ボルドーは、赤紫を暗くした色ですが、色彩辞典によると、ボルドー産の赤ワインのような暗い赤紫色となっています

ボルドーに似た色には、ワイン・レッドや臙脂色等があります


ボルドーの色をイメージする言葉には、芳醇、熟成、シック、成熟、個性的、思慮深い、不完全燃焼、葛藤、秘めた情熱などがあります



色彩心理的にボルドーは、ピンク色の反対の意味を持ち、マイナス面ではストレスや葛藤を表し、プラス面では熟成や蓄積などを表しています


ボルドーが印象的な絵画で思い出すのは、エドヴァルド・ムンク(1863~1944)の“接吻”です


ムンク筆  “接吻”


ムンクは、ノルウェーで軍医の父とそれを支える母の長男として生まれますが、5歳の時に母を、14歳の時に姉を、共に結核で亡くします


幼い時の母の死と思春期の姉の死が、ムンクの人格形成に大きな影響を与え、ムンクの芸術に生涯に渡って繰り返し現れる『死』のテーマと深く関わっています


45歳前後の頃、心の病を治すため自ら治療を受けます

病気を克服した後は、明るく鮮やかな色彩の作品が多くなり、80年に渡る画業は『死』から『生』へと大きく変貌を遂げます


接吻は1897年の制作で、ムンク34歳の作品です


接吻している二人が溶け合って一つになっていて、男女の描写は抽象的に描かれています


10月に東京都美術館のムンク展でこの“接吻”を見て、二人がくっついて溶け合っている姿と、暗いボルドーカラーに息苦しさを感じ『葛藤』という言葉が浮かびました


ムンクは、恋愛に関して色々な体験をしていたようで、男女間の悲惨な死を描いた作品もあり、最終的にハッピーエンドにならないムンクの恋愛体験から、『葛藤』という言葉に繋がったように思います


その後、病気の治療中に描いた作品にも、ボルドーが印象的な絵画があります


ムンク筆  “並木道の新雪”

“並木道の新雪”は、1906年(ムンク43歳)の作品です


“接吻”に比べ、明るさ、鮮やかさが増し、木々のボルドーカラーに明るさがあります


赤と青の帽子の色がアクセントになり、白い雪が際立って、ボルドーが優しい印象です


“並木道の新雪”を見ると、ムンク自身の心の不安がなくなりつつあることを予感させますね^^







~パーティーシーズンにはボルドーカラーを…~


赤紫を暗くしたボルドーは、渋み、落着き、温かい、思慮深いなどのイメージがあります


秋冬の洋服に好まれる色でもあり、グレーやネイビーとの相性が良く、特にクリスマスシーズンは華やかな印象です


男性なら眼鏡のフレームやポケットチーフ、女性ならルージュや靴など、ほんの少量を取り入れるとさりげない感じでお薦めですよ^^