『AWAKE』ネタバレの詳しいあらすじ | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

監督:山田篤宏

主な登場人物(俳優)役柄

清田英一(吉沢亮)主人公。大学の人工知能研究会で将棋ソフトの開発に携わっている。

清田英作(中村まこと)英一の父。

浅川陸(若葉竜也)英一のライバル。

山内ひろみ(森矢カンナ)陸の姉。

磯野達也(落合モトキ)大学の人工知能研究会の英一の先輩。

磯野栞(馬場ふみか)達也の妹。

中島透(寛一郎)東西新聞の記者で将棋担当。奨励会の同期

山崎新一(川島潤哉)棋士。奨励会時代の英一と陸の先生。

堀亮太(永岡佑)IT企業のドワンゴのニコニコ動画担当。

 

 2015年。プロ棋士とコンピュータ将棋ソフトが戦う電王戦。対戦相手は浅川陸七段。解説者の藤村棋士は「人間が負ければ、明日から職を失うかもしれない」と話す。将棋ソフトを作った清田英一は、小さい頃に奨励会で浅川陸のライバルだったが、プロ棋士を諦め、コンピュータ・ソフトの道に進んだ。

 字幕「この物語は2015年4月11日に行われた将棋電王戦FINAL第5局、阿久津主税八段vs AWAKE戦から着想を得たオリジナルストーリーです」

 2003年。将棋会館の前に少年の清田英一が立っていると、同い年の浅川陸が「君、強い?」と声をかけ「強い相手とやった方が面白いから」と言う。英一は奨励会に入会する。

 奨励会で指導担当の山崎新一が「奨励会員160名のうち、3級のリーグに昇進できるのは年に多くて4名しかいない。切磋琢磨して日本一の棋士になってほしい」と励ます。対局が始まる。英一は、将棋会館を出て、夜道を懐中電灯で将棋の本を照らして読みながら帰る。

 (タイトル『AWAKE』)

 家に帰って来た英一に父の英作が「楽しかったか?友達出来そうか?」と声をかけると、英一は「思ったより周りが弱かった。友達を作りに行っているわけじゃないから」と答える。

 将棋会館のテレビで、将棋の対局の中継を子供達が見ている。次の1手を英一と陸が予想し、陸の予想が当たる。

 英一が少年と対戦し、時間切れまで粘る。山崎が「詰んでいたのになぜ投了しない?」と尋ねると、英一は「負けたくないから」と答える。山崎は「相手を尊重することも大切。君は一人の棋士なんだ」と諭す。英一は家に帰ると、机の上で将棋を指す。

 奨励会で英一と陸が対局する。200手を越える長い戦いの末に、英一は陸に勝つ。英一は廊下の対戦表を見て、本を読みながら帰る。陸は廊下で泣く。

 2010年。大人になった英一は負け続けていた。

本を読みながら帰宅し、家でも将棋の研究をする。子供の頃、父に「強くなったなあ」と誉められ、大人と対局して勝ち「天才だ」と言われた事を思い出す。夜まで研究を続ける。

 英一と陸の対局が行われる。

先手の英一は1手目に「6二玉」と指す。テレビ画面を見た解説者の藤村は「こんな手見たことない」と驚く。山崎は「力むとこういう手を打つ」と解説する。陸は悩む。山崎「浅井を強くしたのは清田かも知れない。同年代で浅井に勝ったのは清田だけ」と言う。藤村「地元では天才でも、上には上がいる。努力し続けるのが本当の天才」。山崎「皆が天才になって努力して欲しい」。対局が進み、山崎「今日は清田の努力が実を結びそう。受けが見当たらない」。浅井が次の手を指す。藤村「こんな手があったのか」と感心する。英一は「負けました」と投了する。

 英一は廊下の対戦表を見る。ほとんど負けていた。

 夜遅く家に帰って来た英一は父に「将棋辞めたから」と報告する。朝、沢山の将棋の本が廃品回収に出されていた。

 2011年。陸はプロ1年目で新人王戦に優勝する。

 英一は大学に入学する。

英一が食堂で一人食事していると、女子の先輩がチラシを渡し、ゴルフのサークルに勧誘する。居酒屋でゴルフ・サークルの飲み会が行われる。女子の先輩が21歳の英一に「浪人した?」と尋ね、英一は「最初の受験」と答える。他の部員が訳を聞く。テーブルで2人の大学生が将棋をしていると、ある男がわざと将棋盤を倒す。英一はその男に文句を言って突っかかる。

