FM230ex_S1 雨の植物園◇名古屋市 東山植物園 2025/12/14
冬の雨。植物園を散策するひとたちがいた。ひとかげのたえるときもある。
名古屋市東山植物園*は、囲いのなかにモノレールの停車場はあるが売店がない。結婚披露宴のできるレストランはあるが、ランチ予約満席だそうで、ひもじかった。動物園のほうにゆけば食糧にありつけるかもしれなかったが、遠まわりして車道をまたぐ橋をわたる元気がない。『伊藤圭介日記』翻刻と研究の新刊完成記念会がおわるまで、しんぼうすればよい。
それより午後1時に会がはじまるまでに、まだ2時間以上ある。
温室のたてもの。とおりすぎて向うのしげみにゆく。正面にみえる白い箱がレストランだ、あきらめがわるいな。
「薬草の道」がとばくちに待っていた。あほにつける薬があるか? (*1)
ヒイラギナンテン (柊南天) メギ科 「十大功勞」
ムレスズメ (群雀) マメ科
シナレンギョウ (連翹) モクセイ科
トチュウ (杜仲) トチュウ科
ハナカイドウ (花海棠) バラ科 「垂絲海棠」
どの草木も葉がおちて、名札がどれをさしているのか、さだかでない。葉がしげったら、もっとわからんかも。
さすがチャイナの森だ、竹むらがあるぞ。中国産植物園林のほうにきたらしい。
オオカナメモチ (大要黐) バラ科
ボタンクサギ (牡丹臭木) シソ科 (旧 クマツヅラ科)
ハンカチノキ (ハンカチの木) ヌマミズキ科
グランサムツバキ (グランサム椿) ツバキ科
ムーシューチュー (木綉球) レンプクソウ科 チャイニーズの音よみだったのか・・・
アイグロマツ 2011年東日本大震災の津波をうけて生きのびた松の後継樹(クローン)。左のたてものが植物会館で、本日の会場になる。
植物はもともとクローンだとすれば、死なない生物ということになるだろう。植物が生物学(biology)の対象になったのは、そう遠いむかしのはなしではない。漢字の文化では木石という語が象徴している。
温室にもどってきた。まだ時間がある。
国の重要文化財(建造物)である(2006年指定)。名称は「名古屋市東山植物園温室前館」、その指定理由は、つぎの通り。
「我が国最初期の本格的な鉄骨造温室建築として重要であり、鉄とガラスによる建築物の造形的特質を良く示しており貴重である。また、我が国最初期の全熔接建築物として建築技術史上価値が高い。」(*2)
1936年(昭和十一年)竣工。名古屋市土木部建築課の設計、株式会社北川組の施工。1932年(昭和七年)に植物園新設のため東邦瓦斯株式会社から寄附をうけた。1937年(昭和十二年)植物園が開園。
いくさによる名古屋空襲の被害(1945年)、伊勢湾台風による災害(1959年)をくぐり存続。2013年(平成二十五年)から2021年(令和三年)におよぶ保存修理をへて、鉄骨の補修、耐震補強をするとともに開園当初のすがたに可能なかぎり復原した。この保存修理事業にあたり東邦瓦斯株式会社から寄附をうけた。

温室の内部。カヤツリグサがいかにも温室らしい雰囲気をかもす。
(レモンティーツリー) Leptospermum petersonii F.M.Bailey フトモモ科
肉感的な印象はありません。あ、それは太股でした。太桃でもないようです。中国名「蒲桃」(現代漢語 pu2 tao2) プータオからきたらしい、フトモモは。
(モミジバセイヨウニワトコ) Sambucus nigra [var. laciniata] ガマズミ科(展示パネルの記述)
在来種ニワトコはガマズミ科、外来のセイヨウニワトコはレンプクソウ科(旧 スイカズラ科)に分類されるようですが・・・
キトルス sp Citrus sp. ミカン科
ラテン語よみですね。英語のシトラスのほうになじみがあるでしょう。
コショウ Piper nigrum L. コショウ科
胡椒なんて、およそ生きてるところに出あわない。
そろそろ出版記念会の時間です。
(出版記念会 ⇒ FM230ex_S2「伊藤圭介日記の翻刻と研究」2025/12/14)
薬草では腹の足しにならないよ。「宿根草園の薬草」をあつめた場所。手まえ右の標識はワレモコウ。
かえりみち、星が丘門にむかう。三越百貨店のある北側で、門のそとにある駐車場にとめたのだ。前払い800円/日。
ヤブランとツワブキ。
シュウメイギク(手まえの白い標識)にアマドコロ(奥の黒い標識)。うつぶせに倒れた札もある。
アマドコロの根を干して煎じた韓国の「トゥングルレ茶」が好きです。しかし、実体がみえないね。
ぜんぶ旨そうにみえてしまう。
日がかたむいてきた、星が丘門への近道。
午後3時すぎに会合がおわり、車で名古屋市を春日井方面に脱出してから、限りなく夕食にちかい昼食をとりました。
(大井 剛)
(*1) 「中国の薬草(漢方等)」の地図に番号をふって、下にかかげた「薬用植物名」と対照するしくみ。
<薬用植物名>
1 ウメ 2 キササゲ 3 サンシュユ 4 シナマンサク
5 レンギョウ 6 トチュウ 7 テンダイウヤク 8 エンジュ
9 クチナシ 10 シモクレン 11 シナマオウ
12 ホソバオケラ 13 アミガサユリ 14 イチハツ
15 シソ 16 ビャクブ 17 ホザキイカリソウ
18 ボタン 19 シャクヤク
(*2) 国指定文化財等データベース*「名古屋市東山植物園温室前館」。
温室後館は現在たてかえのため閉鎖中。
(更新記録: 2025年12月14日起稿、12月18日公開、12月20日修訂)



























