愛する小さな君たちへ
――ねえ、君は私のところに来て、本当に幸せだった?――
ねえ、みなさん。
私には今、4匹の猫がいます。
それはもう、可愛くて可愛くて。
何をしていても可愛い。
眠っていても可愛い。
ただそこにいるだけで可愛い。
もう、どうしようもないんです。
ふふふ。
でもね。
今日は、ちょっとだけ。
私の心の奥に、ずっとしまっているお話をさせてください。
私、これまで看護師として、たくさんの人の命と向き合ってきました。
生きるということ。
そして、命が終わっていくということ。
人が最期を迎えるとき、その人の人生がどんなふうにそこに存在しているのか。
何を大切にしてきたのか。
何を伝えたいのか。
もちろん、
すべてを理解できるわけではありません。
それでも、同じ人間として。
言葉や表情、これまで生きてこられた背景から、その方の思いを想像し、寄り添おうとすることはできます。
でもね。
私には、どうしても、どうしても冷静でいられなくなる命があるんです。
それが。
私をまっすぐ見つめてくれる、
小さな君たちの命。
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今の4匹の猫たちと暮らす前にも、私には大切なワンちゃんたちがいました。
一緒に過ごした時間。
何でもない日常。
笑ってしまうような仕草。
あの温もり。
今でも思い出します。
そして、いつかやってくるお別れ。
私はね。
そのとき、
本当にうろたえてしまったんです。
自分でも驚くほど。
あんなにたくさんの人の命と
向き合ってきたのに。
どうして。
どうして私は、この小さな命の前で、こんなにも何もわからなくなるんだろう。
って。
そして、気づいたんです。
君たちは、言葉で教えてくれないんだ。
「痛いよ」
「苦しいよ」
「もう少しそばにいて」
「大丈夫だよ」
「ありがとう」
「怖いよ」
そんな言葉を、
私たちは交わすことができない。
だから私は、必死に考えてしまうんです。
ねえ、今、何を感じているの?
苦しくない?
痛くない?
私がそばにいてもいい?
抱きしめてほしい?
それとも、静かに眠りたい?
ねえ。
どうしたら、君の最後の時間を、いちばん優しい時間にしてあげられるの?
お願い。
教えて。
お願いだから。
一度だけでいいから、言葉で教えて。
そう思ってしまうんです。
---
でもね。
君たちは、ただ私を見つめるんです。
あの、黒くて大きな瞳で。
まっすぐに。
何の駆け引きもなく。
私は、あの瞳を見るたびに思うんです。
この子たちの愛情って、
いったい何なんだろう。
って。
もちろん、お腹が空けばご飯が欲しい。
甘えたいときもある。
遊んでほしいときもある。
気に入らなければ、そっぽを向くことだってある。
それなのに。
彼らの愛情には、
人間のような複雑な計算がないように、
私には思えるんです。
これだけしてあげたんだから、
これだけ返して。
そんなこと、考えていないように見える。
ただ、そばにいる。
ただ、見つめる。
ただ、身体を寄せてくる。
私が悲しいとき。
何も言わずに、そっと横に来て丸くなる。
私の顔を覗き込む。
小さな身体で、私のそばにいる。
ねえ。
どうしてわかるの?
どうして、そんなに優しいの?
私、何も言っていないのに。
どうして、そんなふうに私を見つめるの?
その小さな身体のどこに、そんなに大きな愛情をしまっているの?