 翌朝、警察署に父が英一を引き取りに来る。家で英一が寝ていると、パソコンの将棋ソフトの声で目覚める。父が将棋ソフトで遊んでいた。父が対局を始めると、パソコンは1手目に「6二玉」と指す。かつて英一が指した手だ。英一が代わって指すと「強い。何だ、この手」と、定跡にとらわれない手に感心する。貰ったサークル勧誘のチラシに「人工知能研究会」のチラシがあった。

 英一は「人工知能研究会」の部室に行くと、先輩の磯野達也が「新入部員はいらない。帰れ」と言う。英一が「将棋のプログラムをどうしても作りたい」と言うと、磯野が大量のパソコンのフンを持って来て、数日で丸暗記して来いと言う。

 陸は将棋に勝ち続けていた。

 英一は歩きながら本を読み、食堂で食べながら読み、数日で本を返す。すると磯野がさらに沢山の本を英一に渡す。また、英一が歩きながら本を暗記する。英一が本を返すと、磯野がプログラムについて質問し、英一がすぐに答える。

 英一が将棋のプログラムを作り、画面上で動くことに感動する。磯野にプログラムの名前を聞かれ、英一は「AWAKE」と名付ける。磯野は「目覚め、覚醒」の意味に感心する。英一は「人と対戦させるには?」と言うと、磯野は「大量の棋譜を読ませると言い」と教える。

 英一と磯野は、将棋研究会の部員に対戦を申し込む。部員はAWAKEに勝ち、英一は落ち込む。

 英一は「AWAKEを強くしたい」と言い、初めて将棋プログラムを見た時の定跡に囚われない自由な発想と強さを思い出す。

 2013年。英一が授業を受けていると、磯野が駆け込んできてコンピュータ将棋ソフトBonanza(ボナンザ)のソースコードが公開されたと教える。これを参考にすればAWAKEを強くできると言う。

 陸が伊藤棋士と対戦する。その中継を将棋部室で部員と英一たちが見る。陸は今までにない手を打つ。解説者は「我が道を行くと言う宣言。将棋の奥深さに進んでいく」と解説する。将棋部員も「こんな手見た事がない」と驚く。試合は陸が優勢で進むが、英一は不安に思う。陸は負ける。英一は「勝つ手はいくらでもあったのに」と悔しがる。

 2014年。電王戦トーナメントでAWAKEが優勝する。父は優勝トロフィーを飾る。父は捨てていなかった将棋盤を「もう返しても大丈夫だろう」と英一に返す。

 電王戦を企画しているドワンゴの堀亮太が英一に、AWAKEとプロ棋士を対戦させ、ニコニコ動画で生配信する企画を持って来る。英一は「生身の棋士と対戦させるためにAWAKEを作ったんじゃない。奄はただ強くなりたかっただけなんだ」と言って、返答を躊躇する。将棋連盟が選んだ対戦相手は浅井陸だった。英一は引き受ける。対戦は2か月後。

 英一は大学で、かつて奨励会の同期だった中島透に呼び止められる。中島は、今は東西新聞の記者で将棋コーナーを担当して「電王戦トーナメントは興奮した。嬉しかった。将棋しかなかったのに辞めて、何もする気がなかった。」と話す。同じ境遇だった英一も「夢中でAWAKEを強くしたくて」と答える。中島は「プロ将棋の歴史を変えてしまうかもしれない。将棋連盟も負けたら威信にかかるので、人選に苦労した。引き受けたのは、あいつらしい」と話す。英一が「俺が作り手と知ってか?」と尋ねると、中島は「さあ。でもよっぽどの理由がないと引き受けない」と答える。さらに「強い相手とやるのは、棋士の本能じゃないかな」と答える。

 陸は将棋連盟の人から、AWAKEをダウンロードして対戦するように勧められる。陸の家で姉の山内ひろみがパソコンをセットしながら、「しんいちろうが将棋を教えて欲しいと言っている。しんいちろうにとって自慢の伯父さん」と話す。陸がAWAKEと対戦し「こんなに強いのか」と驚く。

