紅梅の花の色から付けられた色名です。
万葉の時代に、花見といえば観梅でした。
紅梅色は平安時代から用いられた代表的な日本の伝統色の一つで、染色のみならず重ねの色目としても愛好されたようです。
当時の美意識で最高に美しい色として登場し、桜と並んで梅に対する日本人の特別な思いが想像できます。
無彩色の季節が終わり、古木から春の訪れを知らせる柔らかな紅梅色は、春を心待ちにしている多くの人々の思いに答えるかのように生命力に溢れ、新しい季節の始まりを予感させます。
染色の紅梅色は、平安時代は紅花で染められ、紅染めの濃さによって濃紅梅(コキコウバイ)、中紅梅(ナカコウバイ)、淡紅梅(ウスコウバイ)と色名が変わりました。
その他、ごく淡いピンクがかった白梅色も存在します。
江戸時代になって蘇芳で染められるようになり、広く普及しました。
色は明度や彩度によって、それぞれ印象が大きく異なりますが、暗い色には落ち着きや重厚感があり、明るい色には解放感や軽やかさがあります。
また、前者の色には黒に繋がる内面志向の傾向があり、後者には白に繋がる未来志向の傾向があります。
明度が高い紅梅色のようなピンク色は、幸福感や解放的な気分と繋がり易く、未来志向の色彩です。
色彩心理的に紅梅色のようなピンク色には、『幸福』『自己肯定』『感謝』『解放』『懐かしさ』『健康』『至福』等のプラス面と『受動的』『曖昧』『依存』等のマイナス面があります。
紅梅色の好きな人は、愛情が細やかで気配り上手ですが、本音が言えず傷つきやすいところがあるようです。
紅梅色の類似色には、桃色や珊瑚色等があります。
紅梅色が美しい絵画・工芸作品を探してみました。
奥村土牛『薄紅梅』
平松礼二『梅之季』
並河靖之『梅鶯模様七宝小花瓶』
小倉遊亀『壺に紅梅』
呉冠中『紅梅』
安田靱彦『紅梅』
福田平八郎『梅と竹』
小原古邨『雪の梅に雀』
河原崎奨堂『紅梅』
小茂田青樹『春の夜』
小茂田青樹の描いた『春の夜』を美術館で観覧した時、思わず微笑んでしまいました。
獲物を襲った一匹の猫が、しのび足で歩いている姿を、木の上のみみずくがパッチリと眼を見開き見つめている姿が愛らしいですね。
1931年のベルリン日本画展に出品されたこの作品は、何度も見たくなるようなユーモアに溢れています。
春の喜びに満ちたモチーフと美しい色彩。
作品から甘酸っぱい春の香りが漂ってきそうです。
紅梅色が美しい作品を探してみると多くの画家や工芸家が、梅をテーマに制作してる事に気づきます。
特に尾形光琳や酒井抱一など琳派の絵師は、紅梅と白梅を並列に描き、赤〜ピンク〜白までの色彩のバリエーションが豊かです。
梅は紅白が揃ってこそ、初春の華やかさを表現出来たのでしょう。
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〜こんな時は紅梅色(ピンク)を活用しましょう〜
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色を楽しむ素敵なあなたへ...
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