FM234_番外地 ロシア語を書いて憶える◇外語学習の鉄則 2026/02/24

 

12月19日(金)東京都文京区にある東洋文庫の閲覧室で、シーボルト『日本』のロシア語版をひらく。三巻を洋装1冊に合本してある。縦19cm。翻訳であって翻訳でない。地図はあらかたうしなわれた。日本人とおぼしい旧蔵者の朱印と署名がある。

 

東洋文庫ミュージアムを改装するというので、ほぼ一年のあいだ休館していた。玄関が工事現場への通路になっている。「文庫」収蔵資料の閲覧は可能であるが、日時・資料を予約し、許可をとって職員通用口から入館する。

 

1月26日(月)東洋文庫ミュージアムが1月21日に「リニューアル・オープン」し、記念展示会がはじまった。(2月1日現在、まだ観ていない。)

 

1923年に財団として創立された東洋文庫は、百周年をむかえた。記念事業の一環として『東洋文庫百年史』が2025年に(つまり昨年)出版された。

斯波義信東洋文庫長(当時)に請われて『東洋文庫百年史』に寄稿し、「ユネスコ東アジア文化研究センター 東洋文庫とのシュールな関係」が掲載された。原稿が尊重され、体裁の統一を目的とした細部の調整をのぞいて、こまかい文字のつかいかたまで元のままである。

ところが、登場する人名に手を加えた形跡がみつかり、東洋文庫ウェブサイトに公開された『東洋文庫百年史』の本文を復元するよう編輯者に要求した。出版物(紙版)に「ジョン・ウィズナム」とあるのは(これはとりかえしがつかない)、正しくは「ジャン・ウィズナム」さんである。印刷原稿を電子データで渡し、再校で校了としたとき(すなわち校正は一回)確認したにかかわらず、文字が化けているのは、印刷所のオペレーターが「独自の判断で」変更をほどこしたとしか考えられない、という見解で編輯者と意見が一致した。(AI のしわざだとしたら、二重におそろしい。) こういうことが起こるから、ゆだんは禁物である。

善意の行動がいかに邪悪であるかという一例、これを余計なお世話という。

 

シーボルト『日本』ロシア語版をみる。よむ、でないのは、よんでないから。

よみたいところの文字をひと文字づつ、ひたすらノートに写してゆく。

《NIPPON》ドイツ語版(第2版)はミュージアムに展示されていて、閲覧できない。

 

1月27日(火)NHKラジオ R2「まいにちロシア語」アネクドート(こばなし)にもどった。9月1日から学校にかよいはじめた子ども、2日の朝せかされて、きのう行ったじゃん。

名詞は活動体と不活動体に分類され、変化がことなる。活動体は人や動物をあらわす名詞、不活動体は物や植物や事がら。ナポレオンという名詞は、人名のとき活動体で、お菓子の名は不活動体。パコイヌイ「死者、故人」は活動体。死んだはずだよ、ナポレオン。ナポレオンさんは生きていても死んでからも活動体なのであった。

 

1月29日(木)外語学習は、書いて憶えるのが基本である。

『古代文字を解読していたら、研究に取り憑かれた話』の著者のひとり、大山祐亮さんも同じことを言っている。専攻はインド・ヨーロッパ語族の比較言語学。未知の言語文字の解読を専門とする自称「変人」であるから、意見に偏向があるかというと、そんなことはないぞ。

このかたが「共通スラヴ語-印欧祖語からスラヴ語派に至るまでの音韻・形態法の通時的変化の研究」によって第13回東京大学南原繁記念出版賞(東京大学出版会)を受けたとき 先ゆき身のふりかたを、他人事(ひとごと)ながら心配したものである。中国の福州外語外貿学院外国語学部准教授。夫人も同学院准教授でサンスクリット語専攻、その研究者情報は本人の画像にタレントのプロモーション・サイトをホーフツする。

前掲書、大城道則[b.1968]/青木真兵[b.1983]/大山祐亮[b.1994]著、ポプラ社、2025年11月刊。

(研究者情報 researchmap には拙者も昔の名前で出ています。)

 

ノートに写しとったロシア文字を、PC上でワード文書に入力する。字母をならべておき、1字づつコピー・ペーストする。顔見知りの単語にあうと、まとめて切りばりする。山の神はしごとのうえでキリル文字キイボードの配列をおぼえたという。たいしたもんじゃ。おれにはできん。あたまのきりかえに試行錯誤するより、手で切ったはったのほうが速い。気分は写経。

ロシア語を書けばロシア文字であるが、文字じたいとしてはキリル文字というほうが正確である。ローマ字が英語を書いてもローマ字であるようなもの。英字新聞なんて言いかたがあった。

 

2月1日(日)佐藤純一著『NHK ロシア語入門』第二版が横浜の書庫からでてきた。日本放送出版協会、1979年刊、3刷(1981年)である。

例文に時代を感じる。たとえば、

名詞「彼はレニングラードのおばあさんのところへ(乗って)行きます。」p.76

数詞「ソビエト連邦では学年は9月1日にはじまる。」p.116

関係代名詞「自分の妻がこわくない者は黄色の旗の下に立たねばならぬ。」p.172

受身の表現「スペインの町ゲルニカはファシストたちに破壊された。」p.216

そういえば、辞書もソヴィエト連邦崩壊より以前のものしか書庫にない。

 

2月2日(月)NHK の語学テキスト、書店に2月号がならんでいるが、なぜかロシア語だけ店頭にない。なん軒まわっても、売ってない。

2月4日(水)みつかりました、NHK テキスト。本駒込の文京グリーンコート内、文教堂書店で。

 

ついでに加藤陽子著、モリナガ・ヨウ[絵]『となりの史学 戦前の日本と世界』を買ってしまった。毎日新聞出版、2025年5月刊。教科でいえば「日本史」と「世界史」の架橋。日ロ関係史に多く紙幅をさくが(pp.140-208)、両者の遭遇については先行研究(藤田覚)にあずけて、言及がない。

 

2月11日(水)NHK ラジオ講座は一週間おくれで追いかけている。聴き逃し配信「らじる★らじる」の期限だ。一週まえは「なぞなぞ」だった。

--「明日」だったけど「昨日」になるものなあに?

マリアさんのこたえ「締切」は秀逸、かつ前田先生、身につまされる。正解は「今日」でした。

 

2月12日(木)聴き逃し配信「らじる★らじる」は「別ウィンドウで再生」する方法がある。このウィンドウを維持すると、「配信終了」の日時をすぎても再生が可能であることを発見した。過去にこころみたとき再生が不安定で途中で切れたりしたが、いまはしっかりしている。いつまでもつか、すくなくとも一日くらいはもつ。ただしウィンドウはひとつだけ、つぎのウィンドウをひらくと上書きされてしまう。

 

2月19日(木)ラジオ講座は15分番組である。子どものころは20分だった。ロシア語講座は入門編応用篇ともに、なかみがつまっていて番組内のくりかえしがすくない(もしくは、ない)。聴き逃し配信を反復するほか、しようがないのであります。

放送時間も3月末から深夜のFM放送に移行するそうだ。はじめから本放送をきかせる気がないのだな。

 

2月24日(火)どういうわけかロシア語タイプライターを所持している。リボンが手に入らないので使用不可。産業考古学的遺物と化している。見出し写真 参照。

 

(大井 剛)

 

(更新記録: 2026年1月24日起稿、2月8日とりあえず公開、以下順次追記、2月24日編修・公開)