犬が見せたのは死ぬ夢でした
公園のベンチに座って酔いの回った頭をぼんやりさせて煙草を吸っていると、犬がトボトボと歩いてきた。その哀愁が可愛くて俺は頭をかいてやろうとその小さな額に指が触れた。すると俺は夢を見た。
夢?
すりすりと紫の雪が降っていて俺は裸で隣で赤い鬼が立っていて、いや、気付くと地面なんかなくて紫の空間に俺はいて鬼は生首で生首の顔は死んだアイツだった。
「俺は天国、お前は地獄だ。もう会えねえからこうして顔だけ見せに来た。お前、もう長くねえぞ」
紫のベッドに横たわる俺を天井から見下ろして呟いた。
「天国も地獄も嘘っぱちよ。俺が夢を見にゃあアイツは出てこん」
おい待てこれは夢か?紫の海、犬の目が紫でこっちを見ている。紫は俺以外を紫にしているからもう何が何か分からない。やがて鬼がまた来て俺の頭を掴んだ。
「これが夢じゃと?寝惚けよるのう。お前、どっちでもいいじゃろうが。死ぬモンじゃに」
「やめてくれ」
鬼の生温い手に万力のような力が与えられて俺の頭がグシャグシャに飛び散った。
夢か?
公園のベンチにいる俺は気付くとそこに丸一日いて、紫の夢にいた俺は死んだ。犬に触ったのはどっちの俺だ?犬は?もうどこにもいない。
雪が降りました。こんなに寒いのは反則?でもテレビ見てたらよそはもっと尋常じゃない事態みたいだ。