眼帯をしていた。馬刺し店で、小春はヒカリの眼帯に、サインペンで漫画の少女のような眼を描く。人見知りで気難しいところがあるというヒカリと、小春は初対面であっという間に打ち解ける。

 大悟は、父に葬儀社の仕事を斡旋する。父は死体を触れるか心配するが、店長が慣れると言うので就職する。大悟は小春の祖父を、知り合いの大病院の特別室に転院させ、入院費を肩代わりする。そこの医院長は小春に「大悟は、今度は良い人を見つけたようだ。前の奥さんは最低だった」と話す。大悟は妹の家庭教師も引き受けてくれる。小春はそんな大悟に惹かれていく。

 ヒカリは小春に、同級生の渉が好きだと教え「パパには言わないで」と頼む。

 福浦家で大悟は「僕ができる事は何でもする」と言う。それを聞いた小春の父は「だったら小春を貰ってくれない」と頼むと、ヒカリも賛成する。

 橋の下で、小春が高校1年から10年間付き合っていた売れないバンドマンの広夢が「僕には小春しかいない」と、自作した歌で謝る。小春は振る。

 小春と大悟は、洋品店で布を買う。海岸を歩きながら大悟は「俺ももうすぐ41歳。ヒカリに母親が必要だ」と、小春にプロポーズする。

 家のミシンで布を縫いながら、小春は買ってもらったキラキラのパンプスを眺める。

 ヒカリの誕生日に小春は手作りの筆箱をプレゼントし、ヒカリは大喜びする。小春は大悟に「本当に私で良い?」とプロポーズを受け入れる。大悟と小春はヒカリを連れて直ぐに役所に行き、婚姻届けを出す。その後、彫刻がある海辺の公園で3人が幸せいっぱいに踊る。

 その夜、ヒカリが寝ると、小春は大悟から長年の夢の点滴をしてもらう。大悟は小春に「今度からどんな夢も僕が叶える」と誓う。大悟は聴診器を小春の胸に当て「凄い心拍数」と言うと、小春は「爆発しそう」と答える。

 大悟は「元妻のマイカは最低の女。交通事故の時、男と一緒にいた。マイカに母親の覚悟がなかった」と語る。小春は、家を出て行った自分の母親を思い出し「私はちゃんとヒカリの母親になる」と誓う。

 高級老人ホームで暮らす大悟の母・美智代が小春に「母親の愛情を知らないあなたが母になれるの?母になることと母であることは違う」と厳しい言葉をかける。

 教会で、小春は赤いウエディングドレスを着て結婚式を挙げる。

ヒカリが撮る動画に、小春は「大ちゃんとヒカリの事、私は幸せにします」と誓う。皆で記念撮影する。

 小春は仕事を辞めて専業主婦の道を選び、3人家族の生活がスタートする。小春は毎日、ヒカリの弁当を作る。

ヒカリが小春に、おねしょした事をパパには内緒にするようにお願いする。2人を送り出した後、小春が豪邸を掃除する。ヒカリは弁当の時間、母親が弁当を作ってくれないと泣く。

 小春は喫茶店で、また志乃と恵美に会う。恵美は「出会ってから1ヶ月のシンデレラ・ストーリー」と、羨ましがるが、志乃は「シンデレラの物語って怖くない?一晩舞踏会で踊っただけでしょう。足のサイズしか知らないのに、結婚して大丈夫?」と忠告する。

 夕食で小春がヒカリにスパゲッティを食べさせようとすると、大悟はエビエキスが入っていると止める。ヒカリはエビ・アレルギーではないが、以前エビを食べて吐いた事があると言う。でも、エビが入ったシュウマイは食べていた。

 小春とヒカリは一緒にお風呂に入り、ヒカリは小春のおっぱいを触る。

 小春が弁当作りをしている時、邪魔になって指輪を外して置く。小春が家の掃除をしていると、いつもは鍵のかかった部屋のドアが開いていた。小春が中に入ると、兎のはく製や、瞳が描かれていない小春逹三人の家族の肖像画や、大悟の裸体の自画像などが飾られていた。戻って来た大悟は、宝物を集めた趣味の部屋で、兎のはく製は以前飼っていたペット、3人の肖像画は完成してから見せたかった。裸体の自画像は10歳から30年以上描き溜めている、などと説明する。

