復讐のボサノバ | ブログ(488)

復讐のボサノバ

死が二人を分かち、どうしようもない闇が深く垂れ込んで、俺はもう何も考えられなくなった。かつて考えていたことは妻からどうやってうまく隠れて愛人に会うかだった。それも今はもう固く石化して闇に沈んでしまった。

それと同時に俺は全く食事を取らなくなった。水も飲まない。便も尿も止まった。汗もあまりかかなくなった。俺はまったく渇いてしまった。手紙が、俺に届くまでは。

《元気ですか?私は元気です。私は貴方の奥さんを殺した者ですが、私は貴方が私のことを知っているとばかり思っていた。私は〇〇〇にいます。貴方が持ってない私だけの奥さんの写真同封します。貴方の奥さんは知的で足の指がかわいい人だった。》

どこの誰が元気だって?誰の足の指の話をしてるんだ?なんでこんな写真を見せるんだ!!

本当だろうが嘘だろうがなんだろうが会ってぶっ殺してやる。気付くと俺は自分の爪をバリバリかじっていた。とりあえずメシだ。

この後、色んな変人に会いながらついに目的地にたどり着き、犯人を撲殺する。

誰かの死が違う誰かの死でもってしか償われないのだとしたらそんな不毛な世界ってない。戦争とダブって見えてきたけど当たり前の発想過ぎて面白くないということに気付いた。戦争はね…想像できないから否定もできないよ。悲惨な世界だなあとは思うけど。