 英一が磯野の家に行くと、妹の栞と暮らしていた。

磯野はIT企業に就職し、会社で開発したスペックの高いパソコンを持っていて、棋譜をどんどん読み込ませて強くさせろと言う。

 陸は電王戦の意気込みを聞かれ、「全力で戦う。自身はまだあるとは言えない。想像以上に強いです」と答える。中島が「対戦相手のプログラムを開発したのは、奨励会の同期である事には?」と質問すると

「特に意識はしてません。僕が戦うのはあくまでも彼が作ったコンピュータ・ソフトなので」と答える。さらに「勝ちたいと思って対極に望まない時が来たら、僕は棋士を辞めないといけないと思っています」と話す。

 英一はプログラムの改良を重ねる。プログラムが完成して提出したら、その後の修正はできない規定だった。

 町で子供が「機械の計算より、人間の直感の方が絶対優れている」と話しているのを陸が聞く。陸は自宅のパソコンでAWAKEと対戦するが、何度やっても負け、焦る。

 英一はAWAKEのプログラムを完成し、ドワンゴに送信する。

 ドワンゴでは電王戦の企画として「電王AWAKEに勝てたら賞金100万円」と言う、AWAKEとアマチュアの対戦を行う。会場に英一と磯野と栞も来る。AWAKEは75連勝するが、1人がAWAKEに勝つ。驚いた英一が棋譜を見ると、相手が6八に角を打ち込む隙を作り、有効な手だと判断したAWAKEがそこに角を打つと、角を生け捕りにされたAWAKEが敗勢に陥ると言うプログラムの欠陥を見つける。英一はプログラムの修正を堀に求めるが、規則で認められなかった。

 英一は「あの局面に持ち込まれたらAWAKEは絶対に負ける」と落ち込むと、磯野は「この手は、プロは使わない」と慰める。英一は「プロの気持ちは分からない」と突っぱねる。

 英一が階段に座って落ち込んでいると、栞がやって来る。英一は栞に「コンピュータ将棋に出会って、生きる望みを見つけた。人間と勝負するとか、どっちが強いとか、そんなことのためにAWAKEを作ったんじゃない。だけど、今度のチャンスを逃がしたら、もうあいつと一生勝負できなくなると思った」と心境を語る。

 家に帰った英一は、机に将棋盤を置き、AWAKEと対戦する。英一は「強くなったな」と呟く。

 対局当日、英一は懐かしい将棋会館にやって来て、少年の陸が「君、強い?」と話しかけてきたことを思い出す。

別室の解説会場では、解説者の藤村が「これで人間が負ければ、明日から職を失うかも」と話す。会場には英一の父も来ていた。

 対局会場に英一が入り、パソコンの前に座る。デンソウのロボットアームが将棋駒を差す仕組みだ。陸も来て、席に着く。

 将棋部室では部員達が中継を見ていた。控室には中島、磯野、栞も来ていた。ひろみはスマホで対局を見る。

 対局が始まる。陸は、前にアマチュアがAWAKEに勝ったのと全く同じ手を差す。ネットでは「浅井も知っていたんだ」の書き込みが書かれる。藤村は「次にAWAKEが2八角打ちをするかが分かれ目」と解説する。AWAKEが2八に角を打つ。陸は次に1六香を指す。英一は投了する。司会は、もう試合が終了して驚く。画面には「何だ、このつまらない結末」などの書き込みが起きる。 山崎に中島が「これで良かったのでしょうか?」と質問する。山崎は「二人とも立派だった。勝利に徹した浅川も、再び競った清田も。いい将棋を指した。いつか自由な場で戦わせたい。将棋は楽しい物だから」と語る。

 英一は廊下で陸とすれ違う。陸は「強かった」と呟く。

 2017年。IT企業に就職した英一が、空港のトイレの洗面台に置かれた新聞に、陸が王将戦2連勝している記事を見てほほ笑む。

ロビーで少年が、相手が席を外した将棋盤を見ながら悩んでいた。英一が話しかけると少年は「お兄ちゃん、強いんだ」と言う。英一が「まだやれる」と言うと、少年は英一の顔色を伺いながら「あっそうか」と指す。

 戻って来た対戦相手は陸で、少年は甥だった。甥は「まだ良い手があると言っただけで、自分でやった」と答える。少年は椅子に英一を座らせ、顔色を伺いながら将棋を指す。

 字幕「2016年。電王戦でponanzaがプロ棋士に2勝する。217年の電王戦もponanzaがプロ棋士に2勝する。電王戦の意義が達成されたとして、その後は行われなくなった」

(エンドクレジット)