 大悟から指輪をはめていないと指摘された小春は、台所を探してもなく、家中を探す。ヒカリの部屋の中を探している時、ヒカリが帰って来て、同級生の渉に小春が手作りした筆箱を盗られたという。大介は、ヒカリの目にボールをぶつけたのも渉で、いじめではないかと疑う。

 ベッドで大悟と小春がいちゃついていると、ヒカリが来て一緒に寝る。

 大介と小春は学校に出向き、教頭と担任教師に、筆箱が盗まれたと訴え、渉から謝ってもらうように要望する。校医を務めている大悟は、養護教諭とインフルエンザワクチンの集団接種について打ち合わせに行く。すると担任が小春に「ヒカリがお弁当を作ってもらえなくて、毎日泣いている」と話す。

 その晩、渉と彼の母親が泉澤家に謝りに来るが、渉はかたくなに「やっていない」と主張する。彼らが帰った後、大悟は渉の素行の悪さをとがめる。小春は、ヒカリが渉に好意を抱いているので、気を引こうとしているのでは、と話す。また、ヒカリがおねしょや服を自分で着ないなど、赤ちゃん還りがエスカレートしていると大悟に打ち明ける。大介は、子供にはよくあることだと取り合ってくれない。

その話をヒカリがこっそり聞いており、「パパには内緒にしてね」と約束していた事を話した小春に反抗するようになる。小春は追い詰められていく。

 福浦家で父が小春たちに納棺士デビューのビデオを見せ、「死体を触る事に初めは抵抗があったが、慣れれば感覚がなくなる」と話す。ヒカリが手づかみで食べるので、箸を使いなさいと小春が注意すると、ヒカリは「じゃぁ、いらない」と反抗する。小春が父に、ヒカリの反抗を相談するが、父は「医者の大悟が心配ないと言うなら、心配ない」と取り合わない。

 小春は大悟の母の元を訪れる。高級老人ホームで暮らす大悟の母は「大悟に嫌われているから捨てられた」と話し、「大悟は小学生時代にいじめられ、何度も転校した。ある日大悟が「母さんは何もしてくれない」と反抗し、思わず大悟を叩いた。それ以来、大悟の左耳は聞こえなくなってしまった」と教える。大悟の母は「あなたは愛される母親になっているの?」と問う。

 泉澤家のトイレが詰まり、小春は業者を呼ぶ。詰まっていたのは、盗まれたと言っていた筆箱だった。小春は誰にも言わずに、家の前の海へ筆箱を投げ捨てる。

 小学校の放課後の教室で、ヒカリの同級生の来実が、教室の窓辺で机の上に立って外を見ていた。来実は仲の良い渉と一緒に勉強をする約束をしていると言う。それを聞いたヒカリは、来実の背後にそっと近づいていく。

窓から転落して亡くなった来実の葬儀へ向かうため、小春はヒカリに黒い靴を履くように言うが、ヒカリは頑として赤い靴を履くと反抗する。ヒカリは赤い靴で葬儀に参列し、参列者は小春を非常識だと噂する。葬儀会場で働いてる父も注意するが、小春は不機嫌に口答えする。

その後、小春とヒカリはファミレスへ行く。ヒカリはゲームをしながら「来実ちゃんはいつも邪魔するの。だからゲームオーバーになったんだね」と呟く。

 ヒカリは小春の化粧品を弄っていた。大悟が「また買えばいい」と言う。小春が大悟に「ヒカリちゃんは良い子じゃないかもしれない」と言っても、大悟は信じない。春はヒカリの弁当のおにぎりに、梅干の代わりに5円玉と磁石を入れる。帰宅したヒカリの弁当箱は空になっていて、小春が聞くとヒカリは「おいしかった」と答える。

