クリーム色は、色彩辞典によると1590年頃から使われている、淡い(白っぽい)黄色となっています


黄色に白が混ざった、柔らかなクリーム色は明るくて優しい印象があり、子供の大多数が好きな色です


クリーム色をイメージする言葉には、明るい、元気、温かい、甘えたい、希望、親しみやすい、解放的、お菓子などがあります



黄色は、外交的で積極的な色として人の目を引き付ける誘目度が高い色ですが、クリーム色は原色の黄色に比べ解放感や優しさがあります


色彩心理学の学校で学んでいた時、老人ホームでの研修で感じたことは、年配の人は明度の高い色彩を好む傾向があるという事です

年齢を重ねると瞳孔が小さくなり、網膜に届く光が減ったり、水晶体が黄色くなり青や緑の色を暗く感じるそうです


折り紙やぬり絵で、ピンク色、水色、クリーム色など、明るい色を選んでいた人が多く、クリーム色は老若男女の大多数に好まれる色と言えます






クリーム色が印象的な絵画と言えば、アシール・ロージェ(1861~1944)の“花咲く木、春の庭”が浮かびます



アシール・ロージェ筆 “花咲く木、春の庭”



この作品を見たのは、新宿の美術館でした

確かフランスの風景や樹がテーマの美術展で、この作品“花咲く木、春の庭”の前に立った時、あれ(?_?)ゴッホかしら?…でも違う…アシール・ロージェ?とその時初めて知った画家でした


ウィキペディアで調べても詳しく掲載されていませんでした


この“花咲く…”はクリーム色が画面構成の3分の2を占めていて、明るく伸びやかな印象です


背景の家の壁と道に咲いた花、手前の木の花がすべてクリーム色で描かれていてキラキラと光輝いています


補色の青空が明るくクリーム色を引立て、黄緑の草の色との調和が美しく、春の庭らしいウキウキ感が伝わってきますね



2つ目のクリーム色が印象的な作品は、アンリ・マティス(1869~1954)の“アトリエ”です


アンリ・マティス筆  “アトリエ”


マティスは、フランス生まれで、当初は絵画と無縁の法律を学び、法律事務所で働いていました

21歳の時に盲腸炎をこじらせ療養している間に絵を描き始めます


マティスは、目に映る色をそのまま描くのではなく彼自身の内側にある色彩で表現したことから、フォーヴィズム(野獣派)と呼ばれていました


この、“アトリエ”はマティスの作品の中でも明度が高く柔らかな印象があります

南仏の海辺でしょうか?
窓のむこうにエメラルドグリーンの海と青空が見え、明るい日差しが感じられます
こんなアトリエなら素敵な作品が描けそうです(^.^)






~クリーム色の思い出~


子供の頃から、お下がり人生で何を着ていたかあまり思い出せないのですが、5歳ぐらいの時に姉たちとお揃いのカーディガンを着た記憶があります


それは、叔母の結婚式に参列するために、新調されたクリーム色のカーディガンでした


母は黄色が好きだった事もあり、およばれの服として私たち三人姉妹に同じ色のカーディガンを買い揃えたのでした


レースの襟の付いた白いブラウスと組み合わせた新品の服は、後にも先にも、その一度限りだったと記憶しています(笑)


子供の時に嬉しかった記憶の色は私自身の好きな色へと繋がっています

今もクリーム色を見ると、あの時の気持ちが甦りワクワクしてしまいます(^.^)