モーヴはやや灰色がかった紫色で、合成染料の先駆けとなった歴史的な色です

モーヴについて色彩辞典に記載されている内容を要約してみました

『1856年、イギリス王立カレッジの化学生だった18歳のパーキンが、マラリアの特効薬であるキニーネをコールタールから合成しようとして、実験中に偶然にできた赤褐色の沈殿物を見て閃き、原料をアニリンに代えてできた沈澱物に水を加えて沸騰させ、紫色の溶液を抽出しました。
その溶液でシルクを染めると、美しい紫色に染まり、洗っても色落ちしない事が確認され、人類初の化学染料が生まれました。
パーキンは、この合成染料にフランス語で葵を意味するモーヴェインと名付けました。』


パーキンの閃きのおかげで、紫色の合成染料モーヴが誕生し、今日多くの色彩を楽しめるきっかけとなった事や、最も手に入りにくい紫色が、化学染料のスタート色となった事が興味深いですね






色彩心理的にモーヴのような紫色には、『神秘的』『優雅』『高貴』『崇高』『癒し』等のプラス面と『不安定』『二面性』『複雑』『欲求不満』等のマイナス面を持っています


気持ちがイライラしている時は紫色の何かを身の回りにあしらってください
怒りが鎮まり穏やかになります





モーヴの好きな人は、神秘的で思慮深く、直感力と高い感性を持つ人が多いようです


紫色の絵画はとても少なく、私がこれまでに鑑賞した中で、印象深いモーヴ作品があります



シニェイ・メルシェ・パール
“紫のドレスを着た婦人”1874年

このドレスはまさに合成染料モーヴで染められたのでしょうね✨
ハンガリーで最も魅力的な名画として愛されている絵画は、明るく気品に満ちていました



昨年、テート・ブリテンで鑑賞した絵画です
画家名、タイトル不明ですが、額装の右下にElizabeth Barrett Browningと記載されています

ブラウニング夫妻を描いているのでしょうか?
妻が紫色のドレスを着て、横たわる夫の手をとり疲れを癒しているようです
紫色は癒し系の色なので妻がとても献身的に見えます^^



ここからは、今後鑑賞してみたいモーヴ作品をご紹介します



アーサー・ヒューズ
“エイプリル ラブ”1856年頃

アーサー・ヒューズの代表作は、ロンドンのテート・ブリテンに収蔵されています


美しいモーヴ色のドレスを纏った女性が知的で上品ですね^^
散り行く花に視線が在るのは、はかない恋を暗示しているように見えます



アーサー・ヒューズ  “長い婚約期間”1859年頃
 (バーミンガム美術館)


女性が肩に掛けている羽織ものがビロードのように輝いて高級感があります
モーヴは高貴な女性のイメージそのものですね

それにしても、長い婚約期間とはいったいどのくらいの期間なのでしょうか…5~6年?…気になります👀



アーサー・ヒューズ
“麗しのロザムンド”1854年頃

こちらの作品、女性のファッションがカジュアルで、お庭でくつろいでいたのでしょう
頬の赤みが薔薇色なのは待ち人が現れたから?
とても華やいで見えます^^



笠松紫浪  “夜雨不忍池” 1938年
(山梨県立美術館)

紫色の雨が美しく情緒がありますね


モーヴと何色を組み合わせるかによって、絵画の印象は大きく変わってしまうようですが、紫と緑の相性がいいのは、寒色でも暖色でも無い中性色同志の組み合わせだからでしょうか…


モーヴの絵画には気品と妖艶な雰囲気がありますね💜



その他モーヴ色の生きものを探してみました^^


ジャワ島の渓谷の川に生息している蟹
顔がしかめっ面に見えます✨



シンデレラウミウシ
ほどよい分量の黄色との配色が美しいですね



カリフォルニアに生息しているタコ


こんなに美しい水中の生きものたちに、水族館で遭遇できたら幸せです✨
それにしてもモーヴ色の生きものは神秘的です^^


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~モーヴ(紫)色の思い出~

私が25歳から34歳まで在籍していた会社は、バブル時代という事もあり、寝る間も惜しんで仕事をする人で溢れていました

そこにはたくさんの思い出があり、私自身の基を作ってくれた場でもありました
休みを返上して仕事に行った事も一度や二度ではありません

30代になり、婦人服の店舗責任者として、後輩を育成するという気概もあり、熱い想いを持って指導していたつもりでしたが、私の意に反して、スタッフが一人減り、二人減りと退職する人が増えると、ますます休日を返上するようになりました

ある日、たった三人になってしまったスタッフの二人が、「ここでは店長に気に入られないとやっていけないから…うまくやるように…」と話している内容を耳にしてしまい、愕然となりました😫

…すべての根源は私が蒔いた種だったのか…😱

そこにようやく気づいた自分自身が恥ずかしくて、穴があったら入りたい気持ちになった事を覚えています

しかも家庭では、夫との関係が微妙になっていました
小さなすれ違いが、いつの間にか大きな溝になっていたのです
(話し合いを重ねた結果、離婚しました)

自分の思いが空回りして居たたまれなくなり、退職する事を告げ、同僚が用意してくれた送別会に望むと、職場の先輩や後輩など20数名の人が参加してくれました

3年前に入社し、地方店の店長になっていたYさんも駆けつけてくれました

「お世話になりました!僕は婦人服の販売に向かない不器用な人間でしたが、これまで色々とご指導していただき、今はなんとかやってます!ありがとうございました…
退職すると伺いぜひお礼を言いたくてやって来ました…」

そう話した後に紫色のバラの花束が…💐

花束に込められたYさんの言葉を聴くうちに、心が軽くなり、柔らかな紫色に癒され、気持ちの整理に繋がって行きました✨


送別会では他にも花束をいただきましたが、紫色の花束しか思い出せないのは、あの時の私に最も寄り添ってくれた色だったからでしょう…





色を楽しむ素敵なあなたへ…

最後までお読みいただきありがとうございます💕