「……先輩?」

 

「……。目を閉じたまま。三神以外の神々が誰一人いないこの街を想像してください」

 

「……、分かりました」

 

彼女の意図が掴めずに小首を傾げるも、素直にその通りにリピート神は想像する。

 

ゲドウ神とエンド神の眼前に広がる景色は何本もの映画のフィルムのように変化し、神々と関わっていた人間たちの記憶から神々の存在が切り取られていきながら左から右へ、或いは上から下へと流れる。

 

「さて、エンド神。リピート神の能力は繰り返しですので、このままだとどこかでまた我々は出現し、人間に干渉することになりますが…神のいない街、というもう一つの時間軸を本筋にしてしまいたいので、どうにか君の能力で上手く修正を加えてください」

 

見たことのない、何とも不可思議な光景にじっと目を細めていたエンド神は「急にそんなことを言われても」と言いたげに視線を彷徨わせながら考え。

 

「…“True End1:神々がいた街”…“True End2:神々がいない街”」

 

本来の時間軸に自分たちがいた結末を。

 

修正を加え、これから神々は存在しないまま似たような時間を辿るであろう時間軸、それには自分たちがいない結末を与えると、エンド神は何を思ったのか追加でもう一つの結末を創った。

 

「………、これは、我からゲドウ神へ贈る呪いだ。“Secret Happy End:────”」

 

 

***

 

 

『ルカ』

 

ゲドウ神が目覚める前。

 

ルトは言った。

 

『ハンナ、…いや、ゲドウ神は直に目を覚まし、この世界を救うだろう。けれども、そのあと彼女を含む、祝福を受けた子供たちはある世界へ飛ばされ…彼女の永い旅はようやく始まる』

 

『僕も彼女にくっついて暫くはこの世界を後にするけれど。忘れないでほしい。これは、君が見守ってきた子供たちの為の物語で、意味のあることなのだということ。そして、暫くはまた会えないけれど、兄として君を想い続けていることを』

 

『全てが終わったら、ちゃんと話すから。それまで、待っていておくれ』

 

そんな兄の言葉に一つ頷いて、ルカは約束をした。

 

『兄さんたちがどこにいても、ずっと想っているよ。見守ることしかできない神様だとしても、それくらいは赦されるはずだから』

 

 

 

 

 

 

黄昏を背に、神祖は微笑み。

 

巻き戻され、本来とは別の、もう一つの時間がもう間もなく始まる様子を映し出した水鏡から視線を上げて、愛すべき者たちへ告げた。

 

 

 

 

────“幸福の双子”は、箱庭の始まりからずっと君たちを愛しているよ