 恵美が小春に会いに来る。恵美は夫の浮気で離婚するつもりで「私どうなっちゃうんだろう」と言う。小春は「自分の事でなく、子供の事を考えろ。直ぐに離婚だとか無責任だ」と怒る。

 小春の妹・千夏から電話があり「大悟から受験への過度なプレッシャーを掛けられて、合格できるか心配だ」と相談がある。小春には、アドバイスする気力すら残っていなかった。

 小春は大悟の趣味の部屋へ入る。3人の絵は白目のまま。「family」と書かれたスケッチブックには、前妻とヒカリが描かれていた。小春の顔は塗りつぶされてた。ヒカリが部屋に入って来て、驚いた小春は兎の剥製を落として、耳が取れてしまう。ヒカリは大声で「いけないんだ。パパに言ってやろ」と、小春を囃し立てる。小春は、思わずヒカリの頬を叩いてしまう。

 夕食で焼き肉を食べながら、それを知った大悟はヒカリを殴った事を許さず、「子供の将来はその母親の努力で決まる」とナポレオンの言葉を引用し、「母親としての自覚が足りない」と小春に母親失格の恪印を押し、家から出て行けと言い放つ。

 家から出て行く小春にヒカリは「行かないで」と泣いて追いすがる。小春は、10歳の時に自分を捨てた母親の姿を重ねるが、ヒカリを振り切って出て行く。福浦家に行くが、仲良く団らんする様子を見て、中に入れずに帰る。公園のブランコで遊ぶ以前訪問した母娘を見た小春は、ブランコを大きく振って子供を怖がらせる。

 小春は踏切の中に横たわり、今までの3人の生活を思い出す。電車が近づく。

 大悟がやって来て小春を線路から助け出すと、彼女の薬指に再び結婚指輪をはめて「帰ろう」と優しく声をかける。

 大悟の趣味の部屋で、小春は服を脱ぎ、ヒカリと母娘としての絵を描いてもらう。そして、瞳が描かれていなかった3人の肖像画に青い瞳を描き入れ、リビングに飾る。

 ヒカリが泣きながら泥だらけの足で帰宅し、靴を誰かに盗まれたと訴える。小春と大悟が学校に乗り込むと、校内放送で「ヒカリの靴が盗まれた。校内に泥棒がいる」と放送する。2人は教室へ行き、犯人は誰だと問う。教頭がやって来て2人をなだめ、職員室に案内する。

すると渉が来て「ヒカリが来実を突き落としたのを目撃した」と証言する。小春は立ち上がり「うちの子がやるわけない」と一喝する。小春は、葬儀の後、ヒカリが「来実ちゃんは邪魔ばかりするからゲームオーバーになった」と言ったのを思い出す。

 帰宅後、ヒカリは「学校に行きたくない」と言う。大悟がヒカリを殴ろうとし、小春が止める。大悟は、趣味の部屋にあった宝物を全て海岸で燃やす。

ヒカリ以外は何もいらないと言う。

豪邸の窓のガラスに「人殺し」とスプレーで落書きされ、石まで投げ込まれ。小春は大悟に「ヒカリは良い子よ」と慰める。ヒカリを守るため、小春は大悟にある提案をする。

 小学校でのインフルエンザの集団予防接種の日、白衣を着た小春を助手にして、大悟が全校児童に注射をする。その最中に、ヒカリの同級生の女子が小春に手紙を渡す。それはヒカリに宛てて「ヒカリちゃんが殺したんじゃないってみんな知ってるよ」と書いてあった。小春はその手紙を捨てる。

 注射の中身は、インシュリンだった。教室で小春が教壇に立ち、大悟が座り、ヒカリ相手に授業をする。

廊下や階段には、注射を打たれた児童たちの死体が転がっていた。

 ヒカリの独白「女の子は漠然とした1つの恐怖を抱えている。私は幸せになれるのだろうか」。

 (エンドクレジット)

(写真は「映画com」「Cinema Café.net」「公式ホームページ」より)

 

 

 

 

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