って。
不思議でたまらなくなるんです。
**君たちの身体は、
私よりずっと小さいのに。
君たちからもらう愛情は、
どうしてこんなにも大きいんでしょう。**
---
そしてね。
私は、ときどき怖くなるんです。
君たちの時間と、私の時間は違う。
同じ一日を過ごしているのに。
同じ朝を迎えているのに。
同じ夜を眠っているのに。
私たちに与えられた時間の長さは、
同じではない。
私は、
まだまだ明日があるつもりで
生きています。
来月も。
来年も。
きっと、
いつもどおりの毎日が続いていくような
気がしている。
でも、君たちは。
私よりずっと早く、人生を駆け抜けていくのかもしれない。
私が何気なく過ごしている一日が。
君たちにとっては、かけがえのない一日なんですよね。
そう思ったら。
ただ眠っている姿さえ、
愛おしくなるんです。
そして、たまらなく切なくなる。
私の人生の一部に君たちがいるのではなく、
君たちの人生のほとんどすべてに、
私がいるのかもしれない。
そう考えた瞬間。
胸が、ぎゅっと締めつけられるんです。
---
ねえ。
私は、
君たちに
何をしてあげられているんだろう。
君たちは毎日、私に幸せをくれる。
疲れた日も。
悲しい日も。
誰にも会いたくない日も。
私のそばで、
何事もなかったように眠っている。
そして、
その小さな寝息を聞いているだけで。
私は、また明日も頑張ろうと思える。
君たちは、
私に何かを
教えようとしている
わけじゃないんでしょうね。
何か立派なことをしているつもりもないんでしょうね。
ただ、自分らしく生きているだけ。
なのに。
私は、どれほどたくさんのことを教えてもらってきたんでしょう。
愛情って何なのか。
信頼って何なのか。
そばにいるって、どういうことなのか。
幸せって、何なのか。
**人間は、
愛を伝えるためにたくさんの
言葉を使うのに。
君たちは、ひと言も話さずに、
私の心のいちばん深いところまで
届いてしまう。**
すごいですよね。
本当に。
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でも。
お別れのときだけは。
その言葉のない世界が、
たまらなく苦しくなるんです。
私は君たちに、
何度も聞いてしまう。
ねえ。
幸せだった?
私のところに来て、よかった?
もっとしてほしかったことはなかった?
寂しい思いをさせなかった?
私の選んだことは、
間違っていなかった?
そして。
ねえ、最後の最後まで、
君は私を信じてくれていた?
って。
私ね。
この問いに、
今でも答えを出せないんです。
あのとき、もっと何かできたんじゃないか。
あのとき、違う選択があったんじゃないか。
もっと早く気づいてあげられたんじゃないか。
もっと抱きしめてあげればよかった。
もっと一緒にいてあげればよかった。
いくら考えても、答えは返ってこない。
もう一度聞きたくても。
その小さな瞳を、
もう一度覗き込みたくても。
叶わない。
ああ。
私はあんなにも君を愛していたのに、
君が本当に幸せだったのかさえ、
最後まで
聞いてあげることができなかった。
それが、たまらなく悲しいんです。
---
でもね。
最近、ふと思うことがあるんです。
もしかしたら。
私は、
答えを言葉の中に探しすぎているのかな。
って。
だって、君たちは。
嬉しいときも。
甘えたいときも。
安心しているときも。
ちゃんと、
いろんなことを
伝えてくれていたんですよね。
私のそばで眠ってくれたこと。
私を見つめてくれたこと。
私のところへ歩いてきてくれたこと。
何もない日に、
ただ一緒にいてくれたこと。
そのひとつひとつが、
君たちなりの言葉だったのかもしれない。
もちろん、本当の気持ちはわからない。
だからこそ、私はこれからも、
君たちの小さな変化に気づいてあげたい。
不調や痛みのサインを
見逃さないようにしたい。
少しでも安心して
過ごせるようにしてあげたい。
そして、何より。
君たちが今、
ここにいることを、
当たり前にしたくない。
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私ね。
君たちとのつながりは、
どこか魂同士のつながりに
似ているような気がするんです。
ちょっと不思議なことを言うでしょう?
