葛飾北斎筆  “駿州江尻”


江戸時代、庶民が着用できる三系統の色で最も親しまれた色は青でした


庶民の色彩に対する強い欲求から、様々な青系の色が誕生しました



青専門の染物屋を紺屋と呼び、老若男女の大多数の人が日常着の色として青を着用していました



瓶覗(かめのぞき)


瓶覗は藍染の初期の段階で染められた色で、瓶をちょっと覗いた程度に染めたという意味のユーモラスな呼び名で、“覗き色”とも言われています




水浅葱(みずあさぎ)

水浅葱は、瓶覗の次に明るい浅葱色




縹(はなだ)

縹は、藍染めの中段階の色
後世になると花田の字が当てられたようです





藍(あい)


藍は最も古くから用いられた染料の一つです

日本に古くから自生する山藍に代わり、中国から伝わった成分の良い蓼藍が全国的に広まったようです

明治初期、日本に招かれた英国人化学者アトキンソンは、日本人の暮らしに藍染が深く根づいている事に驚き、藍色を“ジャパンブルー”と呼びました



新橋(しんばし)


新橋は、いわゆるターコイズブルーと同じ色です
明治中期に合成染料が導入され、新橋の芸者に好まれた色として、明治末期から大正にかけて大流行しました




群青(ぐんじょう)


群青は、日本画には欠かせない色で、天然の群青で最上級の物はラピスラズリから作られ、極めて希少な鉱石で原石の2%くらいしか使えなかったようです




色彩心理的に青~藍~群青は、内省的で自己を冷静に客観視する色と言われています
(色のはなし青と紺で詳しく紹介しています)


青系は、日本人の精神性と深く繋り、時代を越えて好まれています



江戸時代の絵師、歌川広重が描いた東海道五十三次は庶民の旅行への憧れが一気に高まった人気の浮世絵でした


その広重が制作した『名所江戸百景』は、江戸庶民の暮らしを生き生きと描いた人気シリーズです


広重筆  “神田紺屋町”


現在でもその風情ある町名が残るこの紺屋町は、江戸時代、幕府のお抱え職人が住み、この一帯で軍旗や戦装束用の生地に藍染を行っていたようです




広重筆  “霞がせき”


凧揚げ楽しそう!お正月でしょうか?
青系の着物を着た人々が多いですね




広重筆  “日本橋通一丁目略図”


日本橋白木屋の暖簾の藍色と、手前の人の着物の藍色に、笠の補色の黄色と、アクセントカラーの赤が、繰り返しのリズムで活気が感じられます😊



~こんな時は青を活用してみましょう~


なかなか眠りにつけない日が続いた時は、青い寝具に変えてみましょう


不安な時や神経過敏な状態の時に、青は精神安定剤と同じ働きをします


青い敷布や毛布、枕カバー等、気持ちが落ち着いて眠りにつきやすくなりますよ😊





広重筆  “両国花火”