(2) ドイツでは、冬でも、マラリアに感染?(1884年~1888年)
第18章 マラリア蚊媒介説に対する反論、及び、これらに対する再反論
(2) ハマダラカが生息しているのに、マラリアが流行しない地方がある。例えば、北ドイツの各地などである。それならば、ハマダラカの生息は、必ずしも、マラリア発生の源でないのではないかという反論
【再反論】 その通りである。
ハマダラカの生息は、必ずしも、マラリア発生の源となるものではない。
しかしながら、だからといって、マラリアが蚊によって媒介されるという説の反証とみなすことはできない。
なぜならば、ハマダラカは、マラリア原虫をどこかから、受領し、かつ、外界気候の関係で、自己の体内でその発育を許さなければ、ヒトにマラリア原虫を伝播する能力をそなえないからである。
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↑『我邦ニ於ケル麻刺里亜蚊伝搬ノ証明』(都築甚之助,大町文興著。東京:都築甚之助,明34.10)(国立国会図書館のサイトの近代デジタルライブラリーで無料で閲覧できる)p 45-48を私が現代語訳したもの。
ドイツの話はかなり後の方に出てくるが、この章全体を、訳さないと意味をなさないので、そうした。
ちなみに、現在では、マラリアはハマダラカにより、媒介されることがわかっている。
もちろん、血小板輸血・医療従事者の針刺し事故などによって感染することもあるが、圧倒的多数のマラリアはハマダラカにより媒介される。
なお、明治34年(1901年)頃、北ドイツ低地(特に、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン、ハノーバー、オルデンブルク、ウェストファーレン、ライン低地で流行が著名である)では、マラリアが流行していた。
だから、北ドイツ低地の全てが、Anophelism without malaria(マラリアのないハマダラカ発生)の状態だったわけではない。
そのことは
『【本文】温暖化が進んだのに、ドイツ南西方でマラリア消滅』
http://ameblo.jp/475229/entry-10127226172.html
に記載した。
Anophelism without malaria(マラリアのないハマダラカ発生)については下記参照。
かつて(19‐20世紀にかけて)は,北極圏近くまで分布していた世界のマラリアは,今ではそのほとんどが亜熱帯,熱帯地域に限局されている。
北欧スウェーデンでは,1880年頃まで毎年4,000‐8,000人のマラリア患者が出ていたし,オランダでも多かったという。
西ヨーロッパでは,1975年ギリシャ領マケドニアでの撲滅宣言をもって,マラリアの流行は終結したのである。
しかしベクターであるハマダラカは,日本でも西欧でも,昔も今もほとんど変わることなく分布しており,高緯度地方では「Anophelism without malaria」の様相を呈している。 |
↑『論考 マラリア原虫とそのベクターの生態学論からみたマラリア流行の疫学と対策』(池本孝哉・高井憲治)(『日本熱帯医学会雑誌 第29巻 第3号 平成13年9月』収載)
http://www.tm.nagasaki-u.ac.jp/society/jstm/29-3.pdf
ただし、出典は読みにくいので省略した。
Vector(ベクター)は、ここでは、媒介蚊のことである。