ふふ。
でも、本当にそう感じるんです。
人間同士って、言葉があるからこそ、
傷つけ合うこともある。
本音を隠したり。
強がったり。
わかってほしいのに、
うまく伝えられなかったり。
でも君たちとは、言葉がない。
だからこそ、
もっと深い何かでつながろうと
するのかもしれない。
目を見て。
呼吸を感じて。
温もりを感じて。
小さな命が、今、
確かにここにあることを感じる。
それは、魂で会話しているような、
不思議な感覚なんです。
**言葉がないから、
愛が伝わらないんじゃない。
言葉がないからこそ、
心のすべてで
愛そうとするのかもしれない。**
---
ねえ、みなさん。
大切な小さな家族を見送ったことの
ある方なら。
もしかしたら、
私と同じような問いを、
今も胸に抱えているかもしれません。
あの子は幸せだったんだろうか。
私でよかったんだろうか。
あの選択でよかったんだろうか。
そして、ときどき。
思い出すだけで涙がこぼれてしまう。
私はね。
その涙も、その後悔も。
簡単に消そうとしなくていいと
思うんです。
後悔があるから、
愛情が足りなかったとは限らない。
もっと幸せにしてあげたかった。
もっと守ってあげたかった。
もっと一緒にいたかった。
そんな気持ちが、行き場をなくして、
胸の中に残っているのかもしれない。
でも、忘れたくないんです。
あの子たちとの時間は、
お別れの瞬間だけでできていたわけでは
ないことを。
一緒に笑った日。
一緒に眠った夜。
何でもない朝。
名前を呼んだときの、あの表情。
小さな足音。
柔らかい毛並み。
そして、私を見つめるあの瞳。
あの子たちの一生には、
悲しい最後だけではなく、
数えきれないほどの愛された時間が
あったはずなんです。
私は、そのことも大切に覚えていたい。
---
そして。
今、私のそばにいる4匹の小さな君たち。
ねえ。
君たちは、何を思っているのかな。
その黒くて大きな瞳で。
私を見つめながら。
何を感じているんだろう。
君たちは知らないでしょうね。
私が、
君たちの寝顔を見ながら、
こんなにもいろんなことを
考えているなんて。
君たちは知らないでしょうね。
何気なく私のそばに来てくれるだけで、
どれほど私が幸せになるのか。
そして。
君たちは、きっと知らないでしょうね。
いつか君たちがいなくなる日のことを、
私は今からもう、
こんなにも怖がっているんだよ。
でもね。
怖がっているだけでは、
もったいないですよね。
せっかく出会えたんですもの。
せっかく同じ時間を
生きているんですもの。
いつか来るお別れのために、
今日を悲しむのではなく。
今日、一緒にいられることを、
思いきり喜びたい。
今日、抱きしめられるなら、
抱きしめたい。
今日、名前を呼べるなら、
何度でも呼びたい。
今日、君たちが安心して眠っているなら、その幸せをちゃんと感じていたい。
そして、いつか。
もし、あの最後の時間がやってきたら。
私はきっと、またうろたえると思う。
きっと泣くと思う。
きっと、
どうしたらいいのかわからなくなると
思う。
でも。
それでも。
最後まで、君たちの味方でいたい。
私にできることを、
最後まで探し続けたい。
そして、
もし君たちが苦しくないように、
穏やかに過ごせるようにして
あげられるのなら。
私の寂しさよりも、
君たちの安らぎを大切にしたい。
だって。
それが、私なりの愛だから。
---
ねえ。
愛する小さな君たちへ。
私のところに来てくれて、ありがとう。
私を見つけてくれて、ありがとう。
何も言わずにそばにいてくれて、
ありがとう。
私の人生に、こんなにも柔らかくて、
温かくて、
かけがえのない時間をくれて、
ありがとう。
私は、
君たちの心のすべてを
理解することはできない。
君たちが本当に幸せだったかどうか、
その答えを聞くこともできない。
でもね。
ひとつだけ、
絶対に揺るがないことがあるんです。
**君たちが私を愛してくれたかどうか、
確かめることはできなくても。
私が君たちを心から愛したことだけは、
何があっても変わらない。**
そして。
もし、いつか。
どこか遠いところで、
もう一度会えることがあるのなら。
そのときは、どうか教えてね。
ねえ。
私のところに来て、幸せだった?
って。
でも、きっと私。
君たちの顔を見た瞬間、
そんな質問も忘れてしまうんでしょうね。
ただ、嬉しくて。
ただ、愛おしくて。
何度も、何度も、
抱きしめてしまうんでしょうね。
そして、きっとこう言うんです。
「ああ、会いたかった。ずっと、ずっと、会いたかったよ」
って。
……なんだか、
また目が熱くなってきました。
今、私のそばにいる小さな命たちは、
今日も何も知らずに、
いつもどおり過ごしています。
それが、なんだかたまらなく幸せ。
ねえ。
君たち。
今日も元気でいてくれて、ありがとう。
明日も、一緒に生きようね。
明日も、その可愛い瞳で、
私を見つめてね。
そして、できることなら。
一日でも長く。
私のそばで、幸せでいてください。
君たちにとっての一生が、
私に愛された記憶でいっぱいに
なりますように。
そして私にとっても。
君たちと過ごした日々が、
悲しいお別れの記憶だけではなく、
何度思い出しても微笑んでしまうような、
温かい宝物であり続けますように。
あららら
もうこんな時間。
またお話ししましょう。🌻