曲が終わりマイクの声が響き渡る。ふいに路地からサビ猫が現れた。ロシアンのような小さな頭にスリムな身体。スリムと言うより細い、心配になるくらいに。全体にグレーが入っているようで、サビが淡く優しい色合いになっている。フェンス近くにひっそりと佇み、表彰台メンバーと静かに対話。何度かまばたきをした。敵意はないのか。だが、四女が姿勢を低くすると、来た時と同じように、そっと消えてしまった。
そこへ物置の陰からキジシロ登場。表彰台が崩れ、四女が唸り出す。どうも脱走した時に出くわして一悶着あったらしい。いつからかキジシロ氏は四女の天敵になった。四女が戦闘態勢に入ると、四女擁護の長男も吠え出した。フェンスを挟んで威嚇合戦の三匹から離れ、平和主義者の三女は観客席の私にぴたりと寄り添う。互いに負けじと張り上げる声が煩くなってきたので止めようとした時、長男がキジシロに飛びかかった、が、彼はフェンスの向こう、フェンス手前にいた四女が飛びかかられて、びっくり猛ダッシュで窓のゴールに一直線。その後もアオアオ吼えたてる男ふたりに、止め!と号令を掛けると、今日はこれくらいにしといてやる、とばかりにゆっくりと背を向けキジシロが去ってゆく。
運動会は片付けも終わったようだ。役員の方各自解散してくださいと、マイクの声が告げていた。