思い出って。。

一瞬で消えるそうです。


人の脳は忘れるようにできている。

そうじゃなかったら、

人は前へ進めないから。


でも

私は、少し違う気がするんです。

消えていくのは、

思い出じゃないのかもしれません。


夕暮れの帰り道、

窓を少しだけ開けると、

風が髪を揺らしてくる。


隣にはいつもの横顔。

何気ない時間なのに、

あの頃の私は、

それだけで幸せでした。

恋って不思議ですよね。


相手を好きになっているようで、

本当に心に残っているのは、

その人を見つめて笑っていた、

あの日の自分だったりする。


だから、

人は恋を忘れられないのではなく、

恋をしていた自分を、

忘れられないのかもしれません。


ねえ。。

好きが終わる瞬間って、

いつだと思いますか?


私は

その日

があったわけじゃありませんでした。


心は、

ある日突然離れていくものじゃない。


もっと前から、

小さな違和感という名前の手紙を

何枚も受け取っていたのね。


看護学校の寮。


夜になると、

廊下の突き当たりにある

公衆電話へ向かうのが、私の日課でした。


白い蛍光灯、

少し冷たい受話器。

ベルが鳴るだけで、その日の疲れがふっと軽くなるようで。

忙しくて寝落ちしてしまっても、

朝まで受話器がつながっていた夜もありました。

そんな毎日だったのに、

少しずつ電話の回数が減っていきました。


「ごめん、寝てた。」

その一言が、

少しだけ増えて。。


車が少し揺れて、

急ブレーキがかかった瞬間。

前なら、当たり前みたいに伸びてきた左手が、その日はありませんでした。


あの時は、あれ?って、

そのくらいの小さな違和感でした。

でも、後になって知った出来事がありました。


彼には 私の知らない時間があった事。。


その瞬間、気づいたんです。


心が離れたのは、その日じゃなかったんだって。


あの日知った事実は、

答えじゃなくて、

ずっと前から心に届いていた

小さな違和感に、

やっと名前がついただけだったんだなって。


窓の外には、

いつもと変わらない景色が流れているのに、

変わっていたのは、景色じゃなくて、

私の心だったのかも。。


誰かに話せば、

笑って終わってしまうような出来事。


でも心は知っているんですよね。


大きな出来事よりも、

何度も繰り返される小さな違和感の方が。


静かに未来を教えてくれること。。


彼は 離れてからも

職場へ何度も電話をくれたこと。


私の知らないところで、

あの頃の時間を手放せずにいたこと。


それを知った時、

私は驚くことしかできませんでした。


彼は、

私を忘れられなかったのではなく、

私と一緒に笑っていた自分を、

手放せなかったのかもしれません。


あの頃の私は、それなら なぜ?と思うばかり。


でも今なら、

終わりを受け入れることよりも、

失うことの方が

ずっと怖かったのかもしれない。。

そんなふうに思うことがあります。


もちろん、本当の気持ちは彼にしか分からない。

だから、決めつけません。


人は、誰かを追いかけているようで、

本当は、その人と一緒に笑っていた。

自分」を失いたくないだけなのかもしれません。


だから、一途さは優しさにもなるけれど、時には、

相手を苦しめてしまうこともある。


愛と執着は、とてもよく似ています。

違うのは、相手の幸せを願えるかどうか

その違いだけなのかもしれません。


私は、

彼を嫌いになったわけではありません。


ただ、未来の私は、

もう違う景色を見始めていました。


だから、涙は出ませんでした。

心は、

ずっと前から答えを知っていたから。


忘れることは、冷たいことじゃない。


裏切ることでもない。


次の自分に出会うための、静かな準備。


私は、そう思っています。

川に流した笹舟は、もう戻ってきません。


でも、あの日、

その笹船を見送っていた私の笑顔だけは、

今でも心のどこかで静かに揺れています。ふふふ。


よかったら、あなたのお話も、少しだけ聞かせてもらえませんか?」


あらら。。

もうこんな時間


また お話しましょ🌻